。少女無想

SS投稿投稿掲示板より。


1    星川  [id : yJTbIlx/] [2016-09-10(土) 13:51:45] 削除依頼


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生と死の黄金比率。

2 星川  [id : yJTbIlx/] [2016-09-10(土) 21:28:03] 削除依頼

# 少女無想
 
 
 郁子山月子(むべやまつきこ)という名の少女が常時一体何を考え何を思い行動しているのか、それは僕にとっての尽きる事のない疑問であり僕にとっての七不思議の一つでもあった。
 何の因果が示されているのか、僕と郁子山月子のクラスでの席は前後である。彼女の後ろの席に座る僕の位置はそんな郁子山月子の実態を後ろから観察するのにはうってつけの位置であった。僕は今日も懲りずに彼女を観察する。

「最上(もがみ)くん。ちょっといいかしら」

 お世辞にも上手いとは言いづらい文字を綴っていたシャープペンシルの芯が、要らない力を加えられたことによって加減を失いたった今呆気なくポキリと折れた。鉛の欠片がノートの上を不規則に転がる。
 昼休み。観察対象である郁子山月子から話し掛けられた僕は、言わずもがな体全身が硬直した。
 けれども思考は一切停止することなく寧ろ頭の中でフル回転するばかり。冷や汗が止まらない。
 まさかバレたのか? 誰にも打ち上げずにひっそりと書き綴っていたこの『郁子山月子観察ノート』が。しかも張本人に? そんな馬鹿な。
 心臓が凍えるような、血液が抜かれているような気分だった。胃痛がする。トイレに駆け込みたい衝動に駆られた。
 その理由には、高校に入学して郁子山月子と席が前後になってからのこの五ヶ月間、僕は彼女と一言も喋ったことがなかったのだ。
 しかしながら体は嘘を吐けず、僕はゆっくりとノートを閉じる。郁子山月子の問いに、僕は「yes」と応えることしか出来なかった。

3 星川  [id : 1NiVWyZ1] [2016-09-12(月) 13:56:57] 削除依頼

>>2
 まるで糸を引かれるかの如く郁子山月子に連れて来られたのは人気の一切ない育館裏だった。
 雑草が至る所に惜しみなく生い茂っている。定期的な除草を施していないのが見え見えだ。
 体育館裏までやって来ると、郁子山月子はぴたりと足の動きを止めて僕の方へと振り返る。その拍子に翻ったセーラーカラーを目の当たりにして、彼女ほどセーラー服が似合う人は中々存在しないだろうなどと余計なことを考えていた。
「こんな所までごめんなさい。迷惑だったかしら」
 日本人形を思わせる彼女の黒髪の艶やかなお河童ヘアーがサラリと揺れた。普段あまり聞くことのない彼女のその声は、気品溢れる透き通った鈴の音を一瞬にして僕に連想させた。
「いや、大丈夫だけど。……僕に何か用でも?」
 至って平然とした口調で彼女に問う。実のところ内心ヒヤッヒヤだということは彼女に気付かれるわけにはいかない。
「あら。用があるのは最上くんの方でしょう?」
 僕の問いに郁子山月子はゆらりと目を細めると肩を揺らしてクスクスと笑った。予想外の返答に僕は思わず噎せる。
「な、何のこと――」
「まさかとは思いますけど、最上くん、気付かれてないとでも思っていたんですか?」
 郁子山月子は僕の言葉を遮りそう口を開くと、コテンとわざとらしく首を傾げた。

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