.トルテ 6コメント

1 ひの id:GapLSzR.

2016-08-04(木) 11:00:35 [削除依頼]


かけがえのない互いの笑顔を守るため、果てしなき世界を共に旅する小さな二人のお話。
  • 2 ひの id:0V2vmBw.

    2016-08-04(木) 12:11:39 [削除依頼]
    はじめに


    お久しぶりですというよりも初めましての方が確実に正しいと思います……。初めまして、ひのと申します。出戻りしてきました。

    ご存知の方はいらっしゃらないでしょうが、この作品、既に小説板にもSS板にも既出している作品です。
    ですので作者は同じです。ナリではありません。ネム変いたしました。パクリ作品ではありません。
    今度こそ愛着のある私のキャラたちを目一杯動かしてあげられるように努力します。

    ちなみにこの作品はオムニバス形式となっていて、基本1話完結型のSS詰め作品となっています。それではよろしくお願いいたします^^
  • 3 ひの id:0V2vmBw.

    2016-08-04(木) 12:35:26 [削除依頼]
    1、旅する二人

     
     
     
     
     閑散としたとある宿の一室。
     闇に呑み込まれたそこには、部屋の大部分を占める二台のシンプル且つ質素な寝台が並列するように少し距離を開けては並んでいた。
     その二台に挟まれるような形で設置された小さな丸テーブルの上では、ランタンの中で静かに灯るオレンジ色の煌びやかな炎が部屋の辺りを微かに照らす。
     木目がハッキリと浮かぶ古びた床に伸びる一つの黒い影。
     その正体は、見たところ齢十六ほどの青年――――ロゼットの物であった。
     ロゼットは並列に並んだ二台の内の左側にある寝台の端に腰を下ろしている。そしてその寝台にはロゼットの他にもう一人、柔らかい毛布にくるまりながら小さく寝息を立てる者がいた。
     ロゼットは若干尻目がちに、毛布にくるまるそれにへと目をやる。
     完成のしていない未熟で小さなその体は、寝台の上で寝息に合わせて腹式呼吸を繰り返す。
     ロゼットはしばしの間その姿をただじっと眺めていた。それだけで一体どれほどの時間が費やされていたのかは彼にも分かってはいなかった。
     気が付けば、闇に呑まれていたはずの宿の部屋内に一つの淡白い光の矢が放たれていた。
     ロゼットは光の筋が入り込んできた窓の方へと目線を向ける。窓から部屋にと差し込む朝日が、長らく続いた夜が明けたことを告げたのだ。
     朝日により部屋内が照らされ出すと、寝台の上で毛布にくるまりながら寝息を立てて眠っていたはずの少女が唐突にもぞもぞと動き出してはゆっくりと体を起こした。少女の腰まで伸びたきめ細やかな美しいその白髪は、朝日の光を浴びたことにより一層輝きを増している。そしてそんな朝日に少女は眩しそうに目をぱちぱちと瞬かせた後、小さなあくびを促した。
     少女が織り成すそれら一連の動作をすぐ傍らで目にしていたロゼットは、穏やかな微笑を顔に浮かべてからそっと口を開く。
    「おはようトルテ。よく眠れた?」
     微笑むロゼットから名前を呼ばれたトルテと言うらしいその幼い少女は、見た目からしてまだほんの齢六〜七歳ほどだった。トルテは未だ眠たそうに目を擦りながらもロゼットの問いに応えるように満面の笑みを彼にへと向ける。
     それを目にしたロゼットは、トルテに向けて再び優しく微笑んだ。
    「それは良かった。お腹、空いただろ?」
     ロゼットの質問にトルテは「うん」と返事をしながら頷いて見せる。
    「それじゃあ少し早いけれど、もう出発しようか。ここから少し歩いた先に街があるんだ。そこで朝ごはんにしよう」


                ◇


     これは一人の青年と、一人の幼い少女の、小さな二人が綴る、小さな旅の物語。
  • 4 ひの id:bij1pzm1

    2016-08-05(金) 09:55:01 [削除依頼]
    2、森の中から
     
     
     
     
     
     静けさ蟠るとある深い森の奥。
     地面に落ちた枯葉や小枝を踏みしめながら足を進めるロゼットとトルテの二人は、この森を出た少し先にある次の目的地へと目指していた。
     辺りは薄暗く多少の不気味さを醸し出しているこの森に小さな恐怖心を抱いていたトルテは、最初の内は自分の前を歩くロゼットの背中を見失わないように彼の後に必死になって続いていたのだが、そんなトルテの目線はいつしか自分の足下にへと注がれていて、枯葉を踏む度にざくざくと音が鳴るのを純粋に楽しんでいた。
     ――――が、しかし。それが原因の火種となり、周りに目を向けていなかったトルテの足は地面の隅に生えていた蔦につまづくと、そのまま蔦に絡まれてしまい体ごと尻餅をついてしまったのだった。
     蔦はまるで生きているかのように唐突にうねりながら動き出すと、トルテの足へ更に強く絡み付く。
     トルテの顔は徐々に青くなってゆく。
     ロゼットに助けを求めようとしたのだが、初めて見る蔦のあまりにも気味の悪い動きに、ロゼットに助けを求めるため開いた口はぱくぱくと開閉をし出すのみで役割を果たしはしなかった。
     そうしている内にロゼットはどんどん先へと進んで行く。
     トルテよりも少し離れた先へと進んでいたロゼットは、足下に慎重になりながら口を開く。
    「小枝が多いな……。トルテ、足下の枝の先に注意して歩くんだよ。場合によっては怪我に繋がるかもしれない」
     いつもならロゼットの言葉にしっかりと返事をするトルテなのだが、今はロゼットの耳にそんな少女の声が届くことはない。


               ◇           


     トルテからの返事がない。それに対して不審に感じたロゼットは、「トルテ?」と口にしながら彼女の存在を確かめるように後ろへと振り向いた。
     すると、すぐ後ろにいるはずのトルテが数メートル離れた先で尻餅をついているのを目にしたロゼットは、慌ててトルテの元へと駆け寄る。
    「トルテ!」
    「ロ、ゼ」
     額に青筋を浮かべたトルテは、渇いた喉から絞り出すようにロゼットの名前を口にした。かたかたと小刻みに揺れる両腕をトルテはただ必死にロゼットの方へと向けて目一杯に伸ばす。ロゼットはそれに応えるようにトルテの小さな手のひらを自分の手に取って、自分が来たからにはもう大丈夫だよと伝えるかのように安心させようとする。
    「……絡み蔦か。トルテ、ちょっとだけいい子で待てるね。今、蔦を切るから」
     ロゼットはモスグリーン色で丈の長い自分のコートの内ポケットから小型ナイフを取り出すと、トルテの足に絡み付いた蔦をそれは器用に切り離す。
     そしてトルテの体を抱えてその場に立ち上がらせると、トルテの着ているライトブルー色のワンピースの土で汚れた部分を丁寧にはたいては汚れを落とした。
    「トルテ、怪我は?」
     真剣味を帯びた瞳をトルテに向けて、ロゼットは語り掛ける。トルテは首を横に振った。
     それを確認すると、ロゼットは安堵の吐息を漏らすのと同時に顔に苦笑を浮かべてトルテの頭を一度ゆっくりと撫でた。
    「良かった。絡み蔦は一度絡まれたら厄介なんだ。今みたいにしつこく絡み付こうとしてくる。もう少しでこの森から抜け出せるはずだけど、足下には注意しよう。……それと」
     ロゼットはそのままトルテの前に自分の片手を差し出した。トルテはそれをじっと見つめた後ロゼットに視線を向ける。
    「さっきみたいに離れることのないように、手、繋いで歩こうか」
     ロゼットの小さな笑みにトルテは表情にいつもの笑顔を取り戻して、「うん!」と元気よく頷き返事をしてから、差し出しされたロゼットの手をしっかりと握り返した。
     そしてロゼットは思う。ふとした時にはいつも自分の支えとなり安らぎを与えてくれるこの小さな少女の笑顔を、必ずや自分の手で守り抜いてみせる、と。例えそれが自分自身を傷付けることになろうとも。
     ロゼットは改めてそう意を決し、トルテの手を更に力強く握り返したのだった。
  • 5 ひの id:d/W62RA0

    2016-08-25(木) 13:41:25 [削除依頼]
    2、森の中から
     
     
     
     
     
     見た目からしてもあまり裕福とは言い難く、けれどもどこか安心感を覚えさせる。そんな名の知れないとある小さな村にロゼットとトルテの二人は辿り着いた。 生い茂る森の中をただ黙々としばらく歩き続けてきたのだから、トルテのような小さな体には疲労は大きな負荷になるだろうと心配して、ロゼットは一休みがてらにこの村へと立ち寄った。やはり小さな村だけとあって村人らしき人々の行き交いを多くは見掛けない。
     ロゼットはトルテの手を引きながら散策程度にと村を歩く。トルテは無言だった。
    「アンタたち、一体どこのどいつだい」
     不意に、二人の背後から歳を感じさせるような掠れた一つの声がロゼットとトルテの耳に届いた。声のした方へと振り返ってみれば予想通り年老いた白髪の、どこか気の強そうな老婆の女性が腰を曲げながらこちらを忌々しそうに見詰めている。それだけでロゼットの背中には粟立つような感覚が凄まじく迸(ほとばし)った。
    「ここらじゃ見掛けない顔だ。何しに来た」
     警戒されている。このままでは不味いと、ロゼットは直感的にそう思った。
    「あ、いや、俺たちは――」
     女性が招いているであろう誤解を解こうとロゼットが口を開いたその瞬間だった。ロゼットと繋がれていたはずのトルテの手がいつの間にやら外れていて、そして自ら外したであろう張本人のトルテはロゼットから離れて老婆の女性の元へと素早い速さで駆け寄っていた。
    「ト、トルテ!?」
     トルテが自分から意図的にロゼットから離れて行くことは今まで旅をしてきて初めてのことだった。
     ロゼットの背中が再び粟立った。トルテの名を叫ぶようにロゼットが呼んでも、少女は一向に振り向こうとしない。それどころかトルテはそのまま盛大に老婆へと抱き着いた。そしてそのまま彼女を見上げるように、トルテは老婆に向けて顔を持ち上げると口を開いて絞り出すように言葉を発する。
    「ロゼ、いじめちゃ、ダメぇ……」
     今にも泣き出してしまいそうなトルテの表情と声のトーン。老婆はただただ目を見開く。
     ロゼットはその光景を目の当たりにすると、どこか複雑な心境になりながらも小さく頭を抱えた。
  • 6 ひの@修正 id:d/W62RA0

    2016-08-25(木) 13:45:33 [削除依頼]
    3、レモンタルト
     
     
     
     
     
     見た目からしてもあまり裕福とは言い難く、けれどもどこか安心感を覚えさせる。そんな名の知れないとある小さな村にロゼットとトルテの二人は辿り着いた。生い茂る森の中をただ黙々としばらく歩き続けてきたのだから、トルテのような小さな体には疲労は大きな負担になるだろうと心配して、ロゼットは一休みがてらにこの村へと立ち寄った。やはり小さな村だけとあって村人らしき人々の行き交いを多くは見掛けない。
     ロゼットはトルテの手を引きながら散策程度にと村を歩く。トルテはといえば無言だった。
    「アンタたち、一体どこのどいつだい」
     不意に、二人の背後から歳を感じさせるような掠れた一つの声がロゼットとトルテの耳に届いた。声のした方へと振り返ってみれば予想通り年老いた白髪の、どこか気の強そうな老婆の女性が腰を曲げながらこちらを忌々しそうに見詰めている。それだけでロゼットの背中には粟立つような感覚が凄まじく迸(ほとばし)った。
    「ここらじゃ見掛けない顔だ。何しに来た」
     警戒されている。このままでは不味いと、ロゼットは直感的にそう思った。
    「あ、いや、俺たちは――」
     女性が招いているであろう誤解を解こうとロゼットが口を開いたその瞬間だった。ロゼットと繋がれていたはずのトルテの手がいつの間にやら外れていて、そして自ら外したであろう張本人のトルテはロゼットから離れて老婆の女性の元へと素早い速さで駆け寄っていた。
    「ト、トルテ!?」
     トルテが自分から意図的にロゼットから離れて行くことは今まで旅をしてきて初めてのことだった。
     ロゼットの背中が再び粟立った。トルテの名を叫ぶようにロゼットが呼んでも、少女は一向に振り向こうとしない。それどころかトルテはそのまま盛大に老婆へと抱き着いた。そしてそのまま彼女を見上げるように、トルテは老婆に向けて顔を持ち上げると口を開いて絞り出すように言葉を発する。
    「ロゼ、いじめちゃ、ダメぇ……」
     今にも泣き出してしまいそうなトルテの表情と声のトーン。老婆はただただ目を見開く。
     ロゼットはその光景を目の当たりにすると、どこか複雑な心境になりながらも小さく頭を抱えた。
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