蜂蜜の王様

SS投稿投稿掲示板より。


1    アリカ  [id : fyxb7Ty.] [2009-07-01(水) 20:09:35] 削除依頼

頭のなかで青が叫んでいる。
内臓は赤を漂っていた。
この凄惨さ。
あなたは目を背けたまま。
気づかないふりをしている。
あなたのその挙動ひとつで、わたしの体の中が
逆流して泡立つの。
黒い線で掻きむしられているように。
わたしの頭の中の青が吐き出されるのだ。
音もたてずに。
落ちていくのだ。
それを見てあなたは少し笑う。

さぁさぁ。
終曲を迎えるよ。
狭間に線を引いておくれ。
惑わされるようなら目は潰すよ。
ただ合図を待ちかまえているんだ。
あなたもわたしも。


【いちにのさん、で全て忘れて】

2 アリカ  [id : fyxb7Ty.] [2009-07-01(水) 20:10:17] 削除依頼

パンッと乾いた音がして。
脳にこびりつく影がそろそろと
意識の底に淘汰されていく。
まるで霧が晴れたかのように
私の頭の中は鮮やかな色彩に
彩られていく。
錆び付いたドアを開いて。
今度こそ何も通さずに
この瞳ですべてを映すよ。

止めるモノなど何もないから。

たくさんの記号が
点滅を繰り返して
なにかを主張し始めるけれど
思考することさえ億劫で
危険信号を確認しては
渋々、許容している。いま。

本当はリセットボタンなど
存在しなかったのに。

【さんにいち、で思い出して】

3 アリカ  [id : GOLP7Zt/] [2009-07-06(月) 19:47:39] 削除依頼

【無性生殖】

分裂した自我。
鏡合わせの相対性。
私とわたし。
貴方とあなた。
分裂しちゃった私のからだ。
そっくりそのまま
また再生。
こんにちはわたし。
憎らしいわたし。
だれが殺したの駒鳥(ロビン)?
それは、私。
わたしが殺した私。
私が殺したわたし。

だれが殺したの駒鳥(ロビン)?
それはワタシ。
かわいそうな駒鳥(クック・ロビン)。

4 アリカ  [id : 03I83vz.] [2009-07-12(日) 13:20:16] 削除依頼


まず最初に
胸の深くがどうしようもなく
痛くなり。
締め付けられるような
胸騒ぎを感じる。
瞳から透明の液体が分泌され
頭の芯がのぼせたように
不透明な曖昧さをしめし
鈍痛を繰り返す。
立ち上がる気力すらなくなり
足元の存在を疑問視する様になる。
血が熱くなり頬は火照るが
背中は確かな冷たさを帯びる。
最後には前後不覚になるような
空虚感を味わい。
あるものは忘却へと。
あるものは戒めへと。

それを重ねてゆく。

【かなしみというもの】

5 アリカ  [id : 1V7eRX1/] [2009-07-19(日) 13:45:03] 削除依頼

【彼女】

彼女は陳腐で愚かで利己主義者で
しかもそれを誇りとするような人だ。
彼女は完璧と美を愛していたが
中身も行動もそれに見合ったもの
ではなかった。
彼女はいつも惨めさの中にいた。
そしてそれを社会のせいにしては
自分を特別な人間だと思い込み
理解のない人間にはひどい罵倒を
浴びせかけた。
いわれのない誹謗中傷だった。
元来、天才は理解されにくいと
いう彼女の見解は正しいものだったが
それを自らに当てはめるのは
見当外れもいいところだった。
彼女を哀れと思い優しい言葉をかけ、
彼女を傷つけんとする者を
静かにたしなめる優しき人も
わずかだがいた。
彼女はそれを喜び、すぐにその人に
好意的な気持ちになった。
彼女は愛に飢えていたのだ。
その人の優しさの根源が同情からきている
ことも彼女は気づきもしなかっただろう。
彼女はいわば盲目的にその人を信じ、
自分の内面をさらけだして、
その人に異常なまでの執着を示した。
すると必ずその人は彼女の気持ちに
ある種の畏怖を感じ、うっとうしくなり
僅かな間でも彼女を弁護した自分を
憎らしく思うのだった。
彼女は誰よりも愛に飢えていたが
愛されるような人ではなかった。
その点で彼女は本当にとてもとても
かわいそうな人だった。

6 アリカ  [id : p09Kfyj1] [2009-07-20(月) 15:10:10] 削除依頼

【夢の住人】

私は花になりたかった。
ずっと夢の中で暮らしていたかった。
その世界にはユニコーンや妖精さん達
がいて、みたこともない美しい花が
そこら中に咲き誇っている。
私はずっとその花畑の中で春の木漏れ日
を受けながら穏やかな眠りについてい
たかったのだ。
いつまでもその夢の住人でいたかった。
幻想と無知のみせかけの愛情に身を浸し
ていたかった。
私は成長し続ける。
なぜ神は少女を永遠のモノにしなかった
のだろう。
私は愚かできちがいで、それでいて
少女だった。
私の体は燃えるような新鮮な生命力に
溢れており。この白い肌の下にはいまだ
赤い血液がめまぐるしく流れている。
私は若かった。
そして美しかった。
時というものはどこまでも残酷だ。
過去は何時までも変化のない凡庸さで
私になんの魅力も示さなかった。
しかし現在は素晴らしく魅力的だった。
鳥たちは私に歓喜の歌声を披露し、
世界は輝いていていつも私は春の心地
でいられた。
しかし、未来は恐ろしかった。
あの美しい鳥たちの声は弔いの鐘や
狂気の叫びに変貌し、世界は醜悪で
薄暗く腐臭が漂うモノだった。
嗚呼!なぜ神は少女を永遠のモノに
しなかったのだっ!
なぜいつまでも夢の世界にいて虹色の
空を眺めていられないのだろうか!
なぜ世界は私までを醜い化け物に変え
ようとするのか!
嗚呼、なぜに!

7 アリカ  [id : y5m1wTu1] [2009-07-21(火) 00:46:39] 削除依頼

【王様】

王様は心優しい人でした。
彼は寛大で崇高な人物で、
彼はすべての生命に同等の価値を
見いだすことができた。
それはとても美しい考えで敬愛すべき
に値するものだったのだけれども
それは優しい王様を時折ひどく苦しめました。
王様は王だったので、国民の願いを
叶えてやらねばならなかったから。
国民はみな善良な人達でしたが
自分たち大勢を傷つけようとする
危険分子には当然のごとく冷酷でした。
王様も同じように冷酷でいなければなら
なかったけれどそれは不可能なことでした。
彼は全ての人間にやり直す機会があり、
やり直すことができると思っていました。
その機会を自らの手で摘み取ってしまう
なんて、優しい優しい僕の王様には
耐えきれないことでした。
この点で彼は誰よりも王様にふさわしく
ない王様でした。
彼の青い瞳にどれほどのかなしみが
詰まっていることでしょう。
鈍感な民衆達には想像もつかないことです。
彼等はその時ばかりの栄光に酔い、
誰もが偽りの王様へ賞賛し永遠の忠誠を
誓うのです。
僕は王様のあの悲しそうな瞳をみつめると
僕は思わず叫びだしたいような、
泣き出したいようなどちらともいえない
気持ちになってくるのです。
でも僕はどうしたって泣くわけにはいかない
のです。
なぜって、僕はあの儚くて弱い王様の涙を
一度だって見たことがないのですから。

8 アリカ  [id : KANJJ2E/] [2009-07-22(水) 00:30:46] 削除依頼

【憂鬱の感染方法】

憂鬱は感染するものだと仮定する。
その病にかかると、私はなにを
するにも億劫になり、頭が重くなり
胸の一物がざわざわとしだす。
最後には動くことすらままならず
机に突っ伏しては様々なとるに
足らないことを思考し出すのだ。
ある日友人が私の家を訪れた。
私は友人がある事業に失敗した
という話を聞いていたので
できるだけ彼をなぐさめようと
慎重にもてなした。
彼は外目にいたっては落ち込みや
疲労感を感じさせなかった。
このことは私を安心させ、私に
彼はもうすっかり立ち直ったもの
だと信じこませた。
私は彼ととりとめのない会話をしたが、
彼の事業のことは話題に挙げなかった。
しかし、憂鬱というのはひどく巧妙だった。
いくら彼が懸命に隠し通そうとしても
一瞬の隙をついて言葉の端、瞳の底に
暗い色を差した。
それを人は敏感に感じ取り、それを
嫌い疎ましいと感じた。
どうりで、彼とのお茶会は私の気持ちを
少しばかり沈ませた。
私は彼に別れの言葉を言った時、私は彼が
私の家を訪ねた時よりも、私が彼を嫌悪
してしまっていることに気づいた。
それだけで、もう憂鬱だった。
そして私は彼の言葉の節々に暗い影を
感じ、それによって気分が沈んでしまった
ことにも同時に思い出したのだ。
このことから憂鬱とは空気感染するもの
なのだと頭の端の方で思った。

9 アリカ  [id : KANJJ2E/] [2009-07-22(水) 00:33:34] 削除依頼

訂正

>>7
偽りの王様へ賞賛し永遠の忠誠を〜〜
とありますが、正確には
偽りの王様を賞賛し永遠の忠誠を〜〜
でした。

10 アリカ  [id : Bu2RibA1] [2009-07-26(日) 01:13:02] 削除依頼


 可愛い私の犬が死んでしまった。
私のデイジー。茶色の毛の小さくて
弱い私の友達は死んでしまった。
デイジーは冷たくてかたくなっていて、
だらしなくベロリと赤いぶつぶつの舌を
垂らしてた。
もう彼のきれいなグリーンの瞳はもう開か
なくなってしまって、私はとても長い間
デイジーのまつげを眺めていた。
とても悲しい気持ちだった。
お父さんが来て、デイジーは天国に行ったん
だよと、言って私の頭を撫でた。
それを聞いて私は思わず首を傾げた。
なぜお父さんはそんなことをいうのだろう。
デイジーは死んじゃって、今もここに
横たわってどんどん冷たくなっていっている
のに。天国なんてとこに行けるはずがないのに。
私はお父さんをみつめて、なにか一言いって
しまおうかと思ったけど止めた。
だってお父さんも私とおんなじ顔をしていた
ものだから。
私はまたデイジーをみつめて声をあげて泣いた。

【デイジーの死体】

11 アリカ  [id : bXxJlfW1] [2009-08-01(土) 18:24:44] 削除依頼

【友人】

私の友人。
私の友人は素晴らしいヒトだった。
私の友人は私よりも優れていた。
外見、人柄、頭脳。
全てに置いて私は彼女に劣っていた。
不幸にも私はそのことに、彼女と
出会ってわずか数日で気が付いてしまった。
彼女の能力が社会に認められるたびに、
私の胸は嫉妬の炎で燃え上がった。
その時、私は彼女を八つ裂きにして
やりたいとも思うし、彼女にこれまで
味わったこともない屈辱を与えたいと願った。
でも、それと同じくらい私は本当に彼女を
愛していた。
彼女は純粋で、小さな悪をも許さない正義感
を持っていた。この事は時たま私に彼女を
疎ましく思わせたがそれでも私は彼女の一挙一動
を愛していた。
彼女の、最後に少し語尾が高くなってうわずった
ようになる笑い声を聞く度に私はとても幸福な
気分になった。
私は彼女に嫉妬の念を感じない日は無いが、
それでも私は彼女の友人なので
今日も胸の火は隠したまま、平気そうに
笑うのだ。
今日も、明日も。

12 林檎飴  [id : fYG/ygq1] [2009-08-03(月) 17:18:54] 削除依頼

頑張って。応援してるよー

13 アリカ  [id : kwZPrl6/] [2009-08-04(火) 00:14:29] 削除依頼

林檎飴さん

コメント有り難うございます。
これからも細々とやっていこうと思います^^

14 アリカ  [id : xKNhNVm/] [2009-08-06(木) 00:46:45] 削除依頼

全ての事柄に対して否定形で望むと、
殆どの場合次に否定されるのは己だ。
表面にこびりついた寛容と許容は、
偽善の上に成り立っていて。
剥がれ落ちやすいそれを、今日も
必死で補修している有様だ。
偽善が何故悪なのかというと、
偽善者は救済の手をちらつかせながら
性悪にも窮地の際にはひらりと自らの
身を隠し救世主から突如傍観者へと
姿を変えてみせるその狡猾さからなのだ。

【考察】

15 アリカ  [id : QIDxsXf/] [2009-08-07(金) 23:55:01] 削除依頼

私の願望を語るとすれば。
私はいつも痛みや餓えや絶望から
ずっと遠い位置にいて、浄福と
安らぎの溢れる安穏な社会に身を
投じていきたいのだ。
欺瞞や中傷も聞こえない場所で
変化のない今日と今を重ねていって、
時たまあるささやかな運命のいたずら
に愛する者と共に笑いあっていたい。
春の妖精を夢みて、夏の豊作を喜び、
秋に安堵し、冬をじっと耐えていこう。
忙しなく働いて、温情溢れるひとびとに
囲まれながら死という安らぎを得たいのだ。

【平和主義者の優しい戯言】

さぁ、皆さん悲しみを尊いものにしないで
ください。
不安が去るのを待っていてください。
笑って笑って笑ってください。
たくさんの事柄に傷つかないで下さい。
私たちは今日も明日も生きていくのだから。

16 アリカ  [id : z52wMVB1] [2009-08-09(日) 01:47:14] 削除依頼

【無題】

最近の堕落しきった性事情や、
若者の非行や、等しい繋がりでもって
紡ぎ出される愛の言葉、その他大勢。
悲しみのなかの自己陶酔。
有耶無耶な笑い。
みせかけの本音、虚言。
社会の統一化。
ロマン主義と啓蒙主義。
人間の根本的原罪の存在に騙された人々。
道徳と背徳。
貞節と官能そして節制。
飢えた人。
肥えた人。
賢者と愚者。
生者と死者。
生まれては死んで、永遠の魂をもつ、人。
人になりたかった人魚姫。
なれなくて泡になった人魚姫。
嗚呼、これでさようなら!
おやすみなさい。

17 アリカ  [id : e0SmyuQ1] [2009-08-10(月) 03:05:55] 削除依頼


悪は遠ざけねばいけない。
正常ということは人間ということ
なので、私たちはいつも人間でなく
てはいけない。
異常ということは人間じゃないという
ことなので、私たちはそれを嫌悪しな
くてはいけない。畏怖をおぼえなけれ
ばいけない。憎まなければいけない。
しかし、悪の力は時に何人も抗えぬ
ほどの魔力で私たちを、この善良で
無害な私たちを!地の果てまで堕落
させ、知恵や理性、人間らしいこころ
を奪い、野蛮でどう猛な恐るべき獣に
変えてしまうのです!
悪の甘美な誘惑にほだされてはいけない。
一時の熱情に身を任せ、易々と我が身
を汚してはならない。
なぜなら、悪にはいつだって罪と罰が
ついてまわるのですから!

【償えない罪を負う前に】

18 アリカ  [id : RgPFoeu0] [2009-08-16(日) 04:33:42] 削除依頼

【喪失感】

彼がいなくなった。
それだけでもう、昨日と同じ様に
は笑えなくなる。
昔はもっとたくさんのものを愛していた
気がしたけれど、もう全部消え失せて
しまった。
肥大化された私の理想が収縮して、
持ち主のいない椅子が私を投影している。
すっかり現実に舞い戻ってしまった、私。
彼はもう私をむかえに来てはくれない。
太陽も輝くことをやめてしまった。
貴方の快活な笑い声が止まってしまった
時点で。
なんて悲しい!彼がいなくなった。
私ばかりが置いてけぼり。
もうすべて元には戻らない。
このまま私だけの時が進み、過去が薄れ、
別れだけが彩られていく。
貴方がいなくなった。
それだけでなにもかもが変わってしまう。
どうかこのまま朝が来ないように!

19 林檎飴  [id : vXR1yaM1] [2009-08-16(日) 17:59:28] 削除依頼

朝は来るでしょ
世界が回ってる限り

って詩的な

20 アリカ  [id : RgPFoeu0] [2009-08-16(日) 23:21:44] 削除依頼

ですよね^^
なんか、彼女は彼がいなくなったのに
世界が普通通りに過ぎていくのが
たまらなく悲しいんですよ。
コメントありがとうございましたww

21 アリカ  [id : 6Df4EBB0] [2009-08-18(火) 23:55:34] 削除依頼

【過ぎてしまう怖さ】

若いということはそれだけで素晴らしい
ことなのでしょう?
その無知と愚かさを補うために大人が存
在するのでしょう?
無知で愚かなのは大人とは言えないの。
世界って残酷!
私たちは自然淘汰の法則に従って選別されて
きたの。
止めないで!なによりも怖いのは統一化して
しまうこと。時が過ぎてしまうこと。
無条件の賞賛を捨てなくてはいけないこと。
失望されてしまうこと!
このまま繰り返されていく似たような事柄に
どう立ち向かっていくべきかなんて分からないの。
永劫回帰なんて知りたくなかった!
愛するものは幸福と誠実だけでいい。
憎むべきなのは悲しみと不潔。
拾い上げて飲み込んで、変化して、歪んで、
使って、なくして、みつけて、遠くにいって。
これで私。
不安よ、早く私の中から通り過ぎてちょうだい!
さもなくばこの闇に飲まれてしまうわ!

22 アリカ  [id : vhRJ6tc1] [2009-08-19(水) 18:09:39] 削除依頼

彼が屋上に行くと言ったので僕はついて
いった。
彼が屋上のフェンスに手をかけて、ひらり
と向こう側へ飛び移ってしまった時は、
さすがに驚いた。
なぜなら僕はもう僕の大事な友人が
この世から消えてしまうのではないか
と思ったからだ。フェンスを越えたら後は
一メートルばかしの間しかない。
その先はだめ。鳥じゃなくちゃ!鳥じゃなく
ちゃ先には進めない。僕達じゃ、重力に縛ら
れた羽根のない僕達ではいけないところだもの。
「君、危ないよお!先生にしかられるよお」
僕は大声で言った。彼は僕の中で最も尊い人。
僕の友人なのだから。僕は恐ろしい気持ちで
一杯になって何度も彼に手招きをした。
「君もおいでよお。風が気持ちいいよお」
彼も大声で僕を呼んだ。彼の頬が夕日に
照らされてきらきら光っている。
僕は急に心細くなった。彼の影をこんなに頼り
なく思ったのは今日が初めて!
本当に彼がこの世から今まさに消えてしまおう
としているのではないかと思って、いそいで
彼のもとに走った。
「君、フェンスから手を離さないでおくれ!」
僕の慌てようは実に滑稽だったのだろう。
彼は愉快そうに笑っている。
いつも僕を臆病だと思っている彼は、わざと
僕に勇敢なところをみせようとしてくるのだ。
今日だってそのつもりで来たのだろう。
僕の無様な顔を笑うつもりだったのだろう。
僕はしっかりと理解しているんだ。
「今日は悪ふざけが過ぎるね」
彼は笑う。黒い髪が肩と一緒に揺れる。
すると急に真面目くさった顔をして、
「……死んだらどうなると思う?」
なんて言いやがった。
僕といったら、間抜けにも想像に殺されかけて
しまったのだ。(なんて情けない)彼が死ぬなんて
考えただけで涙が落ちそうなんだ!
「僕が死んでも世界はなにも変わらないだろな」
彼は言葉を続ける。
自分勝手な悩みだと僕は彼を憎らしく思った。
彼が本当に悲しそうな顔で、そんな馬鹿馬鹿しい
ことを口走るので僕は急に興が冷めてしまった。
彼なんか置いてさっさと教室に戻ることにした。
ひとり残された彼はポカンとこっちを眺めている。

【彼の命は僕の愛ゆえに重い】

彼はそんなことちっとも知らないのだ。
だから、そんなに自分勝手なんだろう。
僕はしっかりと理解しているんだ。

23 アリカ  [id : bEDIISC1] [2009-08-20(木) 19:33:10] 削除依頼

>>22

訂正

彼が本当に悲しそうな顔で、そんな馬鹿馬鹿しい
ことを口走るので僕は急に興が冷めてしまった。
僕は彼なんか置いてさっさと教室に戻ろうと、
踵を返し、彼ひとりを残してその場を後にした。
彼と言ったら実に阿呆そうに大口を開けてただ
黙ってこちらを眺めていただけだった。

24 アリカ  [id : dyxQmqP.] [2009-08-22(土) 13:39:13] 削除依頼

私の祖父。私の祖父は体が大きく肉感的で、
浅黒い肌をもつ人だった。
深い深い皺が彼の顔のいたる所に埋め込まれて
いて、白髪の髪が彼の頭部を覆い、野心や、
いまだ色褪せぬ少年のような若さがその瞳には
宿っていた。
彼の木の幹を思わせる指には、太く大きくいつも
丁寧に深く切られている爪が収まっていて、それは
よく血が滲んで黒く変色したり、歪に湾曲してもいた。
彼にはもう不安定な時間しか残されていなかったが
祖父の言葉や行動にはいつも生命力が満ちていて、
彼を愛する人々を安心させていた。
「おじいちゃん」
私が呼ぶと、祖父はいつも顔の皺を何倍にも増やした
笑顔で応えてくれた。
「なんだい?」
祖父はしゃがれ声で、しかしとても快活に答えた。
彼の座っている固いクッションの緑色の椅子が、彼が
身動きをする度に甲高い音を立てて軋んだ。
彼はいつもその椅子に座って、分厚い眼鏡をかけ本を
読んでいた。そこは彼の特等席だった。
「この前、蝉をみたの」
うんうんと、祖父は目を細めて相づちを打った。
「でも、啼かないの。あんなにやかましかったのに。
それに、黄色くて透けてたの」
祖父はすぐそれは抜け殻だねと、言った。
「抜け殻って?」
「形のある過去だよ」
「……私、分からないわ」
「はは、蝉だったんだよ。それは」
「今はちがうの?」
「だって、啼かないだろう。それ」
そう言い終わると祖父はさあ寝ようと、立ち上がり
私の手を取って階段を上がった。
祖父とベッドに入ると幼い私はすぐに眠りについた。
幸福な少女時代だった。

数年後。私は十四歳になっていた。
祖父の葬式だった。その日は朝から泣いた。
胸が苦しくてたまらなかった。冷たくなった祖父の体
をみつめながらずっとあの幸福だった日々の会話を
反芻していた。祖父は痩せこけて、皺だらけで、
ずっと肌が青白かった。白髪が棺の白と交じりながら
銀色に波打っていた。
あの時の蝉の殻が思い出された。祖父のこの体も
あの蝉の抜け殻と同じなのだと思うと、ぼろぼろと
涙が落ちた。これは祖父だが、祖父ではないのだろう
と、考えると不可解なズレを感じた。
これはもうあの祖父のように皺だらけで笑ったりは
しないし、くたびれた固い緑色の椅子に座り、分厚い
眼鏡をかけて本を読んだりしてはくれないのだ。

じゃあ祖父は一体どこに行ってしまったのだろう?
私の親愛なるおじいちゃんは!

【祖父の抜け殻】

ハンプティ・ダンプティ。
全て元には戻らない。

25 アリカ  [id : onN4Knz1] [2009-08-24(月) 23:47:38] 削除依頼

朝食はアップルパイ。
昼食は蜂蜜をトーストにかけるの。
晩ご飯はいらない。裸で眠る。
昨日決まったの、彼はもうここには帰らない。
さよなら、ぐっぱい、おげんきで。

彼の残り香の残るシーツ。
明日には捨ててしまおう。
裸で眠るのも今日で最後。
アップルパイももう食べない。
蜂蜜も本当は嫌いだったの。
明日からはコーヒー飲むの。
明日からは青いパジャマを着て眠る。
甘いものとはおさらば。
パプリカ食べるわ。ボール一杯。
そしたら、変わるわきっと。なにもかも。

私にお別れ。手を振ってさようなら。
キスをしてさようなら。
彼はもうここには帰らない。
遠くに行ったの。今朝の一歩前の国。
そこにはお別れした私もいるわ。
きっと今でも彼といるわ。

私はもうそこには行けない。

朝がきたらシーツを捨てよう。
アップルパイも蜂蜜ももう無い。
裸で寝るのは今日で最後。
明日になったらパプリカ買うわ。
ピーマンではだめ。赤と黄色のパプリカを。
コーヒー豆も買いに行く。
青いパジャマも買いに行く。
新しいシーツも。
それで安心。
今夜も眠る。
さよなら、ぐっぱい、おやすみなさい。

【ブルーブルーブルー】

26 アリカ  [id : onN4Knz1] [2009-08-24(月) 23:59:13] 削除依頼

>>25
もしかしたらじゃなくても
ぐっぱいじゃなくて、ぐっばいでした。
訂正

27 アリカ  [id : bW9qLIW.] [2009-08-27(木) 00:16:24] 削除依頼

【恋は盲目】

私の周りの友人達は地球上の全ての女子が皆おなじ
ように恋をしているものだと勘違いしているようだ。
私はこの愚かな勘違いをいまだに正すことができない。
そして、彼女達の恋の熱というものに私はしばしば
閉口してしまう。
彼女達は自らの恋する者を一度たりともしっかりとその
可愛らしい瞳で見たことがないのだろう。
それとも彼女達はもとより見る気はないのだろうか。
彼女達の恋の話ときたら、まるで夢物語のようで現実
との間にそれはそれは深い亀裂が生じているのだ。

28 アリカ  [id : Rq4RR/G.] [2009-08-30(日) 14:58:37] 削除依頼

【王様 2】

王様は絵が好きでした。
よく僕をモデルにして、眉間に皺を寄せながら
スケッチブックに絵を描いていました。
あまり王様は自分が描いた絵を人に見せたがり
ませんでしたが、モデルの僕にはよく見せてくれ
ました。王様はあまり絵が上手くはありません。
でもとても優しい絵を描きました。鉛筆の線は
柔らかな曲線を描き、いつも僕の隣には花を添えて
くれました。
絵のなかの僕は鏡のなかの僕よりも幾分ふくよかに
描かれていて、僕の髪は金色の巻き毛なのですが、
王様の描く少年の髪はいつも綿菓子みたいでした。
僕はその髪が好きだった。王様の絵が好きだった。
王様はいつも照れくさそうに絵をみせ、僕が必ずや
この絵になにかしらの賞賛を与えてくれることを
無邪気に期待していました。
そして、僕はいつも期待通りでした。
僕の王様はいつも青い瞳を細くして幸せそうに
笑いました。
たぶん、きっとこの世界の誰よりも僕は王様の笑顔
を愛しているのです。
だからいつまでも僕は王様のモデルをしていること
でしょう。
その下手な絵をいつまでも愛し、褒め称えるでしょう。

死が二人をわかつまで。きっと。

29 アリカ  [id : SEbNg5T1] [2009-09-04(金) 21:04:25] 削除依頼

女である私はいつも劣等感を抱いていた。
女であることが恐ろしかった。不条理だと
思った。男になりたかったのかもしれない。
でも、そうではないと思う。
男も同じように恐ろしかったのだ。
なので長い間、私はどちらにも成りきれないでいた。
十四歳の今、男子も女子も皆恋に心ときめかせ
ていた。
それをみつめながら私は、おざなりな猿芝居を
見せられている気分になった。苛立ちを覚えた。
そして、そう感じている自分にも苛立った。

それよりも憎むべきは血の色!

途絶えてしまう私の遺伝子。
悲しいのではない少しばかり寂しいだけなの。

【悪遺伝子】

30 アリカ  [id : fMgTDWc.] [2009-09-13(日) 14:39:03] 削除依頼

【瞬間接着剤】

くっついてしまった。
あられもなく。
くっついてしまった。
きづかぬうちに。

31 アリカ  [id : OWOBo24/] [2009-09-20(日) 17:47:53] 削除依頼

赤いリュックを買ってきた。
ポケットがたくさん付いたリュック。
これが有れば、どこにでもいけるような
気がしたのだけれど。
私はそこになにを入れて、なにを置いて
いけばいいのかとうとう分からなかった。
私は、ぼんやりと散らかった部屋の中で赤い
リュックを眺めていた。外はもう秋の空気
を漂わせていて、開け放たれたままの窓から
ひんやりとした風が皮膚にまとわりついた。
すると水と油みたいに分離していた私の体と床が、
お互いの体温を近づけて、私は床に吸い込まれて
いくのを感じた。

眩暈と共に。

私は空っぽだったと、気付いた。
だから私は何も悲しくはないのだ!
赤いポケットが空っぽだったとしても。

【赤いリュックと私】

何も無いということは、
何かを入れる余地がある、ということ。
入れるものが見つかればの話ですけれど。

32 アリカ  [id : wp8oK9Y0] [2009-09-27(日) 00:03:56] 削除依頼

あの子が飛んでいく。
わたしの手のひらをするりと抜けていく。
あの子は両の手を大きく広げて、軽やかな
ステップを踏む。
そのたびに黒い髪がなびいて、揺れる。
その髪は一本一本がまるで意志を持っているかの
ようだった。こちらを挑発している様にも見えたし
誘いかけて微笑している様にも見えた。
ともかく彼女は自由自在だった。
花畑の中で、わたし達は踊る。
二人とも狂ったように踊って、狂ったみたいに
始終笑っていた。
今日は彼女の誕生日。ソプラノの産声と共に彼女が
生まれてきた日。
「おめでとう」
わたしがそう言うと、あの子は照れたように笑う。
その姿のなんて愛らしいこと!
わたしは胸が締め付けられてしまって、それきり
なにも言えなくなってしまった。
わたしは彼女をみつめながら思った。
この可愛らしい少女を瓶の中に入れて、一生眺めて
いたいなあ、共に目覚めて朝日で彼女の顔をもっと
よくみてみることができたらいいなあ、
キスしまいたいなあ、このままずっと時が止まってしま
えばいいのになあ。

【このまま遠くに行ってしまいたいなあ】

こんな事を言ったらあなたはきっと笑い飛ばしてしまう
でしょうね。
ああ、愉快。

33 アリカ  [id : .xHLvua.] [2010-03-15(月) 21:52:17] 削除依頼

時々おもう。
瞼の裏側に彼が黒く存在していることを。
毎度感じる。
私が彼を許したとしてそれが何になると言うの?
何もかもが私の自己満足と偽善で、彼の思想を歪曲
して安心して自己完結。ただの欺瞞を自己の中で昇華
させて聖人気取りしているだけなのに。
嗚呼、真の愛を勝ち取るには私はあまりにも早熟しすぎていた!
彼を心から愛せないことがこの世で最も悲しい。
細胞と性がそれを告げる。

【ひとりよがり】

34 アリカ  [id : wwwdSGQ1] [2010-03-19(金) 23:58:17] 削除依頼


歓喜。
この世の全てが愛おしい。
これまでの悲しみにさえ感謝してしまうほど。
無間地獄からは抜け出せたのだろうか?
誰にも失望はされていないだろうか?
だめだ、思考停止。強制終了。
これは薄闇の足音。きょうふしん。まさつりょく。

お父さん。
あなたのつくるものはおいしいです。
私の糧すべてです。
そして理不尽の象徴で、絶対的な力です。
私の愛で、私の恐怖で、やすらぎです。
いつも私を許して下さい。
私の懺悔をどうか心から信じてください。
私の遺伝子すべてを愛してください。
どうか私に立ち向かう覚悟を。

苦しみからの解放。
それはいつだろう。
大人になったとき?子供に戻ったとき?眠るとき?
心から笑うとき?心から泣くとき?死ぬとき?
もしかしたら私は一瞬ごとに幸せなのかもしれない。
苦しみなど初めから存在していなかったのかもしれない。
そう錯覚するほどの一瞬の幸福。

【まばたきごとに火花が拍手】

今日こそは神を信じよう。
なにもかも許せますように。

35 アリカ  [id : Lbw1x5f0] [2010-03-27(土) 12:58:35] 削除依頼


何かを得るためには僕たちは若すぎる?
なぜ?
赤ん坊は僕の望むものを全て手に入れているよ。
そう思うと僕はひどく年寄りだ。

もうあの頃のように母に甘えてはいられないよ。
それが、あの憎らしい子たちと僕の違いだろう。
あの子らってまるで野獣さ!本能のままにしか動けないのだもの!
僕といえば歳をとるたびに理性ばかりが増えていって。
あんな風にはなれないよ、死んでもさ。

転んだなんて嘘だ。
真新しい傷を増やしていくのは理由があるんだ。
あなたには真っ先に気づいて欲しい。
いますぐ最優先事項を僕に、そうこの僕に切り替えて!
あの野獣たちをあなたの思考から一瞬でも追い出したいんだ。
僕はこのところずっと負けっ放しさ。

同じ腹から生まれてきたというのに、順番なんかであなたは区切るの?
あの子らと僕の対応の違いには世の中の理不尽さを感じてならない。
泣きはしないよ。でも、ずっとかなしい。

あなたには真っ先に気づいて欲しいんだ!!

【逆年功序列】

36 アリカ  [id : 4yGxiPF0] [2010-04-13(火) 20:30:35] 削除依頼

【はりぼてのあい】

糸と糸。
ほつれあった二人。逃れる事を望んでさえいないとしたら?
その瞬間さえ愛着を感じていたのならば?
思い出して、あの瞬間あの刹那、偽りあった瞬間でさえ。
僕等は幸せだったのではないだろうか?
思い出して。
僕たちの嘘はひろがってひろがって。
その波紋は僕たちを残酷なほど傷つけた、けれど。
けれども、僕等は僕等は。
狂気の中にしっかりとしたひとつの概念、絶対的で滑稽なほど
人間味を帯びたあの振動を感じていたのではなかろうか?
君が頑なに認識さえしようとしなかった一つの終幕、破綻は、
いつの瞬間も僕にははっきりと目に見えていて、
それは君を感じるほどに色濃く僕の全身に駆けめぐり、停滞していった。
しかし、僕には何も出来ないのだ。
僕はただただ(君の手札全てを理解していながら)待っている。
君の切り札が出る瞬間を(しかし君はいまだその切り札に目も
向けてさえはいない)。
ポーカーフェイスや触れ合うだけのキスは君のためではなくて、
もしかしたら僕自身のためで。たくさんの嘘は僕にとって目くらまし
のようなものだったのかもしれない。

しかし、そう気づいたところで僕は何をしようとも思わない。
決定権は全て彼女にあり、気づいた痛みさえ僕にはあまい。

37 アリカ  [id : FD5aalf/] [2010-04-19(月) 23:46:18] 削除依頼

【】

優しい人がいて。
優しい人は何もかもを肯定していた。
私は彼女の性質にいち早く気づいて、打算的な
無駄話を彼女に垂れ流していた。
私は多分偽善者で、利己的で、典型的な自己陶酔型で、
ひがみ屋だった。
彼女はあんまり優しくていつも私の話に頷いて、笑った。
しきりにしきりに、それが自分の唯一の主張とでもいう
ように、彼女は頷いていた。

いつしか、私は彼女は優しいのではなくてただ私の考えに
馬鹿みたいに頷くだけの人形のような人なのかもしれないと
思ってきた。
同時に自分が彼女に何を求めようとしていたかに気づき、
おざなりな笑顔を見たいと思いまた彼女に無駄話をもちかけた。

38 アリカ  [id : 1xvChxn1] [2010-05-01(土) 11:56:02] 削除依頼

神様

↑テスト

39 アリカ  [id : dORFfe//] [2010-07-10(土) 20:46:02] 削除依頼



紫陽花が浸食されて、枯れ。
湿気を帯びた熱気に喉が閉まった。
騒々しい音を立てる踏切の黒と黄色が僕の目の前でしん、と落ちた。
僕は立ち止まる。

小さな時に、いつも僕は眠るのが怖かった。眠っているあいだ自分
が酷く無防備で在ることに気づいたからである。その時の僕はたく
さんの妄想に取り憑かれている愚かな少年であったが、その妄想の
一つに、自分が眠っている間に小さなミミズほどの虫(表皮は紫よ
りもピンクに近いグロテスクな色彩で、細いからだに反比例して恐
ろしいほど大きい瞳を一つ持っていた。片方の瞳はいつも陰に隠れ
ていたので僕にはその存在を確かめることはできない)がぼくの耳
の穴にするすると入っていき脳味噌から僕を食べてしまい、最後に
はチョコの入っていないトッポのように(こんなまずい例えを使う
ことを許して欲しい。なぜならこのときの僕は本当に愚かで、比喩
もなんも知ったこっちゃなかったのだ。今なら透明な硝子瓶だとか、
空気の入ってない風船だとか、骨粗鬆症患者の骨のようだ、ぐらい
は言える)僕の中の内臓とか肉とかも奪い取っていってしまうのだ。
僕は恐ろしくて、出来るだけ何も考えないでベッドの横たわる術を
覚えた。これは今現在も同じ事だ。

思えばあの頃の妄想に僕は今でも囚われているのかもしれない。
僕は耳の傍に虫がとまった時なんかは、力の限り耳をひっぱたいて
しまって、三日も痛みと炎症が止まらなかった。

そんなことを考えている間に、目の前に黄色と黒がしん、と上がっ
ていった。

そうして、僕はやりきれない不安とふいに振り返りたくなる衝動を
抑えて、そっと進んでいった。

【大人の通行許可証】

お前はまだ、持っていない。

40 アリカ  [id : xsKO5OX1] [2010-07-22(木) 17:26:11] 削除依頼

>>39

ベッドに横たわる術〜〜

41 アリカ  [id : xsKO5OX1] [2010-07-22(木) 17:56:17] 削除依頼

【無題】

太陽に当てられたせいですっかり熱を持ってしまった
床に横たわった。
床はちょうど人肌と同じように温かく、確かな触感を
誇示していた。
隣にいた彼はそっと床を撫でて静かに微笑んだ。
私は薄く目を開けて、カーテンのすき間から洩れた穏や
かな光りが彼の輪郭をなぞっていくのを見た。
いつもはどちらかと言えば騒がしい方の彼は、こういう
瞬間にはひとつの植物のように黙ってしまう。
彼の黒い暖かな瞳は、そんな時には普段よりもずっと
印象的に彼の内面を映し出すが、他者がいくら注意深く
観察しようとも彼の表層ばかりを微かになぞるだけで
意味を与えなかった。
ただ、そこにはなにかが有るだろう、と彼を愛する者達
にそっと語りかけてくるのだった。

42 アリカ  [id : /aD8Cjz/] [2010-08-01(日) 21:24:47] 削除依頼



嘘ばかりをついて。
罰として羽根をもがれた。
時をみつめる老人が僕に言った。
「時はお前の中にある」
罪は僕の中にこそある。
老人は消えた、きっとまたどこか遠く
悲しみと喜びとそれ以外の混沌を見ている。

43 アリカ  [id : /aD8Cjz/] [2010-08-01(日) 21:53:47] 削除依頼

【友人】

いつも一緒に居た。
同じ空間を共有し、言葉で探り合って、
気まぐれに肩を抱いた。
彼女はなにも言わずとも何もかも分かっていた。
きっと私たちは同じ電波の波長を持っているの
だろう。彼女に感じる苛立ちも愛情も肌に馴染んだ。
愛は様々なかたちで表れる。
恋を知らない私は、時たま彼女への愛に一種の錯覚
を覚えてしまうがそれは間違いなくただの錯覚で。
愛という概念の中に存在する二つを選択し間違えそう
になる。
私の中の小さな天使を彼女はみつけた。
彼女の天使は瞳の中に潜んでいた。強い光りを放って。

私は天使をみつけた。だが愛で縛るには不安定すぎた。

44 アリカ  [id : vwu/lPs.] [2010-11-16(火) 19:37:12] 削除依頼


【哀れな女】

温厚な微笑みの中に腐敗した自己を隠している。
愚直な瞳の奥底には惨めったらしい悲しみと場違いの
憤怒が息づいていた。
自ら道化を演じてみせる肉は内面の苦痛とは相反して
滑稽に揺れた。

笑い顔が歪んで表面的な慈悲をもったほんとうの悪魔
が女を貫く、生命のまばゆい糸、不可侵、縛られる。

45 アリカ  [id : jRofk9P1] [2011-03-30(水) 13:45:06] 削除依頼

とりあえずあげ

46 アリカ  [id : w7usBvu1] [2016-11-23(水) 22:49:14] 削除依頼

【ななねんまえのおまえへ】

あのころ おまえはあらゆるものをもっていた

そして おまえはそのほとんどをうしなったようにおもっている

でも そうではない

おまえはなにひとつうしなうことはない

あいはえいえんにさかえる

しはだれしもにおとずれる

おまえはかわったとだれもがいう

おそれるな

うちゅうはあまりにもひろく

ときはわたしたちをとびこえていく

おまえはさぼくにあるすなつぶのひとつにすぎない

きかがくてきなけっしょうのなかにおまえがいて

ちょうしぜんてきなかくりつでそんざいしている

おまえはかんがえる

だれかをあいそうと

かんがえようと

わたしはおもう

あいを ゆめを しを

おまえはなにひとつうしなうことはない

あたえることをおそれるな

なんぴともおまえからうばうことはできない

しんじろ そして めをひらけ

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