幽鬼の復讐者

小説投稿投稿掲示板より。


1    ころんころん  [id : rubMWGpN] [2017-01-03(火) 13:16:27] 削除依頼

 たとえ我が身焼き付くされようとも、幽鬼に為りて復讐を果たす。

2 ころんころん  [id : rubMWGpN] [2017-01-03(火) 14:24:56] 削除依頼

 ネオン輝く夜の街。立て並ぶビルの森の中、一台の黒塗りで大きな車が走る。中には運転手と後ろの席に中年腹の男が一名。男は葉巻を胸ポケットから取り出し火を付ける。口から吐き出される煙がゆらりと揺れて視界を塞ぐ。

「ん?」
ふと煙越し、窓の向こう側に揺れる人影が見える。男はそれを視認すると途端に顔が青ざめ、車から飛び出す。
「……様!どうなさ……!」
運転手の声ももうその男には聞こえない。男はその影から逃れるように走り出す。ビルとビルの隙間の路地に、行き止まりに手を当て後ろを振り返る。
その影の姿の間近にまで迫っていた。
黒のロングコート、片手に太刀、もう片方の腕は青い炎のような物でユラユラと揺れていて、その明かりで映し出される顔は悪鬼、幽鬼そのものだった。
かっ

3 ころんころん  [id : rubMWGpN] [2017-01-03(火) 14:25:42] 削除依頼

さっそくミスです
最後のかっ。は打ちミスです。

4 ころんころん  [id : rubMWGpN] [2017-01-04(水) 10:44:11] 削除依頼

 夜が明け、日が出た頃、街の片隅は騒がしくなった。大企業の社長が路地裏で死亡していたのだ。だが目立った外傷はなく、誰が殺ったなどの確証もない。だが被害者の顔は恐怖に引きつっており、ドライバーの話によれば何かの持病を持ってるわけでもない。
 新米の刑事が初老の警部に小声で話しかける。
「何が起こったんですかね。ここで」
「さあな」
すると初老の刑事は一度路地裏からでて懐からタバコを取り出しライターを取り出す。
「こりゃ普通じゃねえよ。俺達の管轄外の話かもしれんな」
「こういうのは首を突っ込まないほうがいい」
それだけいうとタバコを咥えて火をつけた。

5 ころんころん  [id : rubMWGpN] [2017-01-04(水) 11:18:29] 削除依頼

 「……以上が報告だ」
何処かもわからない窓もない暗い部屋。5つの影が鎮座する。
「ありがとう、二島」
初老の警部、二島と呼ばれたその男は溜息をつく。他の四人も同様だった。
「元締めがあっさりと殺られたな」
「まあ、普通の人間だしね。普通の」
若々しい声や女の声、様々な声がガヤガヤと騒ぎ出す。すると一人が手を叩き、注目を集める。
「無駄話はそこまでだ。殺られた奴などどうでもいい」
「奴が戻ってきたんだよ。七人目が」
 すると細身の優男が立ち上がる。
「僕がまず会いに行ってみるよ」
「場所はわかるのか?」
「何、少し外をブラブラしてればすぐにでも会えるだろうさ」
優男がドアに手をかけ、初めて部屋に光が入る。
「奴は目立つ格好してるし、奴はきっと僕らを見逃したりしないしね」

6 ころんころん  [id : rubMWGpN] [2017-01-05(木) 11:01:06] 削除依頼

 街外れの大橋の下、黒のロングコートの男が刀を肩にかけ、腰を掛けていた。顔には滝のように汗が流れ、目は瞬き一つせず切れたナイフのようにギラギラと輝いていた。

「宣戦布告は終わった?七村」
大きな旅行カバンを持って、金髪ツインテールの美少女が男の前に現れる。男はその女の子を視認するといままでからは想像できないほど優しげな目つきになり、ほっ、と一息漏らした。
「ああ、終わったよ。ナターシャ、あとは奴らを引きずり出す」
 ナターシャはクスッと笑う。その表情はあどけない少女そのものだった。もちろんこれからすることを考えなければ……だが。

7 ころんころん  [id : rubMWGpN] [2017-01-05(木) 22:28:42] 削除依頼

 二人は街へと戻る。もちろん七村の持っている刀は堂々と持ち歩く訳にはいかないのでゴルフバッグに入れてある。目立つ風貌をしてはいるが人混みに紛れてしまえばさほど問題はなかった。
 「お腹は減ってないかない?」
七村は優しく呟く、ナターシャは少々鬱陶しそうに首を横に振った。
 「子供扱いは結構。私と貴方、協力関係ではあるけど、仲良くするつもりは無いわ」
あくまで協力関係。その言葉に七村は少し微妙な笑みを浮かべる。それは少し寂しそうにも見える笑いだった。

8 ころんころん  [id : rubMWGpN] [2017-01-05(木) 22:39:01] 削除依頼

 人混みを混じって歩いていると目に入る金髪が見える。それはその人混みの中でもかなり浮いていて存在感を放っていた。
 まるで貴公子を思わせる佇まい。端正な顔立ちと洒落た白いスーツ。間違いない奴は……。
「ナターシャ」
七村のそのたった一言に、こくりと頷きナターシャは後ろの人混みの中に身を隠す。
「ナンバー7」
その男が七村に声をかける。まるで昔の知り合いにあったかのように。七村はバッグから手を離し戦闘態勢を取ろうと身構える。するとその男は肩にポンと手を置く。
「場所を変えよう。ここじゃやりにくいだろう?」

9 ころんころん  [id : rubMWGpN] [2017-01-05(木) 23:06:00] 削除依頼

 「僕はいま睦岡を名乗ってるんだ。ナンバー6だから、むっつ。安直だろ?」
睦岡、その男に連れられ七村は廃ビルの屋上にやってきた。向かいには橋と路線があり、この屋上自体遮蔽物と呼ばれるものはほとんどない。
 「君の挨拶、なかなかだったよ」
それは本心から出た本気の賛辞だった。
 「あの男、人の体弄くり回した挙句、君を切り捨てる命令を出した本人だもんな?そりゃぶっ殺したくなる理由もわかるよ?」
 まるで一人、納得するように頷く睦岡は、ニッコリ笑って手を差し伸べる。
 「もう一度、戻ってこい。また楽しくやろう」
七村は無言でその手を払い除け、今度こそバッグに手をかける。すると睦岡はやれやれといった表情を浮かべる。
 「だよなぁ。実行したの僕らだしなぁ」
 「実はさ。サイボーグ技術の量産がうまくいきそうだったんだよ」
 「だけど君がアイツを殺しちゃったせいで計画駄目になっちまって」
 七村が刀を振り抜く。睦岡はそれを確認すると時計を見る。
 「僕らオリジナルのサイボーグ兵には劣るらしいけどね」
 「だけどサイボーグだったのは1から6まで、君は結局薬物による肉体強化止まりだったな」
 「どうやって殺し切るつもりでいたんだ?」
その言葉と同時に電車が通過する。睦岡は走りビルの屋上から電車へと飛び移る。七村もそれを追って電車へと飛び移った。

10 ころんころん  [id : rubMWGpN] [2017-01-05(木) 23:34:36] 削除依頼

 強い風が体を揺さぶる。七村は刀をくるりと回して持ち直す。睦岡も観念したのか、懐から大型の拳銃を2丁取り出す。
 「暴力ってのは趣味じゃないんだがね」
その言葉もきっと本心なのだろう。だが七村の目は既にあの切れたナイフのようになっていた。
 「遺言はそれで終わりか?」
言葉の端々には憎悪のようなものしか感じられない。それを認識すると睦岡は銃を撃った。七村もそれに臆せず間合いに飛び込む。
 刀は腹を狙い横から滑り込むが睦岡は前腕を滑り込ませ刀を止める。本来ならばそのまま一刀両断といけたのかもしれないが、前腕に食い込んだ刀は真ん中以上切り込めないでいた。
 「サイボーグ様々だな?」
睦岡はそう言うと自由な方の腕で七村の頭に狙いをつける。七村は刀を急いで引き抜き歯軋りしながら腰を曲げ海老反りになり回避を試みる。大きな破裂音がそれに間髪いれず叩き込まれた。
 さすがに避けきることはできず顎から下唇の一部を掠め、血はボタボタと流れ出た。

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