空白の夢の中で

小説投稿投稿掲示板より。


1    NATUME  [id : 3cVNhvM9] [2016-12-06(火) 01:37:08] 削除依頼

空白の時間。空白の場所。空白の世界。
みんなは経験したことがあるだろうか。
自分以外に、人も、犬も、猫も、家の家具も、この地球も、そして色でさえ、本当に何も無い時間、場所、世界。
僕はそんな世界に、みんなが寝ている時間の間だけいるんだ。
そんな世界、考えられるかい?僕は現実の僕が起きるまで、およそ7時間、そこに毎日存在する。はっきりと。
何も無い、空白の夢の中で。

2 NATUME  [id : 3cVNhvM9] [2016-12-06(火) 01:45:57] 削除依頼

朝7時。携帯のアラームが無機質な僕の部屋に鳴り響いた。
僕はベットの上で必死に携帯を手探りで探し、アラーム解除ボタンを押した。
はぁ…
いつものように、現実世界に戻ってきた。

3 NATUME  [id : 7jEWIuSf] [2016-12-06(火) 16:51:00] 削除依頼

夢の中では、意識があるだけで体が起きているわけではないので、寝起きは普通の人と同じく眠い。だからいつもベットから起き上がるのには10分ほど要する。それから洗面台に顔を洗いに行き、トイレを済ませてから台所のトースターでパンを焼く。焼きあがるまで着替えて、焼きあがったらジャムを塗っておいしくいただく。毎朝、何百回と繰り返してきたいつもの動作。
なにも特別なことなどない、いつもの朝。
これが僕にとって、かけがえのない特別な日となる一日の朝だった。

4 にゃんふ~  [id : 3gMmBUpb] [2016-12-06(火) 21:25:52] 削除依頼

精神体の話でしょうか?
続けに期待w

5 NATUME  [id : 3cVNhvM9] [2016-12-06(火) 21:45:08] 削除依頼

コメントありがとうございます!
精神体ではないですかね…
期待に添えれるよう、頑張ります。

6 にゃんふ~  [id : 3gMmBUpb] [2016-12-06(火) 21:59:21] 削除依頼

誤字しちまったw
斬新なアイデアで感服しましたw
頑張って下さい(ノ·ω·)―――◎ヨーヨー

7 NATUME  [id : 7jEWIuSf] [2016-12-08(木) 17:04:25] 削除依頼

今日、転校生がくるって!
誰かは知らないが活発そうな女子が、友人数人達のところへと駆け寄りながら大きな声で言った。
今日は11月13日の水曜日。転校生がくるにはあまりにも中途半端すぎる日だ。

8 NATUME  [id : 7jEWIuSf] [2016-12-09(金) 18:40:02] 削除依頼

今更だが僕はこの山科高校に通う高校二年生だ。
今は冬なのでこの高校に入って一年と八ヶ月になるのだが、未だ校舎内で迷うことがあるほどこの高校はでかい。
公立なのに凄いと思う。

9 NATUME  [id : 3cVNhvM9] [2016-12-10(土) 01:32:56] 削除依頼

話が逸れたが転校生がどんな人かというのは、実は内心少し気になっている。
別に美人の転校生だったらいいなとかそういう類の気になるではなく、ただ単に最近特に変化のない日常で少し退屈していたからだ。
別に大幅な変化を求めている訳じゃないけれど、毎日が同じような日々だとどうも生きているという感じがしない。
現実の方で生きている感じがしないというのは、空白の7時間がある僕にとっては致命的なことである。
なのでそろそろ真っ白なキャンバスの上に一滴だけ、赤い絵の具が欲しかった。
放置してたらすぐに乾いて消えるけど消えるまでずっと色を出し続ける色が。
だから今日来る転校生が少しでも退屈から逃れる題材になればいいな。
そんなことを考えていたら、いつの間にか朝のHRは始まっていた。

10 NATUME  [id : 3cVNhvM9] [2016-12-10(土) 01:57:08] 削除依頼

「じゃあ四条さん、入ってきて下さい。」
担任の野口先生が落ち着いた声でドアの方へと呼びかけた。
「分かりました」
ドアの向こうから気品溢れる返事が来た。
なにか小説に出て来るお嬢様をまるっきり連想させるような声だった。
転校生はドアを静かに開けて、こっちを向いて一礼し、真っ直ぐに教壇の上にへと上がった。
見た目もお嬢様だった。
黒く真っ直ぐに伸びた綺麗な髪に、日本人らしい整った顔立ち。
スタイルも完璧でおまけに……
それは置いといて何がなんであれとりあえず美人ってことは伝わっただろうか。
先生が「自己紹介をしてもらいます。」と啖呵を切り、転校生ならぬお嬢様はその言葉から1、2秒間を開けてから自己紹介を始めた。
「名前は四条華蓮です。
前は高欄高校にいたのですが少し色々とありまして…
あと、こんな中途半端な時期に転校してきたのは、急ぎだったからです。
あとは…趣味。趣味は謎解きが好きですね。
あと最近は音楽も良く聞きます。
こんなもんですかね。
では

11 NATUME  [id : 3cVNhvM9] [2016-12-10(土) 01:57:09] 削除依頼

「じゃあ四条さん、入ってきて下さい。」
担任の野口先生が落ち着いた声でドアの方へと呼びかけた。
「分かりました」
ドアの向こうから気品溢れる返事が来た。
なにか小説に出て来るお嬢様をまるっきり連想させるような声だった。
転校生はドアを静かに開けて、こっちを向いて一礼し、真っ直ぐに教壇の上にへと上がった。
見た目もお嬢様だった。
黒く真っ直ぐに伸びた綺麗な髪に、日本人らしい整った顔立ち。
スタイルも完璧でおまけに……
それは置いといて何がなんであれとりあえず美人ってことは伝わっただろうか。
先生が「自己紹介をしてもらいます。」と啖呵を切り、転校生ならぬお嬢様はその言葉から1、2秒間を開けてから自己紹介を始めた。
「名前は四条華蓮です。
前は高欄高校にいたのですが少し色々とありまして…
あと、こんな中途半端な時期に転校してきたのは、急ぎだったからです。
あとは…趣味。趣味は謎解きが好きですね。
あと最近は音楽も良く聞きます。
こんなもんですかね。
では

12 NATUME  [id : 3cVNhvM9] [2016-12-10(土) 01:58:44] 削除依頼

連レスだし中途半端だし最悪です…
本当にすいませんでした…

13 NATUME  [id : 7jEWIuSf] [2016-12-12(月) 15:13:05] 削除依頼

四条のセリフからで
「名前は四条華蓮です。
前は高欄高校にいたのですが少し色々とありまして…
あと、こんな中途半端な時期に転校してきたのは、急ぎだったからです。
あとは…趣味。趣味は謎解きが好きですね。
あと最近は音楽も良く聞きます。
ではこれから、よろしくお願いします。」

14 NATUME  [id : 3cVNhvM9] [2016-12-13(火) 02:32:43] 削除依頼

四条は軽く一礼すると、野口先生に指示された席へと優雅に歩いていった。
美しすぎる…
この教室に居た全員がそう思ったはずだ。

15 NATUME  [id : 3cVNhvM9] [2016-12-13(火) 02:42:07] 削除依頼

転校生が来たからといって特に何があるという訳でもなく、いつも通りに時間が過ぎていった。
休み時間になるとみんな四条の気を引きたいがために一斉に机の周りに集まり騒いだので、読書を嗜むには少々うるさかったくらいか。
まあそんなことで、転校生が僕の真っ白なキャンバスに、色を付けてくれることはなかった。
でも、転校生が僕のこの先の運命を変えたのは間違えないといっていいだろう。

16 NATUME  [id : mihPWzZE] [2016-12-13(火) 03:36:27] 削除依頼

訂正

いつも通りに時間が過ぎていった。→いつも通りに時間は過ぎていった。

17 NATUME  [id : 7jEWIuSf] [2016-12-13(火) 17:16:00] 削除依頼

6時間の長いようで短い授業が終わり、担任が連絡事項を伝えるだけの簡単な終礼を済ませたら、後はもう自由な放課後だ。
しかし今日は、僕が入っている図書委員会の仕事で本を図書館から生徒会室まで運ばなければならなかった。
まぁ図書館に行くついでに新しく入ったらしい新刊でも借りてみるか。
そんなどうでもいい決意をしながら廊下をゆっくり歩き、目的地へと向かっている途中。
「おーい!セン~!」
僕の名前を大きな声で呼びながら駆け寄ってくるのは、僕の唯一の友達、菅野新太であった。

18 NATUME  [id : 7jEWIuSf] [2016-12-14(水) 17:34:18] 削除依頼

いや、唯一の友達というのは少し語弊があるか。
他にも仲のいい人はいるが、唯一の、空白の夢を理解してくれている友人だ。
このことは、本人には言ってないが本当に感謝している。

19 NATUME  [id : ZzJtkWbD] [2016-12-15(木) 17:30:33] 削除依頼

「どこ行くんだ?…………あぁ。図書委員会の仕事か。」
「生徒会室までね…。僕に生徒会で知ってる人いないから怖い…。」
「生徒会か。たしか会計の人が同学年だったはずだ。その人に押し付けたらいいんじゃないか?」
会計の人か…。覚えおこう。初対面の上級生に話しかける勇気なんてものは持ち合わせていない。
「ありがとう。じゃあ行って来る。」
新太に別れを告げる。
「本当なら俺もついていきたいんだが…。お前と同じく委員会の仕事があってだな。すまない、頑張ってくれ。」
「大丈夫。なんとかなるだろ。んじゃまた明日。」
「おう!また明日な!」
そういって僕達はそれぞれ違う方角に向かった。

20 NATUME  [id : ZzJtkWbD] [2016-12-15(木) 17:33:11] 削除依頼

東の階段で2階に下りたところに生徒会室はあった。
まわりの部屋は副教科でたまに使うくらいのものしかなかったので、比較的に落ち着いた場所だった。

21 NATUME  [id : ZzJtkWbD] [2016-12-16(金) 14:17:02] 削除依頼

生徒会室のドアを軽くノックする。
そうして10秒くらいすると、なかから返事が返ってきた。
「図書委員の人?ちょっとまってね!」

22 るふと  [id : s3kyjMqr] [2016-12-17(土) 17:48:29] 削除依頼

同時投稿がんばって

23 NATUME  [id : ZzJtkWbD] [2016-12-17(土) 19:08:55] 削除依頼

>22がんばれたらがんばります。

24 NATUME  [id : ZzJtkWbD] [2016-12-17(土) 19:19:09] 削除依頼

5分ほどしてドアが開いた。
「お疲れ様です。そこに置いておいてください。」
開いたドアから現れたのは四条だった。
「了解。……転校して1日目の君が勝手にやっていいのか?」
「ちゃんと中の指示があったので問題ないですよ。」
じゃあ生徒会の人は忙しくて出てこれないということか。
そう結論を付け、一応礼を言ってから帰ろうとしたら、四条が僕を引き止めてこう言った。
「すいません…。もしこの後時間があれば、私にこの学校を案内してもらえませんか…?」

25 NATUME  [id : mihPWzZE] [2016-12-18(日) 01:06:52] 削除依頼

こんな面倒事でも引き受けてしまうのは僕がお人好しだからなのだろうか。
多分、違うんだろうなと思う。おそらく本当は、また当てもなく変化を欲しがっただけなんだ。
そんなことを思いながら、僕は職員室から活動しているのかさえ分からない文芸部の部室まで、隅々と学校を四条に案内した。

26 NATUME  [id : mihPWzZE] [2016-12-18(日) 01:51:36] 削除依頼

「本当は生徒会の人が案内してくださる予定だったのですがどうしても忙しいらしくて…
助かりました。本当に今日一日、ありがとうございました………セン君。」
全ての案内を終えてここ、下駄箱に帰りの支度をして辿りついたのは、もう夕暮れ時だった。受験を控えて図書館で遅くまで勉強していただろう3年生が数人で偏差値やら話をしているのを横目にしながら、四条は今日の学校案内について、お礼を言ってきた。
なんとなくお礼は言われるのは分かっていたが、名前まで呼ばれるとは全くもって想定外のことで、僕は少したじろいだ。
しかしそれ以降はそれ以上、互いに何も望まずに校門を出て少し歩いた辺りで僕らは別れの挨拶を交わした。
さよなら、と。

27 NATUME  [id : mihPWzZE] [2016-12-18(日) 02:15:18] 削除依頼

いつもより暗い帰り道を、いつもの通り歩いていた。流石は冬の夜、というところか。肌が出ているところに冷たく鋭い風が刺さり、痛みさえも感じるほどの冷たさが体全体を包んでいく。
そんな中でも、考えてしまうことがある。今は午後6時。空白の時まであと、6時間。
今日は何をしただろうか。何が楽しくて何が僕を苛立たせただろうか。何か周りで変化したことはあっただろうか。
考えなくてもいいのに、考えてしまう。こんなこと、思い出す必要なんかないのに、つい過去を掘り返してしまう。
多分、怖いのだ。毎日太陽のように表れる、でも、その光はまるでブラックホールのような黒い光。
そんな中に、毎日のように引きずり込まれて空白の時間を過ごすねが。
いつか帰ってこれなくなる時が来る、ということが確証なんて全くないのに不思議と考えてしまえることが。

28 NATUME  [id : mihPWzZE] [2016-12-18(日) 02:21:10] 削除依頼

訂正
空白の時間を過ごすねが。→空白の時間を過ごすのが。
誠に申し訳ございませんでした…

29 NATUME  [id : 3cVNhvM9] [2016-12-19(月) 02:20:37] 削除依頼

そんな考え事をしていたから、きっと注意力が散漫してしまったんだろう。
車道から猛スピードで向かって来る黒い車に気付くのは、遅かった。
身体が、砕けた。
そんな感覚だった。
身体から力が、熱が、感覚が。
全てが奪われた。
自分の体が、死体も同然のように感じた。
もう、死んでしまうのだな。
自然とそういう考えが頭の中に浮かび上がった。
そしてその瞬間、僕の意識は途絶えた。

30 NATUME  [id : 3cVNhvM9] [2016-12-19(月) 02:24:26] 削除依頼

またもや訂正です。
気付くのは、遅かった。→気付いたのは、車の冷たいボディが僕に触れた時だった。
すいませんでした…

31 NATUME  [id : 3cVNhvM9] [2016-12-20(火) 00:38:06] 削除依頼

死んではいけない!
誰かがそう呼び掛けた声が、聞こえた気がした。

32 NATUME  [id : 3cVNhvM9] [2016-12-26(月) 21:56:31] 削除依頼

気付いたらそこは、空白の夢の中だった。
死んでなかったのか…
てっきりもう自分の目で何かを見ることはないだろうと、車にぶつかる瞬間、思ったものだ。
体は鈍さはあるものの、大きな痛みというか、そういうものはほとんどなかった。

33 NATUME  [id : 3cVNhvM9] [2016-12-27(火) 00:39:02] 削除依頼

そして、今日のこの世界はいつもとは少し違うみたいだ。
これが、僕の求めていた変化なのかもしれない。
違うにしろ、しばらくは退屈しなくて済みそうだ。
そう、この世界に一人の少女がいたのだ。

34 NATUME  [id : 3cVNhvM9] [2016-12-27(火) 01:00:04] 削除依頼

少女は僕の50メートルくらい先に、空白だから正確には分からないけれどとにかくそれくらいのところに立っていた。
こちらには後ろ姿しか見せておらず、こちらには気がついていないみたいだ。
僕はとりあえず歩き出し、だんだんとその少女に近づいていく。
あと10メートルというところか。
ようやくその少女は僕に気付いたようで、ふわっと振り返り僕の方を見た。
少女は、僕と同い年くらいのように見えた。
綺麗。
その言葉が、とてもよく似合う少女だった。
鮮やかな黒色の髪は、後ろでポニーテールにしてくくっており、
顔立ちも一つ一つのパーツが美しく整っている。
今日転校してきた四条とはまた違う美しさがあった。
「誰ですか?」
その少女は、僕を見るなりにそう言った。

35 NATUME  [id : 3cVNhvM9] [2016-12-28(水) 02:28:01] 削除依頼

それはこっちのセリフでもあるな、と心の中で密かにぼやきながら僕は答えた。
「千里成です。まあセンと呼んでいただけたら。君は?」
「私は御影楓。呼び方はお好きにどうぞ。………何故あなたはここに居るの?」
「夜道を一人で歩いていたら事故に巻き込まれて、それからいつの間にかここに居た。君こそ、どうしてこんな所に?」
「そうなの……あなたも事故でここに来たのね。私もあなたと同じよ。現実の世界で事故に遭うまでは、現実とこの不思議な世界、そうね、『空白の世界』とでもいうかしら。とにかくその二つの世界行き来していたわ。
そしてある日、事故にあった。寒い日だったわ。少しクラスメイトとの会話が長くなってしまって、とても暗い道を一人で歩いていたわ。そしたら車がぶつかって来て。最後に現実で見たものはその車のどす黒い色だったわ。それから私は、3年間この無慈悲な白しか見てないわ。そうね、まるで監獄よ。いや、監獄の方が余程ましだと思うわ。何も、ないもの。まあ知っていたことだけど。3年という年月はあまりにも長すぎたみたい。あなたのような人ですら、目の前に居ただけで泣きそうな気持ちにさえなるもの。」
そういって御影は、目元が緩んだのか、そっと目をこすった。
「そうか。大変だったんだな………」
そういいながら僕は一つの決心をした。
彼女を助けようと。僕はどうなってもいいから、彼女だけは絶対に元の世界、現実の世界へと返さないとと。
こんな短い間の会話だけでセンをそう思わせてしまうほど、目の前にいる少女の姿は弱々しかった。

36 NATUME  [id : 3cVNhvM9] [2016-12-29(木) 01:08:11] 削除依頼

訂正
こんな短い会話の中でセンをそう思わせてしまうほど……→こんな短い会話の中で僕をそう思わせてしまうほど………

37 NATUME  [id : ZzJtkWbD] [2016-12-29(木) 15:12:00] 削除依頼

 それからしばらく、僕達はこの世界についての話をした。
どうやって生み出された世界なのか。なぜ僕達のほかにはなにもないのか。
時間も忘れるほど話し合った。そして、二人で一つの結論を出した。
共にここから出て、現実に戻ろうと。
絶対に、離れ離れにならないと。決めた。
御影は少し、いや大分毒舌で、気が強いけど、そんなのは関係ない。
二人で、元の世界に戻る。二人でずっと、ここで暮らす。
恋とは違う。でも、彼女はもう会って何時間しかたってないけど、僕にとってはもう特別な人。
この空白の世界が、彼女がいるだけでとても鮮やかになったように、僕は感じている。
「まずはどこまで行けるか歩いてみるのがいいかもしれないわね。。今日はもう休んで明日からいきましょうか。」
御影は締めくくりにそう言った。
「そうだな。なにか手がかりがあるかもしれない。……そういえば御影は今まで歩いていってみたのか?」
「あるけど、歩くたびに絶望を見せられてる漢字がしてそう遠くまではいってないのよ。あと上の名前で呼ぶのはやめない?」
「そうだな…楓。」
「虫唾が走るわね。」
「やめてください豆腐メンタルなんです死んでしまいます。」
「…冗談よ。それに私達、もう一回死んだようなもんじゃない」
「そうだな…。でもそう考えるとこの世界に『救ってもらった』かもしれないんだな。」
「いままでそんな考え方、出来もしなかったわ…。」

38 NATUME  [id : ZzJtkWbD] [2016-12-30(金) 14:37:29] 削除依頼

やはり誰かそばにいるだけで、その場所の見え方は全く違う。
楓のこの言葉を聴いて、僕はそう思った。
この世界でずっと一人というのは、刑務所や監獄なんかよりよほど辛い場所だったはずだ。
それを考えると、最初あった時いくらか冷静だったように思える。
たぶん楓は、精神状態的にとても強いのではないか。
この時は素直にそう思った。
「じゃあしばらく休憩しましょう。」
という楓の言葉とともに、僕達は休息の時間に入った。
この日、僕は初めて『睡眠』という体験をした。

39 NATUME  [id : ZzJtkWbD] [2016-12-30(金) 15:02:12] 削除依頼

目が覚めた。
意識的に眠るのはこれが初めてだあったので、すこし脳がくらくらとした。
隣を見ると、楓はまだ寝ていた。
3年ぶりに人の顔を見ると、やはり疲れるのだろうか。
僕はググッと伸びをし、とりあえずこの世界と僕が寝ている間にいた世界との違いについてまとめてみた。
まず何より、楓がいること。
僕の中の世界では、僕の他にはなんの生物も存在しなかった。
そして、睡眠をとることができること。
このルールがあるおかげで僕は昨晩、人生で初めて意識と共に眠ることが出来た。
あとは僕がいた世界との相違点は今のところ見当たらなかった。
ここは楓の世界で、僕の世界はまた違うところにあるのかも知れない。
ちょっとした仮説染みたことを立てていたら、楓が「何一人でぶつぶつ言ってるの?」といいながら、ゆっくりと伸びをして立ち上がった。

40 NATUME  [id : mihPWzZE] [2016-12-30(金) 19:55:38] 削除依頼

訂正
意識的に眠るのはこれが初めてだあったので→意識的に眠るのはこれが初めてだったので

41 MATUME  [id : mihPWzZE] [2016-12-31(土) 03:11:56] 削除依頼

「じゃあ行きましょうか。」
楓は起きてノータイムで提案してきた。
見るところによると、もう昨日ほどの弱々しさはなかったが、まだ体はついて行けてないのか楓はそう言いながら少しよろついた。
「大丈夫か?」
「問題ないわ」
即答だった。
「とりあえず行けるところまで行って、何となく気疲れしたら休むを繰り返しながら進もうか。」
「そうね。諦めを付けるのは大体7日分くらい睡眠をとってからまた考えましょう」
ちなみにこの世界にもちゃんと疲れというものはある。ないのは空腹感と喉の渇きなどの生理現象くらいだ。
全く…優しいようで鬼のような世界だ。
そんなことを考えていたら、楓はもうすでに歩き出していて、僕は慌てて後を追った。

42 NATUME  [id : ZzJtkWbD] [2016-12-31(土) 12:15:09] 削除依頼

「本当に…なにもないな。」
歩き続けて3時間くらいたった(この世界には時間を計るものはないので、大体だが)が未だに見える景色は変わらない。
ただただ疲労感だけが溜まっていく。どれだけ疲れても、のどの渇きや空腹感が生まれないのもまだなんとなく慣れない。
「そろそろ休憩したほうがいいかしら。」
楓に疲れた様子はほとんどないけれど、僕の疲労感が見て取ったのか、そう提案してきた。
「すまない…。少し疲れた。」
「別にいいのよ。」
楓はそう言って、その場に腰を下ろした。
僕もそれに倣い、すぐそばへと座った。

43 NATUME  [id : ZzJtkWbD] [2016-12-31(土) 12:22:12] 削除依頼

本当に、絶望を打ち付けられている気分になる。
3回ほど休憩を挟んで、僕達は歩き続けた。
が何も現れる気配さえしない。
希望という言葉が、頭の中から躊躇なく消されていく。
でも、それでも隣には楓がいる。
その事実だけで、ただそれでけで僕は足を前へと進める。

44 NATUME  [id : mihPWzZE] [2017-01-01(日) 02:24:16] 削除依頼

明けましておめでとうございます。
いるかはわからないですけど読者の皆さん、今年も『空白の夢の中で』をよろしくお願いします。

45 NATUME  [id : ZzJtkWbD] [2017-01-03(火) 02:20:00] 削除依頼

孤独と絶望しかない、この空白の世界。希望なんて言葉はまるで見当たらず、理想さえ見させてくれない。水槽のなかの金魚のように、見渡す色はまるで変わらず、ただ水槽のなかで生きるだけ。ただ一人、存在するだけ。そんな中私は、3年間孤独と共に過ごして来た。水槽の中の金魚みたいに、ただ生きてきた。
前に進むことも、後戻りすることも許されず、生理現象という人としての行為さえ奪ってくる。
そんな世界。そんな、理不尽で埋め尽くしたような世界。
私が何をしたわけでもない。誰かの物を盗ったわけでもないし、誰かを殺したわけでもない。ただ人間らしく、世界を害することなく生きていたはず。
それなのに、それなのに何故、こんな世界に存在しないといけないの!
ここに来た当初はそんなことばかり考えていた。

46 NATUME  [id : mihPWzZE] [2017-01-04(水) 17:15:20] 削除依頼

うわぁ………
読み返したら誤字がたくさん…
気にしないでいただけたら嬉しいです

47 NATUME  [id : ZzJtkWbD] [2017-01-05(木) 02:45:35] 削除依頼

そして、しばらく時が経った頃には、そんなことを考えることすら出来なくなっていた。
しかし今、私の隣にはセンがいる。彼がこの世界の根本的ななにかを変える力を持っているわけじゃない。ただ、私と同じように理不尽にこの世界に連れてこられた。それだけ。ただそれだけなのに、今、私が見ているこの世界は、私が今までいた世界とは何故かまるで違う色に見える。水槽の中から見えていた景色が、まるで海の中から見ているような景色のように思える。
センはもう、私にとって特別な人だった。
今まで幽閉されていた感情が、センと会話するだけでどんどん溢れ出てくる。昨晩、この世界で初めて暖かな気持ちで寝ることができたのも、センが隣にいたからだ。
恋とは、違うと思う。今まで恋なんてしたことないから確かめようもないけれど。

終着点なんて見えもしない。地図も、方位磁針も、道さえない。
こんな状況、一人なら崩れ落ちていた。
でも、何故か二人であれば、どこまででも行ける気がする。

48 NATUME  [id : mihPWzZE] [2017-01-05(木) 02:58:30] 削除依頼

そして私達は黙々と空白の土を一歩ずつ踏み出していく。

49 NATUME  [id : mihPWzZE] [2017-01-05(木) 03:00:25] 削除依頼

即刻性のある修正
踏み出していく。→踏みしめていく。
でお願いします。

50 NATUME  [id : mihPWzZE] [2017-01-06(金) 21:15:23] 削除依頼

急ですが書きやすさなどの関係上、別サイトにこの小説を移させて頂くことにしました。
今後、ここでまた更新するかはまだ未定です。
申し訳ありません。

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