メモ用23コメント

1 p id:FWnoI15z

2017-04-14(金) 19:13:37 [削除依頼]
話が少し逸れちまったが、
田村はその後病院に搬送されて
そのまま入院することになった。
アバラが数本折れちまってて、
頭を強く打ったからか、まだ意識が戻っていないらしい。
  • 4 p id:FWnoI15z

    2017-04-14(金) 20:03:09 [削除依頼]
    田村という負傷者が出たことによって、
    それまで均衡を保っていたクラスに
    揺らぎが起きたんだ。
    一応、田村の事件は
    事故として処理されたかもしれないが、
    事情を知っていた彼らに影響を与えていたんだよ。

    もともと、表面張力で
    何とか保てていたようなもんだからな。
    そこに少しでも何かが加われば、
    それは容易く崩れちまう。
  • 5 p id:FWnoI15z

    2017-04-14(金) 20:06:37 [削除依頼]
    そしてこのクラスにおいては、
    奴らが抑圧していた近藤への感情が、
    田村の入院を機に顕在化し始めたのさ。
    それは、自分たちも田村と同じように
    大怪我をさせられてしまうのではないか、という恐怖。

    今までは、奴に従ってさえいれば
    比較的平穏でいられた。
    万が一、自分がいじめのターゲットになったとしても、
    少しだけ耐えればよかった。
  • 6 p id:FWnoI15z

    2017-04-14(金) 20:09:57 [削除依頼]
    なのに、そうではいられなくなったんだ。
    事故なのか故意なのか分からないが、
    命の危機に瀕する者が出た。
    従うことに、何も考えない生活に蕩け始めていた
    思考が活性化する。
    浮かび上がった恐怖は一気に蔓延して、
    心を覆っていくんだ。

    それが命の危機を伴ったものであるからこそ、
    余計にな。
  • 7 p id:FWnoI15z

    2017-04-14(金) 20:13:00 [削除依頼]
    もともと極限状態にあって壊れかけていた精神だ。
    そうして膨れ上がった恐怖が敵意になるのに、
    さほど時間はいらなかった。

    分かるか?
    田村の事件をきっかけに、
    クラスメイト達の近藤へ抱く認識は、
    「暴君」から「敵」へと変わったんだ。
  • 8 p id:FWnoI15z

    2017-04-14(金) 20:15:17 [削除依頼]
    もちろん、その敵意は
    攻撃的な衝動を含んだものから、
    あくまで認識が変化しただけの
    小さなものまで個人差はあったがな。

    ただ、全員が近藤に対して
    敵意と呼べる感情を抱いたのさ。
  • 9 p id:FWnoI15z

    2017-04-14(金) 20:17:26 [削除依頼]
    近藤?
    ──あいつは本当に腐りきっていた。
    田村が階段から落ちた瞬間こそ多少は動揺したものの、
    少し時間がたてばもういつも通り。

    田村は自分で足を滑らせたってことになった以上、
    もう何も恐れることなんてなかったのさ。
  • 10 p id:FWnoI15z

    2017-04-14(金) 20:19:51 [削除依頼]

    その次の日から、早速田村に変わる
    新しいターゲットを物色している姿に、
    肝の小せぇ奴は前にも増して怯えるばかりだった。

    何てったって、相手はクラスメイトに
    大怪我を負わせといて何とも思わないような奴だからな。
  • 11 p id:43LglyeK

    2017-04-15(土) 20:35:23 [削除依頼]
    敵意を持っていたとしても、
    下手に反抗したらあんな風に大怪我を
    させられちまうと考えれば、
    そりゃあ震え上がりもするさ。

    「おい、どうしたぁ?
     そんなに震えちまってよ。寒いのか?」

    にやにやとした笑みを浮かべる近藤が、
    一人のクラスメイトの肩に手を置いた。
    次の近藤のターゲットが、そいつに決まったのさ。
  • 12 p id:CPcsQEDk

    2017-04-15(土) 20:51:57 [削除依頼]
    そいつは、もともと特に臆病な性格をしていて、
    近藤に肩を叩かれることが、
    奴には死刑宣告のように思えた。

    「う、あぁ……あぁぁ……」

    今まで追いつめられ続けて消耗しきった心の何かが、
    その最後のひと押しで遂に壊れちまったんだろう。

    「う、う……あ、うわあぁぁっ……!」
  • 13 前和田 id:g3xOV61R

    2017-04-16(日) 11:40:36 [削除依頼]
    がたがたと震えて呻き声を上げたかと思いきや、
    いきなり立ち上がって、奇声を上げながら
    思い切り近藤を突き飛ばしたんだ。
    ひ弱な体からは想像もできない強い力で押され、
    近藤の体は大きくバランスを崩す。

    そのまま素直に倒れちまえば良かったんだろうが、
    奴は体を支える為に、
    咄嗟に片手を後ろに突き出してしまった。
  • 14 p id:g3xOV61R

    2017-04-16(日) 11:44:19 [削除依頼]
    「ぐっ……!」

    勢いよく倒れる体を腕一本で支えようとしたら、
    どうなるか分かるよな?

    そうだ、近藤の右手首はそれだけで折れちまった。
    とはいえ、単純骨折だ。
    医師の話によれば、
    二ヶ月もすれば治るとのことだったし、
    奴もその話を聞いて安心していた。
  • 15 p id:g3xOV61R

    2017-04-16(日) 11:48:17 [削除依頼]
    奴の頭の中は、
    自分にこんな怪我をさせたあいつに、
    どんな報復をしてやろうかってことで一杯だったのさ。

    だがしかし、
    その報復は二つの理由で叶わなかった。
    一つは、近藤を突き飛ばしたあいつが
    そのまま錯乱状態になって、
    学校に来られなくなってしまったこと。
    もう一つは、その怪我によって
    近藤を取り巻く状況が一変してしまったことだ。
  • 16 p id:g3xOV61R

    2017-04-16(日) 11:53:39 [削除依頼]
    右腕にギプスを付けて登校した近藤は、
    報復対象が学校に来られない状況になった、
    ということを朝のホームルームの担任の話で知って、
    苛々を募らせていた。
    誰かを殴って気分をスカッとさせたくとも、
    利き腕が使えないからそれは出来ない。

    だから適当な奴に命令をして、適当な奴を殴らせ、
    その様子を見て楽しもうと考えたんだ。
    どこまでも腐りきってる人間だよな。
  • 17 p id:g3xOV61R

    2017-04-16(日) 11:57:44 [削除依頼]
    「おい」

    近藤は適当な奴ら数人に声を掛け、
    一人の対象を殴るように指示した。

    けれど、命令を受けた奴らは、
    俯くばかりで一向に動こうとしない。
    その態度に、近藤の苛々は更に強まっていった。
    どうして俺の思い通りに事が進まないんだ、
    なんてことを考えてな。

    まだ近藤は分かってなかったのさ。
    自分が失ってしまったものの大きさに。
  • 18 p id:g3xOV61R

    2017-04-16(日) 12:00:37 [削除依頼]
    「おい!
     俺の言うことが聞けないってのか!?」

    近藤は怒号をあげた。
    その声に、俯いている奴らは体を震わせる。
    もう一息だな、そう思った時だった。

    「うるせぇよ」

    そんな静かな声が、教室の中に響いた。
  • 19 p id:g3xOV61R

    2017-04-16(日) 12:05:00 [削除依頼]
    「誰だ、今のは?」

    表情にぎらぎらとした怒りを浮かべた近藤が、
    声のした方を向く。

    「いい加減、お前の横暴さにはうんざりしてるんだ。
     支配者気取りもいい加減にしろよ」

    そう言いながら立ち上がったのは、
    それなりに力が強く、例の気骨のある数人の中でも、
    最後まで反抗心を持っていた奴だ。
  • 20 p id:g3xOV61R

    2017-04-16(日) 12:10:09 [削除依頼]
    そいつはゆっくりと近藤の方に近づいていく。
    それに対して近藤は、クラスの奴らに
    そいつをリンチするように命令した。

    ……だが、誰も動こうとはしない。
    近藤が利き手を、力を失った以上、
    奴の命令に誰が従う?
    積極的に動ける奴らはまだ少なくとも、
    奴の命令に素直に従う奴はもう存在しなかった。
    近藤以外の、全員の気持ちは一致していたのさ。
  • 21 p id:g3xOV61R

    2017-04-16(日) 12:12:29 [削除依頼]
    近藤が気付いた時には、
    もうそいつは目の前まで近づいてきていた。
    もう、逃げることすら叶わない。

    そして引いた拳を、渾身の力を込めて
    近藤の腹へと叩き込んだんだ。
  • 22 p id:g3xOV61R

    2017-04-16(日) 12:17:11 [削除依頼]
    「うっ……! ぐ、ぇ……」

    衝撃でよろめいた近藤は、
    胃袋の中身をそのまま全て床にぶちまけた。
    もちろん、近藤のそんな無様な姿を見たのは、
    誰もが初めてだ。

    かくして暴君はは倒され、
    そのクラスは自由と平和を勝ち得た……
    そんな風に終わることができれば、
    理想的だったのかもな。
  • 23 p id:g3xOV61R

    2017-04-16(日) 12:19:59 [削除依頼]
    だが、現実はそう簡単にはいかない。
    誰も、そんな簡単に終わらせたくなかったんだよ。
    なにせ、今まで散々近藤に
    苦しめられてきたんだからな。
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