灰色の羽35コメント

1 御坂紫音@あたりめ食いすぎで腹痛 id:OB2m0VZ0

2011-12-07(水) 19:25:00 [削除依頼]
 

 死神と呼ばれしその少女は何を思ふ――

/灰色の羽
  • 16 御坂紫音@頭痛ぱねぇよ id:YpYU0fL/

    2011-12-08(木) 20:34:31 [削除依頼]
     彼女の目は語った。ふざけるな、と。
     目は口ほどにものを言うとは正にこの事であろう、死神の冷え切った瞳は少年を貫くと、彼が身動きできないほどに射止める。
     蛇に睨まれた蛙。先ほどまでの口達者な少年の姿は微塵も感じられず、体中の痛みにただ必死に耐える哀れな姿が其処にはあった。
     はた、と。
     何か思い立ったようで、少年から手を離すと死神は立ち上がった。
    「本当にお前は偉い事をしでかしてくれた。私が数百年守り続けてきた意味が無くなったではないか。扉が開かれるだけならばよいのだよ、だが残念な事に異世界の住人までもが一緒に引き出されたようであるな。それも多数。全く……。人間、お前はなんといことをしでかしてくれたんだ。誰がこの処理をするのだ?」
     大鎌を地面に下ろして杖代わりにすると、首を回して少年を振り返った。
     薄暗い洞窟では、扉の向こう側の光はよく映えた。天井から雫が滴り落ちる音が反響し、暫しの静寂が満ち溢れた中で死神はぼんやりとソレを見つめている。大鎌の柄の部分で手を組み、その上に顎を乗せる。
    「なあ人間。どうするのだ。締めるのは簡単だが、まずやってきてしまった異世界の住人たちを、如何対処するというのであるか」
    「そんなこと俺に聞くな」
    「お前が種をまいたのであろう。自分の尻拭いは自分でするべきであろう」
    「第一油断していたのが悪いんだ」
    「ほぅ、死神が悪いとな。理解が出来ぬな。お前に扉を開けなければならない、まっとうとした理由があっての行動ならば許してやらんでもないが、それを死神のせいにするとはいかなる事だ」
     クツクツと不気味に喉を鳴らせば、死神は楽しそうに体を揺らす。やはりふてぶてしい態度の少年を見据えながら、彼の返答を待つ。
     意外にも、答えはすぐに返ってくる。
    「俺は天国に行きたいんだ。だから扉を開いた、ソレまでだ。扉は天国につながっていると古より俺の一族には伝わっている」
     後頭部を押さえて、おぼつかない足取りで少年は立ち上がった。
     背丈は丁度死神と同じほどで、彼女を睨むとそっぽを向く。流れ出る血の感覚に顔を顰めるが、にごった瞳に感情というものは映らない。
     
  • 17 御坂紫音@頭痛ぱねぇよ id:Z34ATIM.

    2011-12-10(土) 11:45:39 [削除依頼]
     ふむ、と死神は小さく頷く。
     渦巻く光と闇を見つめながらオッドアイを細め、少年に声をかけた。
    「さて、どうするのかね人間。ましてや、何もしないとはいわまいな?」
     唇が孤を描き、実に愉快そうに目が更に細くなる。拒否権を与えない声が反響し、不穏な空気を漂わせた。
     死神の方眉が器用に吊り上げられ、返答を促す。無論異議を唱えようとする少年だが、圧倒的な気迫に押しつぶされてしまう。
     苦悶の表情ながらも口を開いた。
    「分かったよ、手伝えばいいんだろ手伝えば」
     舌打ち。
     忌々しげに吐き出されたソレが死神の耳に届いたとき、悪寒が少年の全身を駆け巡る。ぎこちなく首を動かし後ろを向けば、手刀が首筋に添えられていた。
     ただの手刀ならば、彼がさほど寒気を感じる事は無かったであろう。ソレが纏うモノが問題であり、死神に浮かべられた微笑との反動が恐怖をかもし出す。
     手刀と少年の首の間に現れた蒼い光。正確には死神の手全体を青い光が多い、チリチリと細かな音を立てて輝きを放っている。その青い光が時折、少年の肌に触れる。刹那、赤い液体――詰まる所血液が部分から流れ出し、浅い切れ込みが入る。
    「何じゃ。よもや不満とは言わぬよの? 舌打ちなど、死神の前でするとは良い度胸だ。本当に望み通り殺.してやろうか。ただし、生.霊となってはもらうがな。その後死神がこき使ってやろうか」
     少年の耳元で死神は囁き、手刀を当てる角度を変えた。
     頚動脈を切り裂けるような、丁度良い場所へと。
    「遠慮する」
    「そうか、ならば手伝ってもらおうか」
     即答をした少年に、妖艶な笑顔と共に死神が離れた。手刀を下ろすと代わりに大鎌の柄を握る。
     少年は己の首筋に手をあて、流れ出た血液を見て嘆息する。彼女から何か言われないよう、何も言うことは無かったが明らかに表情は、不服そうであった。
  • 18 御坂 紫音 id:KxUAt9k0

    2011-12-12(月) 17:51:56 [削除依頼]
     死神は扉に近づくと、取っ手に手を掛けた。重々しく錆び付いた鉄製の扉は耳障りな音を立てながら閉まり、向こう側と此方を遮断させる。無機質な音が響いたかと思えば、死神が振り返った。
    「そうだな。それは人間だけでなく、其処に隠れているお前にも聞いてもらおうか」
     大鎌が、横一線に振るわれた。
     空気が振動する、世界が引き裂かれる、大地が震える。
     実際はそのような事はありえないのだが、轟音と共に爆風が起きて少年にそのような錯覚をさせたのは、事実であった。物理的には証明しきれない現象だが、ソレは死神による特殊な力なのか。ただ振るわれただけであるはずの大鎌だが、紛れも無く絶大な力を誇る風生み出し少年を壁へと打ち付ける。
     だがしかし、その攻撃は少年に向けたものではないようであった。彼はただ巻き添えを食らっただけで、死神が狙っていたのは少年の真横。つまり彼が被害を受けやすい場所であり、彼女が狙った標的に被害はもたらせなかった。
    「オイこら。てめーなにすんじゃ」
     その場に響くのは第三者の声。
     同時に新たな影が姿を現し、死神を睨みつけていた。
    「ふん……。最初から姿を現しておけば良いものを、小ざかしくも意味無くかくれておるからだ。鴉天狗の分際でのう」
    「よくもまあそんな口聞くな。というかだな、お前こそ天使と悪魔の愛のこの分際で何抜かしとんじゃ」
     其処に居たのは死神が口にした通り鴉天狗と呼ばれる、人間からは物の怪と呼ばれる一種の存在であった。
     一本歯下駄に山伏装束。
     艶やかな漆黒の翼を背中にはためかせ、中性的な顔立ちの鴉天狗は唇を吊り上げる。
     
  • 19 御坂 紫音 id:wjrNqC7.

    2011-12-13(火) 08:39:49 [削除依頼]
     闇の中で揺らぐ紅蓮の相貌は死神よりも遥かに鮮やかで。唇とは対照的に鋭く細められ、光が尾をひいた。
    「合いの子……? 死神は死神に過ぎぬ。それ以上でもそれ以下でもない」
    「ハッ。よう抜かすな、それともなんじゃ忌み子と表現してやったほうがよかったか」
    「まずそのうるさい口を黙らせぬか……。話がしたいのだ、ひとまず穏便にな」
     死神は嘆息交じりに言って、大鎌を下ろす。先ほどの行動からすれば決して穏便に済ませることなど、不可能に近いのだが。好戦的な雰囲気を滲ませていた鴉天狗は詰まらなさそうに鼻を鳴らし、器用にその場で足を込む。
     完全に彼(彼女)が聞く体勢になったところで、少年にも話を聞くよう促して死神は言葉を放つ。落ち着き払った、死神らしい冷酷な空気を纏い告げたのだ。紛れも無い事実とそして、
    「お前たちに頼みがある。人間は強制だがな……。他の世界からやってきてしまった、鴉天狗のような連中を集めて回るのを、手伝ってくれぬか」
     それは静かにその場に浸透した。
     
  • 20 御坂 紫音 id:wjrNqC7.

    2011-12-13(火) 18:37:55 [削除依頼]
     死神にとってそれは、非常に痛感で歯がゆいもの以外の何者ではないだろう。表情は非常に浮かないソレで、返答を待った。
     重たい空気が流れる中意外にも、鴉天狗からは軽い声音が戻ってくる。
    「ハン、いい暇つぶしにはなるだろな。いいね、つきやってやろうじゃんか。どうせあれだろう、その異世界の奴ら全員を連れ戻さないと扉を閉めないつもりじゃろうが」
    「まあそんなところだ。鴉天狗は物分りが良いようで、助かる。礼を言おう」
     鴉天狗は肩にかかる漆黒の髪を払うと、片目を瞑った。開いているほうの目が見るのは少年であり、人の形をした人ではない異形にまじまじと見据えられて怖気づいたのか。ふい、と目線を逸らせて死神の目からも逃れようとした。
     彼の行動を見て、薄ら笑いを浮かべるのは鴉天狗。腰から刀と呼ばれる種類の剣を抜き、一瞬にして彼の頬をなでる。少年にしてみれば本日数回目の身に染みる痛みであり、苦い顔をした。動けば刃が顔をそのまま切り裂きそうで、つまりは鴉天狗がどけない限り彼は思うように身動きを取れない。額に浮き出る汗を感じ取り、何か助けを求めるように死神を見たが彼女もまた、残虐なまでに卑劣な笑いを浮かべているだけ。
     己には助かる道が無い事を判断したのか、両手を挙げ降参の意を示した。
    「……ニホントウか。おもしろいものを使うのだな、鴉天狗よ」
    「まあな。我ら鴉天狗の一族は剣術に秀でているんだ。ニホントウはよいものじゃ。切れ味は最高だと思うぞ、まあ……戦闘時には綺麗に切れるとは言えんのじゃが」
     刀身を鞘に収めて、鴉天狗は自慢げに言った。
     死神自身興味があるようで、不満たっぷりの表情である少年の事など満更気にする様子も無く、鞘ごと見せてほしいと頼み込む。それに快く承知した彼(彼女)は、腰に下げていた刀を死神に手渡す。
     じっくりと色んな部分を眺めながら、思い出した様子で死神はこう述べた。
    「人間。お前に拒否権なんて存在しえぬ。大人しく手伝え、そこら辺の犬猫よりはマシな扱いをしてやらんこともないぞ」
     彼女の発言に、鴉天狗はこれみよがしに大笑した。
     彼(彼女)が腹痛で暫く動けなくなったのはまた少し別の話で、その責任を少年が言及されたのもまた、別の話。

    序章:扉   
    /了
     
  • 21 御坂 紫音 id:wjrNqC7.

    2011-12-13(火) 18:39:14 [削除依頼]
    >20 間違い発見。 最後の 序章:扉 /了 を 一章:扉  1 /了 に変更をお願いします。 ああ、やってしまったorz
  • 22 御坂 紫音 id:R5LJsmh.

    2011-12-14(水) 15:22:14 [削除依頼]

                 2

     扉。
     言い方に語弊はあるが異世界と異世界を繋ぐゲートである。本来ならば門番と呼ばれる存在がその扉を守り、不用意に開け放たれないように監視をしている。
     理由はもちろん、あの争いを二度と起こしてはならないからである。
     たまたま非力な人間界でおきたため、天使と悪魔という二派だけの争いで収まった。だが、他の異世界でおきていれば大変な事だったと、他の世界のものは皆口をそろえて言う。
     なぜなら人間以外の種族は、強大な力を持っているからである。天使と悪魔同様チカラ――つまりは人間で言う特殊能力を持っている。
     そんな特殊能力を身に宿す種族のいる世界で、天使と悪魔が戦えば、第三の勢力を巻き込んでの壮絶なる戦いになりかねかったと。
     チカラのエネルギー源にしかならない人間しかいない、この世界。本当にここで起こってよかったと、誰もが思うその戦い。住人たる彼らにしてみれば迷惑以外の何者でもなく、住処を奪われたのだ。天使と悪魔は憎むべき存在だろうが、信.仰熱心な彼らにそのような事など出来なかった。
     死.んだ世界で哀れにも天使に救いを求める。けれども、天使は救いの手を差し伸べない。
     絶.望した彼らは、扉へと向かい天界へ行こうとした。
     少年のように――
     だが、そう易々と扉は開けれない。万が一という事が合っては、ならないのである。天使と悪魔でなくとも、ソレと同等またはそれ以上のチカラを誇る種族の世界が、数多にも存在する。
     何かの手違いでその住人が出てきてはならない、そのためだった。
     未然に事故を防ぐための番人。
     その役目を担っていたはずの死神が、扉の在る洞窟の入り口で少年と鴉天狗と共に立っていた。
  • 23 御坂 紫音 id:R5LJsmh.

    2011-12-14(水) 16:02:02 [削除依頼]
     死神は何処と無く怒気を纏い、少年を睨んでいた。
     それも当然だろう。
     彼のお陰で開いてしまった扉から出てきた異世界の住人を探す旅に、出る羽目となったのだから。何人いるとも知れない連中を、この膨大に広い世界の中で。
     数少ない人間と接触し、何か問題が起こされる前に。この世界自体に何か介入をされる前に探し出し、連れ戻さなければならないのだから。
     不穏な空気を漂わせながらも、死神は嘆息する。
     怒りを表したところで何も変化が無いのを知っているのか。
     身長よりはるかに大きな大鎌を抱えると、問う。
    「ひとまず確認したいのだが、名前はなんという」
    「ワシか? ワシは特に名前が無いのじゃが」
    「元の世界にいたときはなんと呼ばれていたのだ。呼び名があるはずだろう」
    「元々わが世界には名前という概念が無いために無いのじゃ」
    「ふむ。では人間、お.前はなんだ」
     名前が無い鴉天狗から話題を少年に振った。少年は言おうか悩んでいるようだったが、死神がはやくしろといわんばかりの目で睨み、仕方が無く呟く。
    「キリト」
    「……キリトか。この世界の古い言葉で、自然を示す単語であるな」
    「嗚呼」
    「お.前みたいなヤツがたいそうな名前をもらったものであるな」
     完全に少年――キリトを馬.鹿にした発言であったが、彼は突っかかることをしなくなった。
     
  • 24 御坂 紫音 id:7CDG9Da.

    2011-12-15(木) 13:22:25 [削除依頼]
    「学習したのであるな。何か反抗的な態度を取るとおもったよ」
     挑発的に語る死神だがキリトは一切反応しなかった。内心では煮えたぎっている怒りを何処にぶつけるか、模索している彼であったが表面に出せば鴉天狗が死神。このどちらかに痛みを持った制裁を喰らうことは目に見えているため、必死で抑える。
     そのこらえている様子に鴉天狗はまたもや爆笑していたが、誰もそのことには一切触れなかった。
    「必要最低限の自己紹介は終わったわけであるな。さあ、膳は急げだ、ひとまず此処を離れるとしよう」
     死神はそれだけ言うと、大鎌を腕の中に抱えなおす。思い切り人目につくが、その人目さえないのだ。気にする必要も無く、刃を晒しながら歩き出した。
     振り返れば、何か言いたげな表情の少年が彼女の目に留まった。ふっ、と目元を緩めて首を横に傾ける。
    「何だね人間。何かいいたそうだが、なにかあるのかね」
    「……お前の名前をまだ聞いてないぞ。そして、どういう風にお前の言っている連中を探すかも聞いてない」
     意外と単純な疑問がキリトからやって来た。
     面食らったように瞳を見開き、そして愉快そうに体を揺らす。ぎょっとしたキリトだが、死神は答える。
    「ふざけるなよ人間。死神に名前を聞こうなどとは浅はかな。お前たちに叶うはずも、無かろうに。教えてやらん、聞いたところで何の得になる。そこの鴉天狗とて、名前が無くても鴉天狗だと分かるのだ。問題ないであろう。わざわざ死神が言わねばならぬ理由も、見あたらぬ」
     ケラケラと口元だけは引き裂け、笑っていた。だが目元と口調、雰囲気はいかに。一切、そのような軽い雰囲気はあらずといったところで、微かで凝縮された怒気が漂う。
     気圧されたのか、キリトがそれ以上口を開く事は無かった。
     
  • 25 祈祷 彗月@冬眠期デスネ id:Hhw/vAD/

    2011-12-15(木) 19:39:57 [削除依頼]
    死神ちゃんが可愛い*´`*
    その口調にはまっちゃいました←

    そしてもう相変わらずの魅力すぎる文章に釘付けな彗月さんですノ
    読んでるだけでお勉強((笑 
    ガンガレ(゚Д゚,,)
  • 26 御坂 紫音 id:V6skmoi1

    2011-12-16(金) 08:32:48 [削除依頼]
    彗月>

    そりゃ死神だもの、可愛いよ(
    口調はね、若干鴉天狗と被るから気をつけないといけないのよー。オホホホ

    魅力か…
    そういってもらえると嬉しい限りだが、勉強にはならんと思うよ、うん。
    がんがりますわwwwww
  • 27 御坂 紫音 id:V6skmoi1

    2011-12-16(金) 09:13:39 [削除依頼]
    >24 「ひとまず此処を離れないと何も始まらぬであろう。何だ見れがましい表情をして」 「ッハ。そこの餓鬼、早くしろ。お前のせいで正直全然進んでおらんのじゃ」  後方をじっと見つめていたキリトに対し死神と鴉天狗が、同時に声をかけた。言葉は違えど両者共に同じ意味を持っていたため、キリトは渋々と言った様子で歩き出す。  乾いてひび割れた地面は硬く。頑丈そうではない靴を纏う彼が長時間歩けば、堪える事は間違いない。  死神は安全靴で足元を固め軽快に歩いており、鴉天狗は歩くというより羽を使って宙に浮いて移動している、といった方が正しい行動をとっていた。  キリトはおそらく、此処に向かってくるときも歩いてきている。それ以外に交通手段が無いためその事は確実で、一体何日かけてやってきたかは定かではないが、割と近くには集落などがあることが、死神たちには推測できた。  枯れ草一つ地面から頭を出していないような荒野を、ただひたすら沈黙と共に歩みながら、変わらない景色の中で死神は嘆息する。上を見上げれば広がるのは、灰色の空。  太陽さえ顔を出さず、分厚い雲に覆われていた。故に青い空など何処にも無く、それは人々のはかない幻想にしか、過ぎないのであった。 「……して人間。お前があの扉にやってきたということは近くに住処があるのであろう」  死神が、唇を動かした。キリトのことなど振り返らず、質問はしているが否定は受け付けないといった、その問。 「あるよ、三日三晩歩き続ければ見えてくるはずさ」 「フン。では三日三晩移動は確定じゃ」 「そうだな……」  自身が行った回答が失敗だったと気づいたときには、行動の決定がされていた。  少々泣き顔になる彼であるが、やはりキリトなどに否定件は無い様で。死神と鴉天狗、2人の意思によって確定された。  
  • 28 御坂 紫音 id:V6skmoi1

    2011-12-16(金) 14:31:08 [削除依頼]
     泣きそうになっていたキリトだが、ひとまず歩かなければ彼女らにどやされる。そのことを知っているがため、死神の後ろにピッタリとついていた。
    「なあ……。死神」
    「何をぬかしておるんだ。お前に呼び捨ての許可を与えたつもりは無いがな」
    「死神……さん」
    「何用だ」
    「その、俺の住んでいた村への行き方は分かるのか」
    「無論だよ人間。ちなみにだが、お前の不注意でやってきてしまった連中の気配も其処に在るぞ。つまり大変な事になってるだろうな、早く行って事態を収束せねば」
     ケラリケラリと死神は人事のように笑った。まさしく彼女にしてみれば、人事なのかもしれない。解決しなくても良い問題。
     だが、そうとはいかないのが扉の番人という立場ゆえか。
     ローブの裾を揺らしながら、少しずつ洞窟より遠ざかる。景色は一向に変わらない。
     だが、死神は口元を緩ませて小さく呟く。
    「楽しみだ」
     下を向いていたキリトが顔を上げるが、彼女がそれ以上何か言う事は無かった。
     鴉天狗も何処と無く楽しそうに浮遊して、一行は更に歩みを進めた。
  • 29 御坂 紫音 id:V6skmoi1

    2011-12-16(金) 15:41:55 [削除依頼]
     死んだ大地。
     枯渇した水源。
     消えた森林。
     灰色の空。
     変わり果てたこの星の変わらぬ風景。乾いた風が頬をなで、死神のローブを揺らした。
     鴉天狗はものめずらしそうに辺りを見渡すが、此処は何も無いのだ。文字通りの殺風景であり何も残ってはいない。鴉天狗にしてみれば、ソレさえもものめずらしいのか。
     上空に体を漂わせ、興味津々と言った様子で壊れた世界の一部を見渡していた。
    「ハッ。死んどるなこの世界」
    「天使と悪魔の戦争のおかげでな。まあ、死神には関係の無い話であるが……。人類が消え去った方がこの星には良いのかも知れぬでな。彼奴らが更なる争いを行ったせいで、此処まで酷くなっておる」
    「フン。やはり、どこの世界でも人間はおろかな生き物なのじゃな」
    「そういうものだろう。人間なんていう種族は所詮、神のお情けで作られたような存在なのだから」
     死神は興味なさそうに告げた。
     やはり、彼女にとって人間というのは如何でも良い存在なのだろう。何か反抗をしたそうな表情で鴉天狗を見上げているキリトを、視界の端で捉えながらも何も言わずに足を動かし続ける。
    「人間もう一寸早く歩けぬのか……」
     叱咤激励が前方からやってくる。
     キリトは慌てた様子で、いつの間にかあいていた間隔を詰めるように走った。
     
    一章:扉  2
    /了
     
  • 30 御坂 紫音 id:V6skmoi1

    2011-12-16(金) 16:21:33 [削除依頼]

                   3

     闇に辺りが包まれる。
     厚い雲によって太陽が顔を覗かせてないとはいえ、一気に気温が下がり、更に辺りが暗くなったことから夜がやってきたことは誰にでも推測は出来る。
     あれから数時間、一行は歩き続けた。死神や鴉天狗はまだしもキリトは疲れきった表情で、短い休憩の間に息を整えている状況だった。
     キリトは如何足掻いても人間なのだ。水分を摂取し、栄養をとって、体を休まさなければ死んでしまう存在。
     そのことを知っていて、死神は歩きながら口を開く。
    「今日はここら辺で野宿か」
    「そうじゃな」
    「えっ!?」
     意外にも驚愕を示したのは、キリト。
     開いた口を慌てて塞ぐと、確認の意を込めて死神に言った。
    「野宿するんですか」
    「何だ? お前は三日三晩先に一人で歩いていくのか、それでもよいぞ。死神は一向に構わぬ、なあ鴉天狗?」
    「ハッ。そうじゃな」
    「いえ……結構です」
    「では決まりであるな」
     スタ、と軽快に鴉天狗が降り立った。器用にも一本歯下駄を足だけで脱ぎ散らかし、その場に座り込む。硬い地面の感覚に嫌そうな表情をしたが、それ以上は何か気にした様子も無く。いち早く体を横たわらせ、目を伏せた。
     死神も少し離れた場所に座り込むと、大鎌を抱えたまま小さくなる。フードを深く被って顔を隠し、ローブの前を閉じて風が入らないようにする。
     ただ一人、キリトが戸惑った様子であったが、二人が気にする事は一切無い。
     何処で寝ようか少し彷徨った後、適当な場所で腰を下ろした。
     静けさに包まれる中、彼の身動きをする音はよく響く。ごろ、と体を仰向けにして寝転がればキリトは小さく嘆息する。
     冷たい風に打たれながら瞳を閉じ、睡魔が訪れるのをただただ待った。
  • 31 御坂 紫音 id:nuq/iTi/

    2011-12-17(土) 15:12:07 [削除依頼]
    だが残念な事に、キリトに眠気は襲ってこない。いくら彼が身を横たわらせ、目を伏せたところで闇に落ちるような感覚は、やってこなかったのだ。
     一気に闇に飲まれた荒野で、キリトは体を起こす。誰も居ない暗がり。死神や鴉天狗はいるはずだが、気配が一切感じ取れない。
     完全な漆黒の世界。四方を見渡せど景色は変わらず、ただの暗黒が彼を飲み込む。体のバランスが崩れドサ、と無骨にも音を立てて倒れた。
     身を起こそうとした。ゆっくりと地面に手をつき、いつもの様子で、何も変わらない動作で、体勢を立て直そうとする。
     だが、そうはいかなかった。
     全てを闇で覆われ、何も見えなくなったに等しいこの夜の世界で少年は恐怖に襲われた。
     自分が今一体どの様な体制をしているのか、ソレさえも分からないほど。キリト自身驚愕と恐怖が入り混じり、地面に頬を擦りつけたままの状態で息を荒げる。 
     如何してこの状況を打開するべきか、キリトの脳には浮かばない。声を上げようにも、喉が張り付いて動かない。
     しかし、声が出せれたとして何の意味があるのだろうか。死神や鴉天狗が気づいて、彼を助けるというのか。
     もしかすれば、自分は捨てられているかもしれない。化け物が現れても可笑しくないような、この暗がりに捨てられて――。
     ぞわりぞわり、と広がる不気味な感覚。
     必死で何かを掴もうと手を伸ばしたとき、闇から引きずり出された。
    「おい人間。お前いよいよ頭が可笑しくなったか」
     
     
  • 32 御坂 紫音 id:nuq/iTi/

    2011-12-17(土) 15:46:51 [削除依頼]
    「早く寝ぼけ眼をどうにかせぬか。もう出発するぞ、夜明けだ。日中という時間は一切無駄に出来ぬ」
     死神がキリトの腕を掴み、強引に立ち上がらせる。
     あぐ、と痛みに奇怪な声を上げ彼女を睨もうかと思う彼だったが、辺りを見渡して安堵する。
    「朝……?」
    「そうだ、朝だ。お前は一晩中うなされていて見たいでな、此方まで寝れ無かったよ。阿呆鴉は爆睡のようであるがな」 
     死神の不敵な笑いを見てキリトは更に安堵をし、ずるりと地面に尻餅をつく。巻き込まれそうになった死神が手を放した事で、余計に勢いがつき派手な音が上がった。
     意地悪く死神がケラケラ笑うが、キリトはそんなことよりも額に浮かんだ汗を拭う。 
     何処からが夢で何処からが現実なのか、よく分から無かったが、彼にしてみれば全てが夢という事で丸く収まった。笑っている膝に力を込めると立ち上がり、薄暗い辺りを見渡す。
     景色は何一つとして変わらなかったが、靄がかかり何処と無く幻想的であった。薄着をしているためか、靄のせいか。定かではないが安楽と同時に異様な寒さが、背中を駆け巡る。
     身震いをして自身を抱えると先に歩き出した死神の後を追う。
     のどの渇きと空腹感を身に覚えるが、断ち切るようにして首を左右に振った。彼は扉に来るときの食料は持ってきていても、帰るときの食料など持ってきてはいない。元々帰る予定も無かったのだから、ソレはソレで当然。
     死神が持っているとも考えられず、ましてや異世界からやってきた鴉天狗が所持している可能性も極めて低い。
     これから先の命の危機を感じ取ったが、ひとまず。
     今そのような事を口にしたところで、何も解決されないのは目に見えていた。
  • 33 御坂 紫音 id:nuq/iTi/

    2011-12-17(土) 19:59:05 [削除依頼]
     はっきりとしない視界では、方向を間違わず進むので精一杯。東に進み続ける一行だが、もしかすれば反対の方向をいつの間にか歩いているかもしれない。
     そんな不安が死神を襲うが、口から白い尾を引き赤い顔をフードで深く覆った。かじかむ指先で大鎌を抱え直すと上空を見上げ、浮遊している鴉天狗を見つめた。
    「鴉天狗。何か見えぬか」
     彼女は小さく呟いた。鴉天狗は残念そうに肩をすくめ、声に出すのさえ億劫なのか首を振る。ばさばさと肩まである黒髪が無造作にゆれ、鴉天狗の顔に張り付いた。
    「そうか……。まあ三日三晩歩き続けて見えるそうだから当然なのは、当然なのだが」
     小さく落胆して嘆息する。
     髪の毛を直し始めた鴉天狗から目線を外すと、下を向いて淡々と歩く。
     流れ行くひび割れた地面。
     地を眺める死神の瞳が、僅かに悲しそうに細められた。彼女の中で何が葛藤しているのか、誰も知る由は無いのだ。
     僅かに大鎌を握る手に力が込められ、全てを払拭するように少しばかり歩調が速くなった。
     
  • 34 御坂 紫音 id:I7cfzQm.

    2011-12-20(火) 20:50:15 [削除依頼]
    「あ、おい…!」
     ぼんやりと歩いていたキリトが慌てて死神の背中を追いかける。
     彼女の背後に迫ったところで、声が掛けられた。 
    「人間。お前は小鴨か何かなのか。そこまで死神に接近せずともよいであろう、意味が分からぬ」
    「ハハッ。それは居得て居るな、餓鬼、お前上から見ているとまるで小鴨のようじゃ」
    「!?」
    「鴉天狗、笑い事ではないのだよ。どうだ交代してみるか、この立ち位置を。非常に気分が悪くなるのでな、正直変わってほしいところなのだ」
    「フッ。それは勘弁じゃ」
    「そうか……非常に残念であるな」
    「ワシは残念ではないのじゃ」
     片眉と唇の端を吊り上げて会話を繰り広げる、鴉天狗と死神の両者。キリトは唖然とした表情で2人を見比べ、肩を落とした。
     死神よりもはるかに歩調を遅くし感覚を開けて、文句を言われない程度に距離を保つ。
     あまりに離れすぎれば更なる罵倒が飛び交う事は間違いなく、キリトは丁度良い場所というのを研究し始めた。その行動は死神にとって、非常に鬱陶しいものであったようで。
     距離を調整していたキリトを振り返れば、がす、と靴底を鳴らして立ち止まった。
  • 35 御坂 紫音 id:1s60Uma.

    2012-01-02(月) 15:43:43 [削除依頼]
     風にローブをはためかて無表情をキリトに送る。少しの間彼と対峙した形になるが、すぐさま死神は口を開いて述べる。
     回りくどい事など一切言わず、単刀直入に。
    「鬱陶しいのだが」
     低く告げ身動きが出来なくなったキリトを睨みつければ、上を見上げた。少しずつ怪しくなる雲行きに顔を顰め、同時に今にも噴出しそうな鴉天狗を凝視した。
     鴉天狗は腹を抱え、微妙な体勢で静止している。口の端を固く結んで睨みつけるキリトだったがその様な事で動じるはずも無く、逆に睨み返されるのがオチ。
     不敵に笑う鴉天狗の様子を見て死神は軽く首を振って呆れると、語りかける。
    「雲行きが怪しいな。雨が降るなどはありえぬだろうが……いや、強酸性の雨でも落ちてきそうであるな」
    「うむ、同意じゃ」
     目尻にうっすらと浮かんだ涙を拭い、羽を緩やかにはためかせた。優雅に風をきって羽根を地面に落とす。
     漆黒のそれをキリトが拾い上げ、
    「どういうことです?」
     訝しげに尋ねた。
     呆れた顔を鴉天狗と死神はして説明をする気も無いのか、ただただ肩をすくめる。キリトの質問など完全に無視をして、なにやら考え込んだ。
     
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