☦討伐者☦14コメント

1 轟雷 id:V/dXmCL0

2011-12-03(土) 15:52:38 [削除依頼]
 
 序章 終わりと始まり

 世界は、探究心のある者に滅ばされてしまった。
 広大な大地の下に眠る、太古の神を呼び覚ましてしまったからだった。
 今まで作られ、使用されていた戦闘武器が全く通用しない初めての相手だった。
 生き残るために生涯を掛け、研究した者も中には存在していた。そんな努力が報われるのに、現在発見された物が無ければ有りえなかっただろう。
 人々は、太古の神を捕獲し研究した。
 当時は、一時的に弱体化することが可能だが、致命的な打撃を与える事は不可能だった。
 いくら切刻んでも、肉片が意思を持っているかのように集まり合体する。他にもあらゆる手を尽くしたが、望ましい結果は出てこなかった。
 そんなある時、太古の神同士が戦闘を行っている場面に遭遇した者がいた。戦闘は、一瞬で決着が付いた。その頃考えられていた、一般常識を覆された瞬間でもあった。
 神同士が傷つけ合うと、神の細胞が完全に壊死してしまう事が発見された。
 その発見が、公に晒されたとき非道な考えが生まれた時でもあった。
 その考えは、太古の神の細胞を人体に埋め込む事だった。当初は、拒絶反応が出ると思われていたが、一八歳以下の者ならばいとも簡単に適合する事が発見された。
 発見されるまで時間が掛かる事が無く、研究が始まって一ヶ月弱で、試作段階の対魔神の人間を作成してしまった。
 それから現在まで、改良しつつも戦場に投入され続けたのであった。

 これが、人と神の浅い戦歴だった。
 
 
 
 序章 終わりと始まり 終
  • 2 轟雷 id:V/dXmCL0

    2011-12-03(土) 19:07:23 [削除依頼]
     初めまして、轟雷です。


     戦闘中心の内容になると思いますがよければ読んで下さい。
     未熟者ですがどうぞ宜しくお願いします。

       
     
  • 3 轟雷 id:0PlchSi0

    2011-12-04(日) 11:42:07 [削除依頼]
     第一章 誓いと契約

     真っ白な部屋。
     家具など、全て真っ白で頭が可笑しくなりそうな部屋。
     部屋の中に一人の少年が座っていた。
     ただ、天井を見上げて何かを待っているようだった。
     気力が感じられない、瞳からも光が失われて心ここに有らずと言っても良いだろ。
     コン、コンと部屋の外側から叩いた音がした。
    「入るぞ」
     男の低い声が、沈黙が支配する部屋の中に響き渡った。
    「何ですか? 今日は、実験の日じゃないでしょ? 用事が無いならここから出ってください」
     生気を感じられない冷たい声だった。
     声が聞こえてきた方に、絶望しきった目で睨んでいた。
    「確かに実験のために来たわけでは無い。それ以外に来る理由分かるだろ?」
    「検討が付きかねません、と言っていきます」
    「そか、本題に入るからな」
     勝手に話が進んでいく。
    「今日は、神武の適正テストを行う。この意味が分かるような?」
     一方的に話が進んでいく。
     話が終わったのか、足音がだんだん小さくなっていく。
    「はぁ……やっと、ここから出れる」
     すーと軽い体つきで立ち上がる。
     長い間座っていたのか、体が凝り固まっていたのか軽く伸ばしていた。そして、その場を一回転した。
     名残惜しように部屋を見ていた。
     どれほど辛く、どれほど悲しい事があっても三年間過ごしたこの部屋だけは、少しは大切な帰る場所になっていた。
     今まで特に家具の配置を気にしたことが無かったけど、気にしてみれば四面のうち一面だけは、何も置いてあったり飾ってなかった。
     そこは、いつも声がする場所だった。
     三年間この部屋から出ることは無く、職員が瞬間移動して入って実験を行っていた。今となれば、少し違和感があった気がした。
     そんなことは、どうでも良かった。三年間待ちに待った外の世界に出る事ができる。
     いろんな感情が込み上げてくる。
     何も飾れていない部屋の一面の目の前に立つと、予想もしていなかった事が起きた。
  • 4 轟雷 id:0PlchSi0

    2011-12-04(日) 20:30:16 [削除依頼]
     真っ白な壁に一筋の黒い線が入った。
     そして、人一人が通れるくらいの大きさの扉が出来ていった。
    「まさか……嘘だろ」
     驚愕を露わにしている。
     それも当然だと思う。だって、ただ壁の前に立つだけで扉が出来、開くなんて考え付かないと思う。
     久しぶりの感動だった。まぁ、どうでもいいことだが。
     外と足を一歩踏み出した。
    「……、はぁ? 何だよ」
     外、部屋の外には、予想外の者が肉片と成り果てて散らばっていた。それも、つい最近の事だと分かるのは、試験後の事だった。
     動揺していても仕方ないので歩み出した。
    「こっちだ」
     部屋の外から語りかけていた人の声が、はるか遠くの方から聞こえてきた。
     声を追いかけるように進む。
     と、ふと嫌な予感がした。それも、ただの感覚だけではなかった。
    「ガゥ……」
     獣の唸り声、独特な悪臭と気配が全身の感覚を狂わせてしまった。
     振り向いては駄目と言い聞かせた。振り向いたら、全て終わってしまうような気がしたからだった。
     鈍い音を立てながらゆっくりと近づいて来る。
     相手は、気配に気が付いていないと思っているのかゆっくりと確実に距離を詰めてくる。
     額から脂汗が滴る。
    「早くしないと……喰われるよ」
     悪意が感じられる発言だった。恐らく悪意を込めた行為だと重々承知だが、これは限度が飛びぬけているだろ。
     焦りが危険を招くとは、この状況かでも分かっているが、鍛え上げられていないこの理性ではどうしよう無く焦ってしまう。
     このまま走って逃げるか、それとも先ほど出たばかりの部屋に戻り被検体に戻るか二つに一つの選択だった。
     振り向かなくても分かる。自分より全ての身体能力が、上なことぐらい気配と威圧間だけでも理解できた。
     だからこそ、自分の中での決断を早く出すことが出来た。
     振り向かずにただ逃走を図る? 違う。それとも、部屋に逃げ込む? それも違う。凡人が考えない危険な選択を選んだ。死ぬかもしれない危険な選択だった。
     それは、戦う事だった。
  • 5 轟雷 id:e2SEjy70

    2011-12-06(火) 20:41:58 [削除依頼]
     決意を込め、拳を握る。
     決意が揺らぐ前に振り向くと、嫌な予感が的中していた。
    「ッ……、あっ」
     尋常でない威圧感に意識を蹴落とされ、その場に立ち尽くしてしまった。
     見た目は、龍? だと思う。疑問形なのは、確証が無いからだった。昔見た、絵本や小説の挿絵とは、ずいぶんとかけ離れているからだった。
     違う所は、龍の表面に荒々しい鱗を纏っているのではなく、代わりに大量の武器が鎧となって龍を守っていた。しかし、武器が体に抉り込んで痛々しい傷が全身に見られるのも事実だった。
     龍なんて想像上の生物だと信じていたが、まさか神として現世に留まっていたとは知らなかった。
     実際のところ知りたくなかっただけど……。
     ふと思った。
     なぜ龍を守っているはずの武器の鎧が、龍自身に負担を掛けているだろうかと。些細な疑問を考えている時間があるなら、勝つ方法を考えないといけないと心に言い聞かせ、邪念を頭の隅に追いやった。
     どうしたものか……。俺の手持ちには、武器ひとつ持っていない。だけど、目の前の龍を倒さないと生きて此処から脱出することが出来ない。
    「一か八か懸けてみるか……」
     何故か自信が湧き上がってくる。怖くて不安で、何も出来ない自分から変われてうれしかった。
     体制を低くし、風の抵抗を少なくする。そして、足に力を込めて全力で龍に突撃した。
     またしても嫌な予感がした。今日は、よく当たるので恐る恐る龍を見てみると、先ほどいた場所にはいなかった。
     その場に立ち止り、息を整えながら辺りを見渡してみたが何処にもいなかった。だが、気配と威圧感が消失したわけでは無く、俺が龍の存在を探知出来ないだけだった。
     当然なことだと思うが、強大の敵が目の前から消え、何処からか俺を狙っていると思うだけで気が気ではなかった。
    「何処だ! 何処に居るんだよ! 姿を現して、正面から俺と戦えよ」
     龍に対して、罵声を上げた。
     こんなことをしても、良いことが無いと思うには時間が必要だった。それだけ、精神的に張りつめていて理性が崩壊していたことを表していた。
     相手に俺の居場所を教えていると同じ事だった。すでに知っていると思うが。
    「――ちッ」
     過ちに気が付き、どうしようと考えていると――
     轟ぉォオオオオオオオオオオオオと大地を引き裂くほど強大な揺れが、この辺り一面に襲いかかってきた。
  • 6 轟雷 id:dQppeln1

    2011-12-07(水) 21:54:02 [削除依頼]
     あまりに強い振動で、自分自身の力とバランス感覚では堪えようがなかった。そのため、地に膝と手を付いて収まるのを待った。
    「何だよ……この、圧倒的に戦力差」
     無力な自分を呪った。
     数秒の振動だったが、俺の時間感覚からしたら数分に相当するものだった。
     脳に振動の余韻が残り、胃の辺りが熱くなった。その熱いものは、咽を駆け上る様に上がってきたが、根性で熱いものを胃の中に押し戻すことが出来た。
     額に汗が滲む。
     この汗は、どんな種類だろうか。
     恐怖。
     焦り。
     熱さ。
     どれかは、分からなかった。理解したら、全てが止まってしまう気がしたからであった。
     地を裂くような強烈な振動を与えたという事は、何処かに飛び降りたかしたという事だと考えた。
     その考えに基づき辺りを見渡すが何処にもいない。そんなことは、会ってはならない事だった。もし、咆哮の様な遠距離攻撃が可能だった場合、俺は、全方位から狙われていることになるからだった。
     いつまでも同じ場所に居てはならないと思ったので、闇雲に辺りを走り回った。ただ、走るだけで、相手を攪乱するつもりは毛頭なかった。
     確かめたかった。本当に遠距離攻撃が可能なのかと――
     再び、振動が襲った。
     今度は、震源? が近かった。先ほどよりも確実に大きな揺れが証拠だと思う。
    「反則だろ、これは――」
     確かに振動はあった。
     目の前だったので、何が原因なのかすぐに理解することが出来た。
     漆黒の炎と稲妻で構成された咆哮を大地に吹き付けていた。
    「――ッ」
     振動の後から火花と電気が、着地点から周囲に撒き散らされて体を苦しめた。恐らく先ほどは、距離が離れていたので火花と電気が届かなかっただろう。
     しかし、重要な問題が残っていた。
     龍の居場所がはっきりしていない事だった。場所さえ分かられば、何とかなることは無いと思うが、現在の状況よりもだいぶ改善されるはず。
     もう一度辺りを見渡すが、発見されることは無かった。
  • 7 ジャック id:SxMlnC41

    2011-12-07(水) 22:21:28 [削除依頼]
    なななななんと!!轟雷の新たな小説、しかもバトル中心だって!!

    興奮を隠せないジャック

    しかも冒頭部分に神が出ている。
    バトルものということで、この小説から俺の小説で使えるもの盗もうww

    ってことで、よろしく
  • 8 轟雷 id:dQppeln1

    2011-12-07(水) 22:53:41 [削除依頼]
    ジャック

    12月から半日授業だから、三つ掛け持ちが出来そうだったから挑戦してみました。
    この話は、その場で思いついた感じのものでストーリを理解するのに時間が必要になる事は確実だとおもいます。

    神様でました。
    今は、獣や架空の生物を神として扱うつもりですが、話が進めば……みたいな。
    楽しみにして下さい。

    あと、盗めるものはどんどん盗んで下さい。

    此処だけの話、非公開の小説も執筆中でして、はい。
    そちらの方は、完成してから一気に全部投稿しようかと考えています。

    こちらこそ宜しくです、はい。
  • 9 轟雷 id:VKhKgfu1

    2011-12-08(木) 20:24:31 [削除依頼]
     焦りがここの奥底に眠る不安を掻きたてる。
    (どこに、居るんだ)
     心のかで呟いた。不安を抹消するために……
     とにかく、全方位から攻撃する権利を持つ龍を見つけないと不利な事は一目瞭然だった。
     それなら視界が開けている場所を探して出した方が良いと思った。そこにおいびき寄せれば何とかなるかもしれないからだった。
     しかし、部屋の外に出たのは初めてで何処に行けば開けた場所に出るのか見当が付かなかった。
     俺が、ここに来たのは三年前の事だった。
     その時は、まだ一般市民でしかなかった俺は何も知らずにここに拉致された。子言い方は間違っているかもしれないかもしれないが、俺からしてみればどちらにしても、同じ事だった。
     三年前は、ちょうど神との戦闘が始まって日が浅い頃だった。その時は、神と戦う使徒が少なく、人為的に作ることが当然だった。
     今では、考えられない事だが当時の人からしたら当然の事だった。
     例外なく俺も実験対象だった。
     俺は、成功した? 人の分類だったので危険な事は行われることなく、三年かを生きることが出来た。
     成功作が居るという事は、当然失敗作も存在していた。
     聞いた話だと、神と適合するまであらゆる神の細胞を体内に移植されていくらしい。当然、肉体的に拒絶するものが殆どだった。
     神か人どちらが拒絶しているのか知らないが、死を迎えるまで実験は続けられるらしい。
     成功作の俺からしてみれば、心の奥底から安堵が込み上げてくる。
     ここだけの話だが、成功作は俺を含めて二人と聞かされている。それが真実か否か知るのは上層部だけだった。
     神と適合したが、俺ももう一人奴も力を使えていないようだった。その原因は、今でも分からないけど大丈夫なのだろか。
     走り出した。
     何処が何処か分からないが迷走するしかなかった。
    「はぁ、はぁ……。っあ!」
     迷走し続けて数秒の事だった。
     俺は、開けた場所に立っていた。それは、望んでいた事なので達成感は確かにあった。けど、待ち構えていたのは、悲惨な集団だった。
    「――っう、うそ。嘘だよな……これは」
     自分の目を疑い瞬いた。
     何回瞬いても、瞳に映る景色は変わることは無かった。
     そう、目の前には地獄が広がっていた。
  • 10 轟雷 id:2a5gW/g.

    2011-12-09(金) 21:18:27 [削除依頼]
     目の前には、十体ほどの神々が神々しい淡い光を放ちながら何かを待っていた。
     神々、同じ個体が存在しないとは言われているが、目の前に堂々と虚空を支配している神は、初めに出会った者とは多少違う所が有る。しかし、どう見ても別個体とは考えられなかった。
     その姿は、肉を食い千切るために鰐の頭部を擬態したようだった。だが、首から下は、鰐とは違った。
     首から尻尾まで蛇の様な光沢のある鱗を纏っている。けれど、蛇とは決定的に違う所が有る。内側、相手から見れば正面に当たる部分は、小さく丈夫な純白の鱗に覆われているが、背中側は内側とは対照的と言っても間違っていないほど大きく荒々しい鱗を纏い、空からの攻撃を防ぐように擬態していた。
     龍の腕は、古代生息していたと考えられている肉食恐竜の様に力強い印象を植え付けられた。
     足には、全身を支えるために強力で肉厚のある筋肉が外からでも伺うことが出来た。当然の事だが、足にも背中側と似たような荒々しい鱗を纏っていた。
     龍の象徴と言えば強大な翼。
     当然この場に居る全ての龍に翼が存在している。
     見るからに、素手で戦えるような相手でないことが分かった。もし、戦うとしら初めにあった龍から武器を引き抜かないといけない。
     理由? それは、簡単だった。
     神に外傷を与えることが出来るのは、神武という対神討伐専用の武器だからである。
    「――ッ」
     生唾を飲み込む。
     恐怖で足が笑っている。それは、足だけに限った事では無く、体には震えが襲い、額からは汗が噴水かのように噴き出している。
     気付いたら開けた場所から逃げ出していた。
    「あんな量の神、一人で倒せるわけ無いだろ。せめてあの龍に会えたらどうにかなると思うが……」
     考えを改める必要があった。
     敵は一人でなかった。
     複数いた。
     まずは、生き残るために必要な力を手に入れる。次に、神に見つからないうちに速やかに戦線を離脱する。
     これは、生き残るための決定事項。
     戦うと誓ったが、考えが甘かったと痛感させられた。
    「はぁ、はぁ……。ここまで逃げれば何とかなるだろ」
     自分でも浅はかな考えだと分かっている。どこまで逃げても、安全な場所なんて存在しない事を知っていたからだった。
  • 11 轟雷 id:1aQLYlG.

    2011-12-10(土) 23:14:28 [削除依頼]
     本能的に逃げ場所が無いと悟ってしまう。もし、逃げる事を止めたら確実に神に捕食されてしまう。だから、生きるために止めることは許されなかった。
     どのくらい走っただろうか、すでに体力の限界が来ていたので、あそこから離れていない事だけは分かっていた。
    「グゥ――」
     上から音が聞こえた。
     恐る恐る見上げてみると、龍がこちらを鋭い目つきで睨んでいた。
    「見つかった」
     驚愕のあまり口から言霊が漏れてしまった。
     慌てて口を押えたが既に手遅れだった。
     見つかってしまった。それなら睨み返してやれと思った。
     睨み返すことは恐怖で出来なかったが、龍と視線を合わせることぐらいは何とかできた。
     よく見ると、初めに会った龍みたいだった。先ほど遭遇した龍と違い全身無残に武器が抉り突き射されているから判断が出来た。
     何回見ても痛々しいと思う。
    「お前は、誰だ?」
     何故か龍に問うてしまった。答えが返ってこないと知っていて。
     全く襲ってくる気配が無いので、無視をして先に進むことにした。
     あの龍に関して少し気掛かりがあるが気にしては駄目だ。一度ここから離れ、警戒心を解いてもらってから伺おうと思う。
     それまで、あれ以外の龍と出会わない事を願いつつ歩き出した。
     龍を見上げた地点から、数歩離れた場所に足を踏み出したとき突然の耳鳴りがした。
    「――ッ、なんだ……。あ、頭が割れる」
     強烈な痛みと突き刺されるような痛みが頭部を襲った。全身から力が抜けるほど痛かった。ぎりぎりの処で、踏ん張ることが出来て少し心の中で安堵の溜息を吐いていた。
     体がふらつく。
     近くには龍が眺めている。もし、気が変わって襲ってきたらと思うと不安で可笑しくなりそうだった。
     体の自由が制限されている今、仕方ないと悟ること出来ない。そこまで老いていないのもあるが、せっかく外に出ることが出来たのにこんなに早く死にたくないと思ったからである。どっちの気持ちが強いと聞かれたら、迷わないで後者を言っていただろう。
     千鳥足で歩く。
     どの角度から見ても危ない歩き方だった。いつ挫けるのか肝が冷やされてしまう。
     後ろを振り向きながら龍に睨み付けた。
    「お前がやったのか?」
  • 12 轟雷 id:4pS4lxg.

    2011-12-11(日) 01:28:48 [削除依頼]
     問いてみたが、やっぱり返答が無かった。
    「あ、あぅ……」
     変な声を出してしまった。
     全身くまなく触れている様な感じがした。それは、一瞬の事だったので気のせいだと思ったが、あまりにもリアルな感覚だったので、時間が経過した今でも体に感覚が残っていた。
    「あれ……痛くない?」
     そう、痛みが消えていた。変な感覚が襲ってきた瞬間なのか、過ぎた瞬間だったのか分からないが、確かに頭部を襲っていた痛みは綺麗に消えていた。
     あの痛みが嘘の様だった。
     もう一度龍を見た。
     すると龍の瞳が紅蓮に輝いた。真っ赤だった。血より濃く強い力を感じることが出来た。

    ――我が名は、夢幻――

     頭の中に声が響いた。
     それは、男の力強い声であり女の透き通るような優しい声だった。
    「誰だ! 頭の中に語りかけてくる者は」

    ――少年よ。力を求めるか?――

    「答えになっていない。問いに答えろ!」
     お互いの会話が成り立っていなかった。一方的に語りかけている状態と殆ど変らなかった。
     少しだけ考えた。
     この場に居るのは、俺と龍だけだった。他に誰もいない。
    「まさか……。そこに居る神だとでもいうのか?」
     返事は無かった。
     違うと思ったとき――
     上から光を感じた。それは、ただの光では無くて龍の咆哮だった。漆黒の炎と紅蓮の稲妻が混ざり合ったものだった。
     気付いた時には目と鼻の先まで迫っていた。
     もう駄目かと思い瞳を全力で閉じた。
     咆哮が何かに当たって炸裂さいた。自分に当たっていないと気付くまで時間は必要としなかった。
     嫌な予感しかしないが、震えながら少しずつ瞳を開いた。
     視界は、漆黒の炎と紅蓮の稲妻が絡み合った爆風が邪魔をして何も見えなかった。
  • 13 轟雷 id:4pS4lxg.

    2011-12-11(日) 14:53:48 [削除依頼]
     何かに守られたことは、何となく分かったが誰に守られたのか分からなかった。
     炎と稲妻が混じった黒煙は、視界を悪くし身体にまで影響を与えた。呼吸するたびに、黒煙が体に入り込み蝕んでいく。
     初めは、特に問題が無かったが、気にしないで普通に呼吸をしていると肺に焼ける様な痛みを感じた。
     痛み出してから口を慌てて塞いだが、すでに手遅れで痛みは時間と共に比例し増していく。痛みは、肺から全身にじわじわと広がって行く。
     本能的に胸を抑えるが、痛みを和らげることは出来なかった。
    「――ッ、ぐぁああああああああ」
     強烈な痛みのせいで奇声を上げた。
    「はぁ、はぁ……。なんだ、この黒煙は……少し変な感じがする」
     意識が朦朧とする。
     擦れる視界の中、ただ何が起きたのか確かめようと懸命に瞳を動かす。
     あれほどの黒煙が少しずつ消えていった。
    「嘘、だろ?」
     黒い影が目の前に現れた。
     黒煙は、微かに動く気流によって流されていく。

    ――力は、必要か――

     また声が聞こえた。
    「力は、必要か……。必要に決まっているだろ」
     黒煙が消えた。
     守ってくれた存在の姿が露わになった。

    ――使徒に認定する――

     守ってくれていた神が消えた。
    「何が認定だ……ふざけるな」
     神は、跡形なく消えたしまった。残っているのは、俺と龍の群れだけだった。もう、守ってくれる存在が居なくなった。戦うための力を手に入れ損ねた。
     不幸が連続して襲ってきた。
    「――ッ」
     龍は叫んだ。叫び声は、轟音よりも大きな音を出し、大地を揺らし頭部に痛みを齎した。
    「はぁはぁ、くそが……、ッくそがぁあああああ」
     叫んだ。
     強い絶望に負けて心が折れた。もう、どうなっても良いと心から思った。
     お互いの叫びは、共鳴しているようだった。神が、何に対して叫んでいるのか分からないが、より大きな声で叫び大地を震動し続けた。
  • 14 轟雷 id:xIYtCAV.

    2011-12-12(月) 16:18:40 [削除依頼]
    「もう……知らない」
     そして、再び瞳から光を失った。
     真っ白の部屋に居た時みたいに、絶望しか感じられない冷たい眼をしていた。
    「終わりにしよう」
     言葉からも何かを失われていた。言霊に憑依するはずの神が、少年の言霊に乗り移っていなかった。それどころか、悪魔が憑依したように死を連想させ、存在を否定されたかのような感じがした。
     体から痛みが消えた。この言い方は、少し違っているかもしれない。だが、体に痛みとういう概念が消えたのは事実だった。ただ、言葉の真の意味が隠れてしまっているだけだった。
    「これが、不死を司る神の力なのか」
     少年の周囲には、紅蓮の陽炎が纏わりついていた。それは、炎の様で炎ではなかった。
     龍は、少年の異変に気付いたのか少々後退していた。真正面から見れば分からないかもしれないが、真上から見れば全体的後退していることが伺えた。
     だが、今の少年にそんなことは関係なかった。
    「神よ……更なる力を与えんことを冀います」
     小さく呟いた。
     すると、少年の周辺の大気が震えだした。まるで、強大な力を目の当たりにした、無力な人の様に震えあがっていた。
     纏う陽炎が強く激しく輝いた。強さはさらに増し、少年の姿が見えなくなるまで輝いた。
     龍は、何かを感じ取ったようだった。
     光は何事もなかったように、火花のように儚くけて行ってしまった。消えていくことに足して問題は無かった。だが、消えてはならない存在がその場から消えてしまった。
     龍の瞳孔が大きく開いた。その様子からして、龍達にとっても想定外の状況だったようだった。
    「神よ、何処を見ている」
     冷たい言霊が発せられた。
     少年は、龍の目と鼻の先に居た。そう、空を飛んでいた龍の目先まで距離を詰めていた。
     さらに瞳孔が蠢く。
    「そんなに驚くことないだろ? 今は、お前たちと同等の立場に居ると思うが……」
     自分でも言っている意味が分かっていなかった。ふと湧き上がってくる言霊を発しているせいか、言葉の意味が理解できなかった。
     少年は、神を取り込んだとしても、神と言う存在に成ることはこの先永劫無いからだ。もし、なるとしたら精神だけを神の肉体に定着させる必要がある。
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