-鬨-154コメント

1 祈祷 彗月 id:gg147R3.

2011-12-01(木) 18:54:53 [削除依頼]

 純潔の女神――マリウスは優しすぎた



 響く 鬨の声が.
  • 135 彗月. id:bmJmTqj.

    2012-08-06(月) 21:37:33 [削除依頼]
     口の端から血を流す兵。
     一言も発することなく、まるでスローモーションのように地面へと倒れた。

    「さて、もう大丈夫だ。――俺はベテル。君の名は?」
    「……レオイ」
    「レオイ……君の名はレオイか。俺のことはベテルと呼んでくれ」
     差し出された手。
     俺といいつつもベテルは女だろう。優しく、気品のある笑みをレオイへと向けた。
    「――ママは、死んじゃったの?」
     ベテルの手をとろうとしないレオイは泣くのを我慢したような声で小さく尋ねた。
     頬を撫でてくれた手がいつの間にか血の床へと倒れている。もう動かなくなってしまった母の肩を優しく揺するが、変化はない。
     これが死なのか。
     初めてみる死が母であることにレオイのショックは大きかった。
    「レオイ、君が弱いから死んだんだよ」
    「っ!!」
     大きく跳ねたレオイの肩。
     母を守れなかったのは、死なせてしまったのは自分だと直接言われた。 
     下を向けば流れ落ちる涙。
     歯止めがきかなくなったようにわんわん泣いた。
     人目も気にせず、自分を責めるように“ごめんなさい”とレオイは泣き続けた。
     
     それからどれくらい泣いただろうか。
     今はもう呼吸もしない母をベテルは燃やした。
     空に上り、遥か上空のとても遠い場所から永遠に見守ってくれるとレオイに言いながら。
    「――さぁ、行こうか。親の仇をとるためにお前は強くならなければならない」
    「うん……」
     燃え尽きた頃にはレオイの涙は止まっていた。
     ベテルの手をとり、空の母に誓ったのだ。
     母の死のきっかけとなったこの奴隷制度を廃止させると。
  • 136 彗月. id:bmJmTqj.

    2012-08-06(月) 21:57:34 [削除依頼]

    「レオイ! そっち行ったぞ!!」
    「うんっ」
     枝から枝へと飛び移り、馬の混乱する馬車を上手く誘導。
     木々が密集した場所であるこの場所の先に崖があるなどたまにしか通らない兵には分るはずもない。
    「ベテル! 今だっ」
     足を崩した馬が落ちないようにと手前で止まる。
     ベテルとレオイはその瞬間を待っていた。
     両端から中へと入り込み、兵に深手を負わせると積荷を持って逃げる。
     レオイは王国軍の者であろうと、できるだけ命を奪うことは避けるよう常日ごろからレオイへと言い聞かせている。
     そのため、レオイはベテルの弟子になってから数年、命そのものを奪ったことは一度としてない。

    「ふぅっ。あいつ等あんまり持ってないなー、……って冷たっ!」
    「ベテル、今回はハズレだな」
     十分ほど走って逃げていた二人は小さな小川で休憩をとっていた。
     肩を落とすベテルは持ってきた積荷をレオイへと預け、川の水へと足を入れた。
     ベテルは出会った時からずっと裸足だ。
     何処に行くにも裸足に、白と黄色と紫の色鮮やかな踊り子のような姿。
     以前レオイはその格好で移動しにくくはないかと尋ねたことがある。
     だが、ベテルは笑いながら全然平気だと言ってレオイの銀髪を撫でただけだった。
    「あーあ。最近肌が白いんだよねー」
     足を上下に動かしながら水しぶきをレオイへ当てようと遊ぶベテルが呟いた。
    「あー、確かに、ベテルは色白だよね。俺もだけど」
     自分を指差してニコニコ笑うレオイ。
     確かに、レオイも白いが比べるとするならば断然ベテルが白いだろう。
    「これじゃあ女みてーじゃん。いつのまにかレオイまで一人称が俺になってるし」
    「もとから女だろ。俺って言い出したのはベテルが言うから」
    「弟子は師匠に似るんだな」
     たわいもない会話。
     だがそれが二人の日常だった。
     尽きることのない会話をして、実戦という名の鍛錬をする。
     実のところ、レオイはこんな下っ端の兵を襲うのではなく奴隷業をする者達を懲らしめたかった。
     何度かベテルに言ったことはあるものの、「お前ではまだ無理だ」の言葉だけで許可が下りてはいない。
  • 137 彗月. id:BgyLdZ81

    2012-08-07(火) 14:39:09 [削除依頼]
    「――ん?」
     ベテルの視線が水から空へと変わった。絵の具のように水色の綺麗な空を見つめ、何かを聞き取るようにじっとしている。
     レオイは素早く荷物をまとめた。
     9割以上の確率でベテルの耳は当たる。きっと先程の兵が取り返しにでも向かっているか、また新たな獲物。
     毎回、このようなときベテルは馬の足音を中心にとらえている。馬の数が分ればおよその人数も把握できるし、足音のリズムによっては馬車かどうかも判断してしまう。
     石のようにまったく動かないベテルの足元でレオイは目を瞑った。
     自分には判断する以前に聞き取る能力すら欠けている。
     だからこそ、こうやってベテルの傍で自分も練習をするのだ。
    「――結構な数だ」
     ゆっくりと目を開けたベテルは静かに言った。
     その数は馬なのか、それとも人なのか。
    「うん、でも俺達なら倒せない数でもない。だが、これは……」
     風に揺れるレオイの髪を払いながら顔を曇らせるベテル。
     どこか悩んでいるように読み取れたレオイは肺へ送る酸素を大きく吸い込んだ。
     何年一緒にいると思っているのだろうか。
     ベテルは言わないつもりでいるようだが、レオイにははっきりと分った。
     この先にいる王国軍の正体が。
    「ベテル、いるんだね? この先に、奴隷業の薄汚い奴等が」
     熱を帯びるレオイの体。終わったはずの血のにおいが鼻をつき、全身に母の血を浴びているような感覚に陥る。
     疼く手足を止めるように強く剣を握った。
    「レオイ、ダメだ。もし本当に奴隷業の奴等なら、きっと奴隷も一緒だ。そうなれば奴隷を無事売るために屈強な兵が護衛としている確立が高い」
     ベテルの声に緊張がはしる。
     俯き、反応のないレオイの両肩を強く掴み、必死に説得をした。
     だがレオイにはその言葉が届いていない。
     足元の砂利を一転に見つめたままブツブツと呪いを呟くように何かを言っている。
     心に潜む闇が、恨みの炎が湧き出てくるのが感じられた。
    「……ベテル、ごめん」
    「レェオーイ!!」
  • 138 彗月. id:BgyLdZ81

    2012-08-07(火) 15:26:29 [削除依頼]
     叫びのような声。
     それでも振り返ろうとしないレオイは掴まれたベテルの肩が麻痺するように感じながらも再び森の中へと走り続ける。 
     荒くなる息遣いと重くなる足。
     今までのレオイはベテルの細かな作戦のおかげで必要最低限の動きしかしてこなかった。
     レオイ自身、知らないうちにベテルへと頼る甘さが出ていたのだろう。
     一人となった今、こうして誰の力も借りずに我武者羅に走ることがとてもきつく感じた。
    「はぁ、はぁっ……」
     以前レオイはベテルに走り方を教わっていた。
     視線は下ろさず上すぎず。リズムを刻むようにテンポよく動かす足。そして足にあわせた腕の振り方。
     だがしかし。
     今のレオイには“殺す”という欲求以外な何も存在していない。
     ベテルの存在さえも薄れ、標的だけを捜し求めた。

    『おい! さっさと進め。客が待っているんだぞ!』
     いきなり聞こえた怒気の混じった声。
     何かを叩きつけるような音と、子共が嗚咽を漏らすような声も。
     とっさに身を低くしたレオイは出来るだけ木々の密集した場所へと移動した。
     葉と葉の隙間から確認できるのは馬車が三台のみだ。きっと反対側にいるのだろう。 
     小さく舌打ちをしたレオイはどう反対側へ移るか視線を泳がせた。
    「おい、何をしている?」
    「何!?」
     誰かの影に遮られたと思ったら低く図太い声が真後ろから聞こえた。
     反射的に振り返り剣を構える。
     未だに状況をつかめていない心臓は大きく脈打ち静まってはくれない。
    「おい!! ここに怪しい子共がいるぞ!」
     剣を抜こうとさえしない兵は馬車へと声を張り上げた。
     とたんに騒がしくなる馬車。
     ついレオイも振り返ってしまったがそれが仇となった。

    「おい、お前。正面に俺がいることを忘れちゃいねぇか?」
     脳が揺れる。
     ズキズキと痛む後頭部。
  • 139 彗月. id:wZaN3S90

    2012-09-17(月) 17:03:07 [削除依頼]
     持っていた剣はするりと手から落ち、土の上へと。
    「ん? 最初は脱走した奴隷かと思ったが……違うな」
    「おい! どうした!」
     後頭部を殴った男に応えるようにまた一人、誰かの声が聞こえた。
     この状況はあまりにもよろしくない。敵にばれてしまっては勝てる確率がぐんと下がる。
     まるで今のレオイから血の気が引くように。
    「……んかに、てめぇらなんかに負けるかよ!!」
    「うぉ!?」
     足と手で土を蹴り、震える膝を上げると男の顎へと頭を突っ込ませた。
     負けなくない。死にたくない。
     生きることに対する欲求だけが増幅するなか、レオイは荒い息遣いで男を睨み上げる。
    「俺は生きる! お前等奴隷業をやってる奴等全員をぶっ殺して平和な世界を作ってやる!!」
    「なめてんじゃねぇぞこのクソガキィ!!」
     憤怒した男はレオイを張り飛ばした。
     草木を越え、もろに馬車へと激突。
     強制的に肺から追い出される酸素。喉まで上がってくる鉄味血。叩きつけられた痛みで全身の骨が軋みを上げる。
     どれもがベテルとの訓練以上だ。
    「お前、見た目だけは一級品だな。俺等に剣を向けた罰だ、お前も奴隷にしてやるよ」
     もはやレオイに戦う力など残されていない。
     勝利に酔いしれるような男はレオイの額を掴むと顔を上げさせ、下卑だ笑みを浮かべた。
    「おい、そいつはどうした?」
    「こいつぁ、俺等に剣を向けてきたバカ野朗だ。まとめて売り飛ばそうぜ」
     近づいてくる仲間に何かを指示し、男はその場から消えた。
     残された者は男に命令されたのか腰の鎖でレオイの両足、そして両手を縛る。
     遠くなる意識の中、何も考えられない。
     自分がどうなるかなんて考えたくもないレオイはぎゅっと目を瞑る。
     脳裏に浮かぶのは最後まで引きとめようとしてくれたベテル。身を犠牲にしてまで守ろうとしてくれた母。
     乾いた頬に一筋の涙が流れ、慰めるように優しく風が触れてきた。
  • 140 彗月. id:wZaN3S90

    2012-09-17(月) 17:18:20 [削除依頼]

    「ふぅ。我が弟子は手間が掛かるね」
     
    「……え?」
     風が去ったと思えば聞きなれた声が耳を撫でた。  
     あの時と同じ、視界全てを覆いつくさんばかりのオレンジと黒。
     またそこから始まった。
     先程何処かへと言ってしまった男の怒鳴り声。
     そして何かが飛び散るような音と濃い赤。
     嗚呼、なんてことだろう。
     再び流れ落ちる涙と、そして口から漏れる嗚咽。
    「ベ、テルッ」
     離れて一日とも経たないというのに懐かしく感じた。
     これが終わったら一番最初に謝ろう。そしてできることならもう一度弟子になりたい。
     未だに動けないレオイは剣と踊るベテルを見つめた。

    「おい! これを見ろ!!」
    「なっ!!」
     突如ひんやりとした首元。
     振り返ったベテルの動きは止まり、レオイの背後を静かに睨んでいる。
    「けけっ。おい、よくもやってくれたな」
    「人質か? 相変わらず汚いやり方しか知らないようだな」
    「まぁまぁ、そう言うな。このままじゃ俺等は全滅だ。そうなれば国王様が困るんでな」
     ここでようやく状況が理解できた。
     ベテルの登場により、勝利を確信できたレオイはあまりの安心感で脱力し、周囲への緊張を忘れていた。
     それが今の現状を生み、ベテルを陥れたようだ。
     背後の男がレオイの首へと当てるナイフに力を入れ、擦り傷を作った。
  • 141 彗月. id:wZaN3S90

    2012-09-17(月) 17:32:05 [削除依頼]
     男とベテル。
     二人の間を通り抜ける風は何も知らないように気ままに感じた。
     青い空が嫌味なように感じる。ここで雨でも降ってくれたら場似合いなのだろうに。
     既に先程死を、奴隷を覚悟したレオイにはもう何もなかった。
     ただベテルが助けに来てくれただけで嬉しい。それだけで良かった。
    「……ベテル、有難う。でも、もう良いよ。俺は、平気、だから」
     笑え。
     頬を伝うものは雨だ。いつのまにか雨が降り出したのだ。
     だから、笑え。
    「助けに来てくれただけで、有難う。もう……大丈夫」
     肩が動く。
     泣き顔を見られたくなくて必死に口元を吊り上げようとするが上手くいかない。
     一瞬驚いたベテルは無表情になってしまった。
     呆れたのだろうか。ならばそれでも良い。それが良い。

    「――お前は、馬鹿だ。才能のある弟子をなぜ見.殺しにせねばならん?」
     静かな怒りだった。初めて見る本気で怒ったベテル。
     きっと今のベテルならば嵐だって呼び起こせるだろう。
    「おい! 奴隷業の奴等、その能無しの耳でよく聴け!! 今ここでコイツを殺すのなら俺はお前等を全員苦しめながら殺.すぞ!!」
     空まで木霊するベテルの怒気。
     肌がビリビリと震え、鼻の奥がツンとするような痺れ。
    「今此処で俺と戦ったお前等なら分るよな!? これが本気ということが!! いやならそいつを解放しろ! ……俺が、身代わりとなろう」
  • 142 彗月. id:oXii47u1

    2012-09-18(火) 17:35:55 [削除依頼]
    「――え?」
     最後の一言に我が耳を疑った。
     自分を犠牲にしてまでして守ろうというのか、この弟子を。
     拳をぎゅっと握り締め、脳が揺れるほど首を横に振るレオイ。
     今更になって自分がどれほど浅はかで情けない行動をしたのかを思い知らされた。
    「ベテル! 嫌だ! ベテルが俺の身代わりなんておかしいだろ!?」
    「何を言う、レオイ。お前はこれからも強くなる。次世代を担う若き目を摘むわけにはいかないだろう?」
     この人はどこまで素晴らしく、健気なのだろうか。
     ベテルの言葉には一切の震えが感じられない。生と死を同じとみなし、生きることも死ぬことも同じだと言わんばかりの笑顔。
    「さよならだ、レオイ。この悲しみを乗り越え、フェニックス騎士団を目指せ。そこにはお前の仲間が沢山いる。もう……一人ではないのだ」
    「ベテルッ……嫌だ、嫌だよぉ!!」
     歪む視界。
     周囲が、ベテルが、しっかりと見ることが出来ない。
     鎖を鳴らしながら目を擦り、必死に視界を開こうとするが擦るたびに溢れる涙は止まりそうもない。
    「ふん。お前なら上出来だ。……おい! このガキは捨ててくぞ!!」
     情の欠片もない声。
     自ら望み鎖を付けられたベテルはレオイを一瞥すると馬車へとゆっくり乗った。
     代わりに外されるレオイの鎖。泣き叫ぶレオイを置いて逝くかのように風と馬車は進む。 
     無我夢中でベテルを取り返そうと走るレオイだが、馬車には勝てない。
     鉛のように重い体を強制的に動かし、風を切って走る。次第に荒くなる息は追いつけないと言っている様だ。
     そしてそのまま力尽きる前に木の根に足を引っ掛け無様に転倒してしまったレオイ。もう立ち上がる力さえも残ってはいないようだ。
     
     「ベテルゥゥウウ!!!」
     
     木霊する悲痛なる叫び。
     雲のない空はその叫びを受け入れるかのように何処までも青く、嫌味なほど美しい。
     腫れて赤くなった瞳を擦り、さらに赤くさせたレオイはふらふらと立ち上がる。
  • 143 彗月. id:oXii47u1

    2012-09-18(火) 17:50:01 [削除依頼]
     木々に体を預けるようにしながら一歩一歩進むレオイには何処へ行けばいいのかが分らなかった。
     呼吸をするだけでも億劫に感じ、進むことに対しての僅かな拒否反応。
     だが、それでも恐怖はなかった。
     今のレオイは一人ではないのだ。ベテルが見守ってくれているのはもちろん、今のベテルの肩には黒茶の柔らかい毛並みと鋭利な瞳を持った子共の犬鷲。
    「レオイー、大丈夫か?」
    「うん、大丈夫。きっともう少しだから。だから……リーも頑張って?」
     困ったような顔でレオイの周囲を飛ぶ犬鷲の名はリー。
     少し前に狩人らしき人物の罠に掛かっていたところを助けたのだ。
     その後、リーは“全能”と呼ばれる世にも奇妙な実を口にし、狼へと化けることもできるようになれば人間の言葉を理解し、話すこともできるように。
     今ではレオイの良き相棒である。
    「リー、俺は誰にも負けない程強くなるよ。そして、奴隷業を潰してやるんだ」
     寄りかかっていた木へと食い込むレオイの爪。
    「うん。レオイがやることは全部応援するよ。一緒に頑張ろう」
     無垢な瞳でリーは言った。
     くるくるりと風とじゃれるように飛び回り、レオイを元気付けるかのように笑った。
  • 144 彗月. id:oXii47u1

    2012-09-18(火) 18:05:53 [削除依頼]



      第六章  差し延べられし暖かな手
  • 145 彗月. id:feuAEMA/

    2012-09-24(月) 20:21:32 [削除依頼]
     “九死に一生を得る”だなんて実際はほとんどあり得ない。
     もしもその“ほとんど”に入ることが出来た人間がいるのならばそれは強運というべきか悪運というべきか。
     どちらにしろ、助けられた命なのだから這い蹲ってでも生きるしかないだろう。



     肌にべたつくような生温さと、何かが流れた頬が少しだけくすぐったい。乾ききったはずの涙がまだ残っていたのか。
     乱暴に手で涙を拭い、目を擦ると上半身だけを床から起こした。
     今が朝か夜かを確認することもできなければいつの間に眠っていたのかも把握できない。
     何故こんなとき限って夢で過去を見なければならない。あの時の屈辱と後悔、そして誓いが胸の中を廻る。
    「ベテル――。ごめん、俺はもうダメみたいだ……」
     半分放心状態になりながら口の中でもごもご呟いた。
     離れてフェニックスに入った後も時間の合間を縫ってはその消息をずっと捜していたのだが、情報はまったくと言っていいほどない。
     きっと今はもう生きていないのだろう。
    「天国か地獄か……ベテルに会えたら嬉しいなぁ」
     泣き笑いのような表情で、一人呟いたレオイは再び目を瞑った。
  • 146 彗月. id:feuAEMA/

    2012-09-24(月) 20:23:29 [削除依頼]
    >144  またやっちゃいましたね……(´・ω・`)  注意力の欠片もないようです←    第六章ではなく  第七章  です  
  • 147 彗月. id:feuAEMA/

    2012-09-24(月) 20:47:19 [削除依頼]
    >145  久々に浴びた太陽は眩しすぎる。  今まで暗いところでひっそりしていた為、明るい場所へと出ることに拒否反応に似たものを感じる。  一歩一歩進む地面はどこか柔らかく、全身にぶつかる風はとても新鮮。  だがそれも今日で終わりらしい。  両手と両足にそれぞれ付けられた鎖が耳障りな音をたてる。  周りの民衆がこちらを見る視線に敵意を感じる。そして周囲を守る兵達の殺気が肌に突き刺しているようだ。 「これより、我等が王に反するフェニックス騎士団の一人を公開処刑とする!!」  五段ほど上がった階段に登った瞬間、図太い男の声が耳をつく。  偉そうに堂々と言うのに苛立ちを感じながらもそれが最期では悲しいと感じ、視線を周囲へと向けた。  今もまだつまらない男の話しは続いているが、もうレオイの耳には聞こえていない。  憎々しげにこちらを睨む顔。哀れむような顔。どことなく悲しそうな顔。興味津々で見る顔。  そしてもう一つ――…… 「――え?」  オレンジと黒。  瞬時に甦る過去。  嗚呼、何年ぶりに見ただろうか。  ふいに懐かしい香りがこみ上げてくる。  アレは、アレは懐かしい姿。  感情を読み取れない無というべき表情。 「べ、ベテ「レオイー!」    レオイの声に重なる可愛らしい声が頭上から降ってきた。鳥類が大きな羽を羽ばたかせる音。  太陽に照らされていたレオイと死刑台が影に覆われ暗くなる。
  • 148 彗月. id:a56UDOO.

    2012-11-22(木) 17:11:14 [削除依頼]

     |ω・)ハイレル?
  • 149 彗月. id:a56UDOO.

    2012-11-22(木) 17:13:06 [削除依頼]


    (゜∀゜)入れたー!!
  • 150 彗月. id:a56UDOO.

    2012-11-22(木) 17:20:22 [削除依頼]
    □お知らせ□

     でも“重要なお知らせ”の火災により無くなった部分ありw
     んまぁ、「なんとか正常に〜」と書いてあるので復元を待ってみようかなと……|ω・`)

     仕方ないけど書きたいから急遽番外編でも突っ込んでみまーす←
  • 151 彗月. id:oHidhIt1

    2012-11-25(日) 18:45:53 [削除依頼]
    □番外編□

       【―守るべき者―】

     朝食を食べ終え、勉強するから静かにするよう言ったキトニアの部屋周辺には誰も近づかない。
     だが、我が国の時期王であるバルシュ国王の娘キトニアは勉強するどころかイスにさえ座っていなかった。
     クローゼットを開き、奥の奥にある扉の鍵穴を手探りで捜し当てると迷いなく鍵を突っ込んだ。
     音も立てずに開いた奥の扉から出てきたのはキトニアの身分には似合わない質素な服だ。
     メイド達が見つけでもしたらさぞ驚くであろう。誰がこんな服を着るのかと口々に言い合って最後には捨てられる。
     
    「ふぅ……」

     自分の栗色の髪と同じような色をしたオレンジと黄色のドレスを脱ぎ捨てたキトニアは取り出した質素な服へと着替えた。
     最後に、服と一緒にしまっておいたキャップを被り、髪を全て中へと入れてしまえば完成だ。
     何処から見ても町に住む普通の娘にしか見えない。
     キトニアはドレスをクローゼットへと片付け、小遣い程度にお金を持つとこっそりと部屋を出た。
     足音を立てず、見張りの兵に見つからないよう慎重に進み、木の枝へと飛び移れそうな窓を探す。
     丁度良い感じの窓を見つければすぐさま窓を空け、勢いよく木へと飛び移った。

    「わっ!」

     いきなりの体重に驚いたように揺れる木。
     少し声を漏らしたキトニアだったが、すぐに落ち着きを取り戻すと下に兵がいないことを確認してするすると降りて行った。

     
     その後は簡単だ。
     木々の隙間を通り抜け、城を抜け出した。
  • 152 彗月. id:2h9G2kK.

    2012-11-27(火) 19:31:05 [削除依頼]
     向かったのは真東に存在するバックン都市とを繋ぐリクトリア森。守りの兵も付けず、キトニアは何度も足を運んでいる森だ。
     だが最近はまったく来ていなかった。
     季節が夏へと移り変わり、太陽が照らす灼熱になっていたからだ。
     それでも今日、キトニアはどうしても此処へと来たかった。
     一人は気が楽でいい。ここに人を連れてくるなど今のキトニアではありえないだろう。
     歩きなれているキトニアだからこそ、三十分ほどで目的地へとたどり着けるが初めて通る人ならば一時間は掛かるだろう。
     特別迷いやすいなどという理由ではないのだがこの森はよく人攫いが通る。もし人攫いに見つかり捕まれば奴隷商人へと売られてしまうだろう。
     そして何よりここは足場が悪い。何もないと思って踏み込めば蜘蛛の巣が頭上にあったり、蜂の巣だっていくつかある。
     自然が生み出し管理するこの森は沢山の昆虫も存在しているわけであり、噛まれたり刺されたりすることも多々。
     
    「おっ! 発見。久々の楽園」
     
     額の汗を拭ったキトニアは今日一番の声をあげた。
     楽園と称するのは綺麗な円の形をしている小さな湖だ。透明な水とゴミ一つない環境のなかで美しく存在する。
     大きく深呼吸をし、周囲を見渡し、誰もいないことを確認したキトニアはいそいそと行動を開始した。

    「ふぅー……。この開放感、たまんないわね」

     服を脱ぎ捨て、生まれたままの姿に戻ったキトニアは湖へと身を任せていた。
     泳ぐことはいないが、軽く潜ったりと清らかな水と戯れている。
     いつもなら五分程度ですぐに出てしまうのだが今日は久々であるため水から出られない。
     気づけばいつもの倍以上も水の中へといた。
     
    「……!!」

     もう少し、もう少しといってずっと水の中にいればふと感じた人の気配。
     警戒したキトニアはすぐにみずから出、服の中へと隠している護身術用のための短剣を取り出した。
     
    「――誰? 出てきなさい。無駄な考えなんて起こすと痛い目見るから」

     緊張感のある凛とした声。
     ぬれた髪を全て背中へと追いやると布一枚を身にまとい、見知らぬ人物へと構えた。
  • 153 祈祷 彗月 id:4QYtG.d1

    2013-01-05(土) 18:10:58 [削除依頼]

     重大なお知らせがあります。
     この鬨はキャスで一番最初に挫折しなかった作品です。(いや、まだ完成してないしくじけたことはあるけどね)
     もしかしたら読んでくださった方もいるかもしれません。
     
     ですが。
     読者の方には申し訳ありませんが、鬨は一度ここで終わらせていただきます。
     単なる言い訳だとは重々承知しておりますが無投稿の期間があまりにも長すぎました。
     なので正直一からしか書けません。
     きっとこのまま書き続ければぐちゃぐちゃでしょう。
     ですのでプロットの修正から入りつつ新しく鬨を創り直します。
     題は変わりません。100%、鬨で書かせていただきます。
     だってこの小説は鬨以外ありえませんし←


     読んでくださった方、ここまでありがとうございます。
     そしてごめんなさい。
     ですが、生まれ変わった鬨を読みたい、読んでよかったと思っていただけるよう精一杯頑張らさせて頂きます。
  • 154 黒川聖 id:TjRX/WA/

    2013-01-11(金) 22:17:57 [削除依頼]
    久しぶりに覗いたら改訂と伺い悲しい反面
    改訂後に胸が躍るという非常に複雑な心境です←

    そろそろ受験生の時期になり自分は早めに消えます
    受験が終わってまだ戻ってきた時の楽しみにしています

    プロットの作成頑張って下さい
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