アトムの錬成術15コメント

1 おはようポテト id:9vsDSHR/

2011-11-30(水) 21:42:20 [削除依頼]
エレンは逃げていた。誰かに追われている訳ではない。ある場所から、
自分の生まれ育った村から逃げていた。


エレンは幼少期、村一番の[変な子]だった。なぜなら、彼は
生まれつき右腕がなかったからだ。彼の右腕の無い姿は、村の大人達
に同情の念を抱かせた。両親は彼がこれから生きていけるかを心配
したが、その心配は無用で彼は元気に成長していた。しかし、村の
者も両親も、彼の本当の[変]なことには、まだ、気づいていなかった。
  • 2 おはようポテト id:ODvMvjO.

    2011-12-02(金) 21:52:31 [削除依頼]
    どのくらい走っただろうか。体力の限界まで走り続け、エレンは立ち止まった。
    後ろを振り返ってみたが、当然のように、追ってくる者などいなかった。
    周囲を見渡すと、そこはだだっ広い草原だった。広い空間にぽつんと一人。
    胸を忍び寄る[寂しさ]を振り払い、草の上に腰を降ろした。
    季節が夏だったのと限界まで走ったことによって、エレンの額には玉の
    ような汗が浮かんでいた。急に喉の渇きをおぼえ、エレンは再び周囲を
    見渡したが、このだだっ広い草原に小川も何もないことがわかった。
    仕方なく、エレンは[力]を使うことにした。生まれ持ったこの[力]。
    できれば使いたくなかった。エレンはこの[力]が原因で村を出ることを決めた……。
  • 3 クロカニ id:/F0L/on.

    2011-12-02(金) 22:02:59 [削除依頼]
    小説書くの上手いですね!
    特に周りの風景が頭の中に広がる感じがします! 更新がんばって!
  • 4 おはようポテト id:ODvMvjO.

    2011-12-02(金) 22:24:46 [削除依頼]
    彼の両親は貧しい暮らしを送っていたが、その分エレンに精一杯の愛を注いだ。
    そのおかげでエレンは片腕が無くとも、なに不自由無く生活できた。
    そして、自分の特別な[力]に気づいた。
    最初に[力]を使ったのは、村の脇を流れる小川でのことだった。
    小川の水位は低く、てをのばさないと届かないので、水が飲みたい時、
    村の者達はいつも両手で水をすくって飲む。エレンはいつも、親に
    すくってもらった水を飲んでいた。しかし、エレンは十歳になり、
    一人で小川に水を飲みに行った。片腕しかないエレンは村の者達と同じ
    ように飲むことができなかった。その時、水を飲みたいという欲求が形に
    なり、エレンが上を向き、口を開けると頭上10cm程のなにもない空間から
    口の中に水が流れ込んできた。初めて一人で飲んだ水は今までで一番
    おいしかった。
    その後、小川の近くに、どこからともなく水が流れ落ちる場所があると
    噂になり、物好きな老人が血眼になって探していたが、結局見つからなかった。
  • 5 おはようポテト id:ODvMvjO.

    2011-12-02(金) 22:37:42 [削除依頼]
    クロカニさん。
    ありがとうございます!
    上手いと言ってくださるなんて……感激です。
    毎日更新できるよう、頑張りマス!(^-^)
  • 6 おはようポテト id:80xtO7d1

    2011-12-03(土) 21:03:00 [削除依頼]
    エレンは初めて一人で水を飲んだ時のことを思い出しながら、仰向けに
    寝転がった。草が頬をくすぐった。青い空を見上げたまま、口を開け
    流れ込んでくる水で、しっかりと喉を潤した。
    [力]を使うことによる倦怠感には慣れていたが、エレンは起きる気にな
    れなかった。起きあがっても行く当てがないじゃないか。そしたら、
    もう少し、ここでそよ風に吹かれていてもいいんじゃないか。
    体の疲労がかなりあったのだろう。目を閉じたエレンは草のそよぐ音
    を聴きながらすぐに眠りにおちてしまった。
  • 7 おはようポテト id:j6U8tzn/

    2011-12-06(火) 22:50:00 [削除依頼]
    空が紅く染まり始める。子供達が、野原で追いかけっこをしている。
    実に平和な風景で、エレンは温かい気持ちで子供達を眺めていた。子
    供達の笑い声がピタリと止む。何かおもしろいものを見つけた様で、
    興奮した様子でそれをつついたり触ったりしている。

    「ん?」
    急に何かにつつかれたような感覚がして、エレンは夢から覚めた。も
    う少し眠っていたかったが、数人の子供達に体中つつかれていては、
    そう簡単には眠れない。
    「って、なにしてんだ」
    「あ!起きたー!」
    「そら、体中つつかれたら起きるだろ…」
    「お兄ちゃん、名前は?」
    「なにやってるの?」
    「手品師の人でしょ」
    「なにができるの?」
    半分寝てる脳に立て続けに質問を受け、エレンは処理しきれず、ただ
    腰を抜かしていた。
  • 8 おはようポテト id:DQU3LSP1

    2011-12-10(土) 22:52:42 [削除依頼]
    そこへ、おそらく子供達の母親であろう恰幅の良い女性が、
    ぜぇぜぇと息を切らしながら走ってきた。
    「ほら、もう帰る時間よ。暗くなる前に帰らなきゃ。あら、
    どちらさま?」
    この人手品師の人だよ!今日僕らの村に泊まるんだって」
    ちょ、俺そんなこと言ったか……?
    「あら、そーなの!すみませんねぇ、うちの子達が迷惑を
    掛けたみたいで。この子達ったら好奇心旺盛で珍しい物を見
    ると、なんでも興味を示しちゃうんですよ。あっ、珍しいな
    んて失礼な事を、ほんとすいません。ところでお名前は?」
    「……エレンです。」
    「エレンさんね。村に泊まるなら急いだほうがいいわ。それ
    に手品も見せてもらわないとね。さぁ、みんな帰るわよ!」
    女性はマシンガン口調で一方的に話し終え、子供を連れて歩き
    だした。いろいろと誤解されてるようだが、一応泊めてくれ
    るみたいだ。それにしても、あの一家の口の早さは遺伝なの
    かな?
    そんなことを考えながら、饒舌親子についていくエレンの
    頭上に、早くも一番星が輝いていた。
  • 9 おはようポテト id:GZIGq43/

    2011-12-26(月) 16:45:38 [削除依頼]
    村に入ってまず一番に思ったことは、あの親子だけじゃなかった
    んだ、ということだ。
    村にはいる前に薄々気づいてはいたが、この村の人達はみんな
    おしゃべりだった。
    村の門をくぐった瞬間から、エレンは[!]と[?]の連続だった。
    「旅のもんか?ゆっくり休んでいけよ!」
    ……! なんてやさしいん……
    「お母さん!この人見たことある!」
    ……? それっていつの話で……
    「あんちゃん!この俺を驚かせられなかったら、俺の娘はやらんぞ!」
    …………!? 別にほしいなんていって……
    とにかく賑やかな村なようだ。規模も大きく、エレンの村の
    二倍ほどある。
    ほかの村との交流が多いから、村人がおしゃべりだったり、
    定期的に手品師がやってきたりするらしい。
    穏やかなエレンの村とは、対局にあるような忙しい村なようだ。
  • 10 おはようポテト id:Xa6OLEJ/

    2012-01-13(金) 23:03:33 [削除依頼]
    「はい、はい!静かに!この人はエレンさん!」
     村の人たちの視線が一斉にエレンに注がれた。
    「ほら、自己紹介して」
     さっき会った母親に急かされ、自己紹介をする。
    「マ、マドス村のエレンです」
     …………。
    「大歓迎だ!仲良くやろーぜ!」
    「寝場所はもう決めたかい?おらの家に来な!」
    「だ〜めだぁ坊主!そいつの家は隙間っ風がひでぇーぞ!」
    「なに!おまんの家も同じ様なもんだぁ〜!」
    「なにをー!」
     そういって飛び出したのは、村に連れてきてくれたあの母親で、
    それを見た村人達が一斉に乱闘を始めた。
    組み合ったり、突き飛ばしたりのしかかったり。一種の遊びの
    様でみんな楽しそうにしていて、エレンは、いいなーと思った。
    片腕なしじゃこんなことできない。そう思った時、
    「坊主、勝負だ!」
    そういって男が掴みかかってきた。そして、エレンも乱闘の輪に
    引きずり込まれた。
    男にヘッドロックされながら、エレンは人生最大の幸せを感じて
    いた。自然と笑みがこぼれていた。
  • 11 おはようポテト id:hFVOSCc.

    2012-01-17(火) 23:47:10 [削除依頼]
    翌朝。
    いつの間にか誰かの家に運び込まれていたエレンは、あの母親に
    起こされた。
    「ほら、起きて。戦士団が通るよ」
    「戦士団……ってなんですか?」
    なんだか、頭が痛い……。
    「戦士団を知らないの!?あなた、相当の田舎者だね。うちの子
    達だって知ってるのに。どうやら、あなたのむらには戦士団は行
    かないみたいね」
    昨日ヘッドロックされたからかなぁ……。
    「……なんだ。エレン話し聞いてるの?」
    「はい?あ、もう一度お願いします」
    「戦士団は、私たちの土地をムー帝国から守ってくれてるのよ」
    戦士団……ムー帝国……知らない単語ばかりでちんぷんかんぷんだ。
    そのとき遠くのほうで歓声が上がった。
  • 12 おはようポテト id:yVOHjvN/

    2012-02-29(水) 18:15:38 [削除依頼]
    「戦士団が来たぞー!」村の男が大声で叫びながら村中を走り回
    ってる。村中の人間が、中央の広場に向かっているようだ。
    「俺も行くんですか?」
    エレンはこの村の者ではない。行っていいものなのか。
    「行くのよ。当たり前でしょ!……そっか、あなたの村は戦士団
    が来たことなかったんだっけ。この村では、戦士団を歓迎してから
    宴をしているのよ。イメージは、昨日みたいな感じなの。わかった?」
    「はい。わかりました。」
    また、ヘッドロックされるのは嫌だけど、それはそれでおもしろい。
    「じゃ、いくわよ」
    珍しく簡潔にいった後、おばさんは子供達に叫んだ。
    「ほら、早くしなさい!置いてくわよ!」
    どうやら、さっき短く言葉をきったのは、怒鳴るために充電して
    いたようだ。
    子供達が道に整列すると、おばさんがまたさけんだ。
    「広場まで競争!びりは晩飯抜き!」
    子供達は一斉に駆けだしていった。
    「エレン!あなたもよ!」
    「えぇ!?」
    俺も……!?しかし、もう子供達はかなり遠くへいってしまって
    いる。おばさんも走り出した。中年の小太りおばさんには負け
    られない!エレンは慌てて走り出した。
  • 13 おはようポテト id:zpwGgDv/

    2012-03-01(木) 18:35:51 [削除依頼]
    広場に着くと、丁度戦士団が来るところだった。
    まず最初に目に入ったのは、戦士団の者達が腰に提げている
    青と緑が混ざったような色の、平たい棒。次にムキムキの
    肉体。最後は一番後ろを歩いている、ヨボヨボの爺さんと背の
    高い青年だった。


    村人達は戦士団を歓迎し、宴が始まった。
    しかし、エレンは宴よりも戦士団と一緒に来た爺さんと青年
    が気になっていた。
    「あの人たちも戦士団なんですか?」
    広場の端でつったっている、爺さんと青年を指さしておばさん
    に聞いてみる。
    「そうねぇ、お爺さんの方はいつも一緒だけど、あの子は見た
    事無いわねぇ。でも、あのお爺さん、いつもおもしろい話を
    してくれるのよ。楽しみだわ。噂では、ベテランの手品師
    みたいよ。そういえば、あなた、手品師だったっけ?」
    「手品師ってなんですか?」
    「あなた、手品師を知らないの?手品師は……、あら?いない」
    また、話が長くなりそうだったから、エレンは乱闘に入ってくる
    ことにした。どうせ、ヘッドロックされるだけだけど。
    "その体でやるつもりか?"
    突如、声が聞こえた。
    周りを見渡しても誰もいない。すぐ近くで聞こえたのに。
    直感的に、爺さんと青年がいる方を見た
  • 14 おはようポテト id:zpwGgDv/

    2012-03-01(木) 19:02:22 [削除依頼]
    青年と目があった。
    "いい勘してるな"
    またさっきの声がする。爺さんが手招きした。
    エレンが側に行くと、二人は自己紹介をしてきた。
  • 15 おはようポテト id:zpwGgDv/

    2012-03-01(木) 22:06:03 [削除依頼]
    「初めまして。わしは、オズだ。よろしくな。」
    「俺はヘイルだ。よろしく」
    ヘイルの声は、紛れもなくさっきの声だった。

    ついてこいと言われ、広場の端からさらに奥まった所へ移動した。
    「単刀直入に言う。人とは違う力を持っているか?」
    「は……?」
    一時的に忘れかけていた話だ。何の事か理解して戦慄した。
    なんでそれを知っている……?
    「そう構えんでも良い。わしらとて同じじゃ。お前一人じゃ無い
    のじゃぞ。ほれ!」
    オズは右手をエレンの前に出した。
    「指が……、無い?」
    オズの右手は指が無かった。それに、今更ながら気ずいたが、
    ヘイルは……、左目が無かった。
    「でもこれが力となんの関係が……!」
    「おおありだ」
    「わしの考えでは、この力は与えられる代わりに代償も払わ
    なくてはならないようじゃ。その代償がわしの場合は指。ヘイル
    の場合は左目。お前さんの場合は……」
    「腕……」
    そういう事だったのか。それならこんな力いらない……。力
    なんて今まで良い事なんて一つもなかった……。
コメントを投稿する
名前必須

投稿内容必須

残り文字

投稿前の確認事項
  • 掲示板ガイドを守っていますか?
  • 個人特定できるような内容ではありませんか?
  • 他人を不快にさせる内容ではありませんか?
最近作られた掲示板
ビリヤード部 編み物 不登校 カルトナージュ アイスホッケー部 ウォーキング・散歩 八極拳部 ラジコン 太極拳部 ビーチバレー部

閲覧履歴

  • 最近見たスレッドはありません

キャスフィへのご意見・ご感想

貴重なご意見
ありがとうございました!

今後ともキャスフィを
よろしくお願い申し上げます。

※こちらから削除依頼は受け付けておりません。ご了承ください。もし依頼された場合、こちらからの削除対応はいたしかねます。
※また大変恐縮ではございますが、個々のご意見にお返事できないことを予めご了承ください。