滔々と、雨3コメント

1 瑞樹 id:iXLmpyy1

2011-11-19(土) 14:45:11 [削除依頼]


 夜明けを塗り潰す陽にわらって、過去を懐かしめるのなら、もう悲しむことはない。
 滔々と、雨
 雨が降っている。


 家守を頼んでいた彼女が、スイスに行くらしい。曰く、「ハイジのように美しい自然の中を駆け巡りたい」。良く分からないけど。用いるものは、フィーリングだよ。と彼女が言った。フィーリングをどう駆使すれば、ハイジのようにと言えるかが分からないんだと言い返す。

「一ヶ月後に出る予定だから」

「一ヶ月後」
ほお、と息を吐いて、沈黙が続いた。そういえば彼女はずいぶん突発的な人物だった。

「あのさ」

「なに?」

 ごおお、と強い風が吹いて電車が来る。僕は携帯電話を落とさないように気を付けながら大きな荷物を持ち上げる。


「今夜、家に帰るんだ」

「え?」
 ごめん、聞こえないと彼女が言った。構わず、朝の5時ごろ家につくから、と声を張って、返事を待たずに電話を切って夜行列車に乗り込んだ。
  • 2 瑞樹 id:iXLmpyy1

    2011-11-19(土) 20:03:24 [削除依頼]
     僕にとって自分の家は、居心地の悪い場所だった。幼い頃、父の浮気で母が失踪した。離婚しようにも出来ない父は、愛人である高野さんを家に連れてきた。高野さんは、母よりもずっときれいな人だった。しかし、彼女から人間味というものを感じることが僕には出来なかった。僕の母が感情的な人だったからであるとも思う。しかし高野さんは、全く感情を表に出さなかった。高野さんが本当に父のことが好きだったのかさえ分からなかった。
     しかし僕が高校を卒業してすぐ家を出て、そんな奇妙な三人暮らしは終わった。
     数年後、父は急性の心筋梗塞を起こしてあっけなく死ぬ。高野さんはいつの間に家を出ていて、母の行方は不明のままだった。からっぽになった家に僕は帰らなかった。
     そして五年前、高校からの友人である綾瀬が僕の家を貸してくれと言った。
     無償で家を貸すと言うと彼女は苦い顔をしたが、家の管理さえしっかりしてくれれば構わないんだと言うと彼女はしぶしぶ頷いた。
     僕はそれだけ彼女を信頼していて、彼女も生活する場所に困っていたらしい。


     夜行列車の微かな振動が、ゆるやかに頭をかき交ぜて吐き気が訪れる。それと同時に奇妙な気持ちになる。僕はこれからどこに行くのだろう。どこに、向かっているんだっけ。
     意識が曖昧になる。窓の外で景色が走る。しかし、目に映るものはだんだんぼやけてしまう。霞に誘われるように、僕は記憶の中の旅に出かける。
     迷路のような木々、靄がかった湖畔、笑い声、 時雨。群青、雨音、雨音、雷鳴、靴音。
     僕は走って逃げだした。急速に風景は褪せ、もうすぐ見えた彼女の顔はゆらりとニ回揺れてほどける。彼女の輪郭もあせて、消えてしまった。
     その時に感じる弱い目まいと、安堵、慣れ親しんだ絶望が、僕の心を支えていた。そして寝息をたてる列車の外を眺め、四度目の旅に出かける。
     絢瀬に会ったらまず、何と言おう。考えるほど、言葉はばらばらとかき混ぜられて、しだいに頭から離れていく。

     列車の外は明るかった。目に映るものすべてが朝で、ひどく突き刺さる。霧雨が風に吹かれ、鈴の鳴る音がする。
     胸を渦巻いている思いを、郷愁という言葉で表したくなくて、小石を蹴飛ばした。
     家に着くと、ドアの前で絢瀬が眠そうなまぶたをこすって、傘をさして立っている。
  • 3 瑞樹 id:EYib//c0

    2011-11-23(水) 20:32:53 [削除依頼]


    「なんで傘さしてないの」

    絢瀬は不機嫌そうに言った。

    「持ってないなら買えば良いのに」


    「なんで傘さしてないの」

    絢瀬は不機嫌そうに言った。

    「持ってないなら買えば良いのに」

    「雨と言っても、晴れているし、霧雨だから良いかなあと」

     どんくさい。風邪引いても知らないよ。とますます不機嫌そうに彼女が言うので、やっとこさ僕は思いだした。絢瀬は、朝が嫌いなのだ。

    「とにかく中入りなよ。と言っても、わたしの家じゃないから、なんて言えばいいんだろう」
     日向雨なので、太陽はしっかりと輝いている。落ちてくる水滴は、太陽と重なって光り、それなのに空はこんなに青いから、僕は泣きそうになった。「寒い?」と聞く綾瀬のすこし低めの声は落ち着く。泣き笑いのようにぎこちなく笑いかける僕をばかだと綾瀬が笑った
    「雨と言っても、晴れているし、霧雨だから良いかなあと」

     どんくさい。風邪引いても知らないよ。とますます不機嫌そうに彼女が言うので、やっとこさ僕は思いだした。絢瀬は、朝が嫌いなのだ。

    「とにかく中入りなよ。と言っても、わたしの家じゃないから、なんて言えばいいんだろう」
     日向雨なので、太陽はしっかりと輝いている。落ちてくる水滴は、太陽と重なって光り、それなのに空はこんなに青いから、僕は泣きそうになった。「寒い?」と聞く綾瀬のすこし低めの声は落ち着く。泣き笑いのようにぎこちなく笑いかける僕をばかだと綾瀬が笑った

    「なんで傘さしてないの」

    絢瀬は不機嫌そうに言った。

    「持ってないなら買えば良いのに」

    「雨と言っても、晴れているし、霧雨だから良いかなあと」

     どんくさい。風邪引いても知らないよ。とますます不機嫌そうに彼女が言うので、やっとこさ僕は思いだした。絢瀬は、朝が嫌いなのだ。

    「とにかく中入りなよ。と言っても、わたしの家じゃないから、なんて言えばいいんだろう」
     日向雨なので、太陽はしっかりと輝いている。落ちてくる水滴は、太陽と重なって光り、それなのに空はこんなに青いから、僕は泣きそうになった。「寒い?」と聞く綾瀬のすこし低めの声は落ち着く。泣き笑いのようにぎこちなく笑いかける僕をばかだと綾瀬が笑った
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