No rain, No rainbow.5コメント

1 Rui id:sXgUjGt1

2011-11-16(水) 22:08:25 [削除依頼]


大切に綴りたい物語。

――No rain,No rainbow.
(雨なくして、虹はない.)
(不幸を知らずに、幸せは知れなかった)
  • 2 Rui id:sXgUjGt1

    2011-11-16(水) 22:31:16 [削除依頼]

    >>Character


    Schwarz・Black -シュヴァルツ・ブラック


    Luna・Dermond -ルーナ・デァモンド
  • 3 Rui id:sXgUjGt1

    2011-11-16(水) 22:41:00 [削除依頼]

    >>Prologue

    あたたかい雪も、やさしい森も、きれいな水も知らない。

    ただ体温ばかりを奪っていく堅い床の上に座っていた。

    どうせ逃げやしないのに手足に絡まる鎖が重かった。

    無駄だとわかって上を見上げれば蜘蛛が仲良く這ってた。

    誰か強い人がきまぐれに助けに来てくれないかななんて、

    何度思い描いても助けられた夢さえ見たことがなかった。


    もういちにち。

    もういちにちだけ。

    待っていてみようかな。


    なんて繰り返していたらいつしか月は1000回も昇った。

    でも、もういちにちだけ……。


    馬鹿のひとつ覚えみたいな私を笑ってくれてもいいよ。


    信じたことは叶うって、いつか誰かが教えてくれました。
  • 4 Rui id:sXgUjGt1

    2011-11-16(水) 22:56:31 [削除依頼]

    読める本もなく、相手がいるチェスもない。
    視界を遮る煤けた壁に、想いでの映像を映します。
    上映時間8年の、売れ残った映画のはじまり。

    >>Episode,1


    とある小さな街に、幾度目かの雪が舞い降りた。
    黒い革靴は白い足跡を残し、グレーの空に水色が映えた。
    あ、と小さな口が開いて、大きな目が上向きに見開く。
    水色の風船はふわりと音さえ立てそうな程柔らかく、
    淀んだ空へと昇っていきやがて見えなくなった。
    きらきらとした幼い瞳にはしだいに涙が溢れていく。
    去年ぶりの手袋をはめた手は、糸を掴むには不器用すぎていた。
    「こんなことで泣いちゃダメだ。強い男になるんだ」
    大きなひとりごとを口にするのは幼い子にはよくある。
    風船を失くした感情を抑え込んだ声は絞りだすようで、頼りなかった。
    少年が泣いたのは、自分の風船を失くしたからではない。
    あれは、小さな歩幅であと10分後に辿りつく"ともだち"へのプレゼントだったから。
    代わりになるものを、と気を取り直して少年は屈んだ。
    足元の積もりたての綺麗な雪をかき集め、ぎゅ、と固めた。
    大きさがやや異なる二つの雪玉ができると、大きな雪玉に小さな雪玉を重ねた。
    「雪だるまでーきたっ」
    林檎のように真っ赤に染まる頬が嬉しげに上がった。
    黒い革靴は再び白い足跡を続かせていく。
    この時はまだ、無邪気な少年は雪だるまがいずれ溶けてなくなってしまうことなど知らなかった。
  • 5 Rui id:j82U3a1/

    2011-11-17(木) 22:26:34 [削除依頼]

    ちょうど8歳の子供ひとりが通り抜けられる穴が、壁の下に開いていた。
    少年の背丈の4倍はあるであろうその塀を、彼はちらりと見上げた。
    幼いながら己の無力感に、言いようのない感情が込み上る。
    元旦には神社の神様に、七夕には織姫と彦星に、クリスマスはサンタクロースに、いつも彼は同じことを願い続けている。
    ――僕に、この壁を壊す力があったらな。
    そうすれば、この壁の向こうの"ともだち"と雪合戦ができるのに。
    壁をくぐるときに雪だるまを壊さないように注意した。頭に降りかかった雪が冷たかった。
    くぐりぬけてすぐ5メートルの所に、"ともだち"は居る。
    少年の鼻ほどまでの高さのコンクリートの、また壁。
    その上に張り巡らされた棘のついた金網はずっと空まで伸びていた。
    棘に触れないように壁に手をかけ、つま先立ちで小さな声で言う。
    「クロ?」
    これは少年と"ともだち"の合言葉だった。
    「ツキ!」
    すぐに明るい返事が返ってきて、少年の顔に笑みが浮かんだ。
    棘の網の向こうに寄って、同じようにつま先立ちをする少女。
    少年と目が合うと柔らかく笑った。彼女が"ともだち"だった。
    少年に丈に真っ赤な頬と鼻は寒さの中の薄着のせい。
    ほとんど外変わらないような空間の中、彼女は閉じ込められているのだ。
    まだ幼い少年にとっては、なぜ彼女がそんな目に合ってるのか首を傾げるしかない。
    無意識に少女はぶるぶると体を震わせていた。
    そんな"ともだち"の姿に申し訳なさを感じた少年は上手く笑い返すことができなかった。
    「あのね……今日は雪だるま持ってきたの。ほんとは風船があったんだ」
    「風船?」
    「うん。水色の。でも僕がちゃんと掴んでなくて無くなっちゃった……」
    しゅんとしょげる少年に、少女は慌てて声をかけた。
    「雪だるまでも嬉しいよ」
    「本当に?良かった!」
    そう言って塀の上に、少年はゆっくりと不格好な雪だるまをのせた。
    「小さくて可愛いね」
    「うん」
    「新しいお友達だね。ヴァルツが帰ってもあんまり寂しくなくなるよ」
    分厚い壁を挟んで、ふたりは他愛もない会話に笑い合った。
    こんな事がもう今年の夏ごろから続いていた。
    何処にもいけない少女のもとに、少年は励ますように通い続けていた。

    少女は人身売買の"商品"だった。
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