健忘彼女と憂鬱彼氏40コメント

1 林檎姫 id:hjYeT180

2011-11-14(月) 23:22:37 [削除依頼]
どうも。こんにちは。
俺の彼女が記憶喪失になりました。
  • 21 林檎姫 id:2U1t2Gu/

    2011-11-20(日) 16:16:53 [削除依頼]

    「あの時に事故のこと言ったやつ、何でも月岡らしいぜ」

    「は?なんで月岡が・・・」

    「さあな。でも見たやつがいんだよ。月岡が言っていたのを見たヤツが、さ」

    「また噂なんじゃねぇの?」

    そう言うと、保茂は急に真剣な顔つきになり、頭を横に振った。

    「嘘と、噂は違うんだよ」

  • 22 林檎姫 id:2U1t2Gu/

    2011-11-20(日) 16:17:58 [削除依頼]

    「おい、どういう意・・・」

     キーン コーン カーン コーン

    俺の言葉を遮るかのようにチャイムの乾いた音が響いた。

    「ん、じゃまたな」

    「おい、ちょっと・・・」

    俺が止める前にもう保茂はいなくなっていた。
    重そうな鉄の扉が、錆びた金属がこすれるような嫌な音をたてゆっくりと閉まっていく。
  • 23 林檎姫 id:2U1t2Gu/

    2011-11-20(日) 16:18:09 [削除依頼]

    「なんなんだよ・・・」

    「噂と嘘、ねぇ・・・」

    「ぬわぁあああ!?」

    突如、隣から声がして振り向いてみると、そこには黒いショートヘアーの少女がいた。

    「い、いつからそこにいたんだよ鈴!」

    「いつから、って初めからいたよ、祐樹君が気付いてないだけで。」

    気付いていない?

    「ま、保茂君は私のこと気付いていたみたいだけど、ね。さ、教室いこ5時限目はじまっちゃうよ」

    「次の授業なんだっけ?」なんて独り言を呟きながら鈴は扉へと向かった。

    キーン コーン カーン コーン 
     
    5時限目開始のチャイムが響く頃には、息の荒くなった俺と鈴は教室に着いていた。
  • 24 林檎姫 id:2U1t2Gu/

    2011-11-20(日) 16:35:17 [削除依頼]

    ++?++

    茜色に染まりだした空。
    短い間でも、季節を感じさせる瞬間。
    ほのかな茜色に染まるアスファルトに、映る独りの影は何処か寂しげに空を見つめていた。
    本来なら、その隣で笑うはずの、影の片割れはいなかった。
    その代わり、切なさを埋め尽くすかのように、黒いアスファルトを茜色が広がっていた。
    もうすぐ、孤独で塗り固めた夜がやってくる。
  • 25 林檎姫 id:2U1t2Gu/

    2011-11-20(日) 17:57:59 [削除依頼]

    ひとつしかない影を見たとき俺は違和感をいだいた。
    久しぶりのような気がする。
    もう何十年もみていなかった風景を久しぶりに見るような、でもその風景はつい昨日まで見ていたかのように鮮明に覚えている。なんともいえない感覚だ。

    「チッ。なんで俺が独りで・・・」

    口から漏れた本音を自分でも、女々しいな、なんて思った。
    鈴にも色々事情がある。
    鈴は物じゃないんだから、俺が独占できるわけない、なんてこと理解しているんだけど・・・、
    うぅ思い出すだけで腹が立ってくる。
  • 26 林檎姫 id:2U1t2Gu/

    2011-11-20(日) 17:59:13 [削除依頼]

    何で俺が独り寂しく家に帰宅しなきゃいけないのか、と考えてみれば犯人はそう、アイツだ。

    月岡・・・陸斗。鈴に話があるとか放課後言ってきて、しかも鈴は「了解」なんて言って言われた通りに教室に残っている。
    もっと人を疑うこと覚えようか鈴、って本気で思ったよ。うん、ガチで。
    俺も残るって言ったらまるで威嚇でもするかのように睨み付けてきて、そこまでやられたらこれ以上言う事なんてないし。

    つーことで、俺は独りで帰ることになった。
  • 27 林檎姫 id:2U1t2Gu/

    2011-11-20(日) 18:00:45 [削除依頼]



    「・・・どういうこと?」

    茜色に包まれた教室。
    少し開いた窓から入ってくる冷たい風は、やっぱり秋なんだな、としみじみと感じさせてくれる。
    教室の中を吹き抜けていく風も冷たいのだが、私とそして目の前の少年の間にはそれ以上の冷たい空気が流れていた。
    その空気がゆっくりと動く。
    私が放った「言葉」と言うなの空気の波が少年に届いたのは、
    きっと私の予想以上に遅く、そして震えていたに違いない。
  • 28 林檎姫 id:2U1t2Gu/

    2011-11-20(日) 18:06:26 [削除依頼]

    「今言った通りだよ。つまり、君の両親は木村祐樹によって死んだんだ」

    はっきりと言い切るようにそう言った。
    な、なにを言ってるの?
    お母さんとお父さんを・・・?祐樹君が・・・?
    否定しなきゃいけない。そんなことを反射的に思った。
    それでも、正直私は全てを否定することは出来なかった。
    記憶自体なくなっているし、それ以前に、確かに私の家には両親がいない。でもそれは仕事のせいであって・・・。
    否定し続ける脳とは裏腹に、私は少しずつ納得しているのが怖かった。
    考えれば考えるほどに、今までの不自然さが消えていく。感じていた違和感も、少年・・・月岡君の話と照らし合わせたら、すべて納得できる。
    でも・・・。
  • 29 林檎姫 id:2U1t2Gu/

    2011-11-20(日) 18:06:54 [削除依頼]

    「すぐに信じろなんて言わないよ。寧ろ信じなくたって構わない」

    そう言うと、静かに教室を去っていった。
    信じられないんじゃなくて、信じたくなかった。
    知らなければよかったと知っていたのに、知ってしまった。気付いてしまった。
    触れてしまえばもう、元には戻れない。
  • 30 林檎姫 id:hJMheuh/

    2011-11-23(水) 15:47:26 [削除依頼]

    ++?++

    疑うことすらできない現実。
    心の中に閉じ込めた感情。
    本当に信じたい思いも、信じようとするほどに、心が縺れていく。
    信じたくないのに、脳内を浸食してくる、恐怖。
    とうの昔に失った筈の苦しみが、また出発元へと戻ってきた。
    繰り返す記憶の淵に取り残された感情は、憎しみか哀しみか、それとも愛か。

    独りの少女の苦悩を乗せて、嘘吐きな世界は、何も知らないような顔をして廻り続ける。
  • 31 林檎姫 id:hJMheuh/

    2011-11-23(水) 16:27:10 [削除依頼]

    結局昨夜は一睡も出来なかった。考えすぎて頭がおかしくなりそう。
    月岡君の言っていることなんて、信じなければいい。そう思っているはずなのに、辻褄の合うその話に、未だに悩んでいる。だって、もしもその話が本当だとしたら・・・。

    「・・・って、鈴?」
    「へ?」

    いきなり名前を呼ばれて驚いて顔を上げると、祐樹君が不思議そうな表情を浮かべていた。

    「顔色悪いけど、大丈夫?」
    「あ、ごめん。ちょっとボーとしていて・・・」

    まともに顔を見れなくて、急いで目を逸らした。変に思われる、と思ったけど、別にいい。不審がられるだけなら、どうってことない。
  • 32 林檎姫 id:hJMheuh/

    2011-11-23(水) 17:18:08 [削除依頼]

    「ね、あのさ・・・」
    「ん?」
    「な・・・んでも・・ない」
    「ふーん。変なの」

    思い切って聞いてみようと思ったものの、いざとなって言えなくなるのは人間の悪いところだ。
    ちょっと顔を顰めた祐樹君だが、ふと、思い出したように口を開いた。

    「あ、鈴。そういえば昨日さ・・・」
  • 33 林檎姫 id:hJMheuh/

    2011-11-23(水) 17:18:53 [削除依頼]

    この何気ない空間さえも、捻じ曲げた記憶によって出来た幻だと言うのなら、私は一体何を信じればいいの?

    音が止まったオルゴールの、ネジを回すのは一体だれですか?
    それとも、このまま止まったままなの?

    ねぇ。


    「ねぇ。祐樹君。ひとつ、聞きたいことがあるの」

    「ん?なに?」

    「・・・ちゃんと答えてね」


    「3年前、事故にあったこと、ある?」
  • 34 林檎姫 id:hJMheuh/

    2011-11-23(水) 17:24:45 [削除依頼]



    「あるよ」


    いきなり何を言うのかと思えばそんなことか。
    鈴は驚きの表情から、確信へと、そして恐怖へと変わっていく。

    どうしてそんな顔をするの?
    別に驚くことなんてないだろ。

    ─でも、なんで思い出したんだろう?

    ああ、きっとあいつか。月岡陸斗のせいか・・・。


    「ねぇ。私のこと愛してる?」


    もちろんだとも。
    当たり前だろ?

    でもさ…。

    「愛していたよ。鈴が気付かなかったら、の話だけどね」
  • 35 林檎姫 id:hJMheuh/

    2011-11-23(水) 17:32:57 [削除依頼]

    突如吹いた強い風。赤に変わった信号機。
    歪んだ白い視界に、ゆっくりと通り過ぎたトラックが、

    紅色の花を咲かせて泣き叫ぶ。

    むせ返る鉄の匂いが懐かしい匂いに混じり飛び散った。

    消えていく視界の中で、突き飛ばした張本人と目が合った。

    「さよなら。姫を騙した、王子様。」

    張り付けたみたいな笑み浮かべて言った。
    相変わらずのしけたツラ。
    澱んだ黒い眼。男にしては長めの黒い髪が風に靡いた。
  • 36 林檎姫 id:4jYqZkO0

    2011-11-25(金) 23:35:21 [削除依頼]

    ++?++

    また繰り返す。
    同じことを、ひたすらに繰り返した。
    無理矢理消し去った都合の悪い現実に、また罪を重ねた。
    本当に欲しかったものも、いつのまにか、ただの欲望(ガラクタ)と化していた。
    意味もなく振り回したナイフで、傷つけた光から、零れた滴を敗北と人は呼んだ。

    これで一体何度目だろう。
    それを知っている者は、とうの昔に朽ち果てた。
  • 37 林檎姫 id:4jYqZkO0

    2011-11-25(金) 23:37:11 [削除依頼]

    病室の中で眠るのは、悪者であった王子様。
    姫の両親は、こいつと事故にあい、そして・・・死んだ。
    よく考えてみれば、僕に被せられていた噂のほとんどが、こいつのことじゃないか。
    呆れて溜息すら出てこない。

    ホント、死ねばよかったのに。

    害虫ほど、中々死んでくれないのだ。
    まったく、困ったものだ。

    「ねぇ。知ってる?このまえ重症な患者さんが運ばれてきたでしょ」
    「ああ、あの高校生のふたりね。それがどうしたの?」
    「なんでも、ふたり揃って記憶喪失ですって。」
    「へぇ・・・」

    病室の前の廊下で、20代前後ほどの若い看護師が話をしていた。
    僕が睨み付けると、驚いたような顔をして、すぐにその場を去っていく。

    まったく・・・。記憶喪失なんて、ひとりで十分だ。
    罪を償うのが僕だけになったじゃないか。

    右手に白い花束を、そして左手に彼岸花を持ち、僕は静かに病室へと入っていった。
  • 38 林檎姫 id:4jYqZkO0

    2011-11-25(金) 23:37:34 [削除依頼]


    「あ、」

    目が覚めた。視界に広がっていく光。辺りは白。全面白。嫌気がさすほどに白。
    ここまで白いと、つい先ほどまでの暗い世界が嘘のようだ。眩しいな…。

    「気がつきましたか。隣さん」
    「あ、はい。って『となりさん』?」

    薄いカーテン越しに凛とした声が届いた。口調や声から見て多分女子だろう。
    カーテンのせいで姿が見えないのがもどかしい。

    「はい。隣で寝てたので『隣さん』なかなかでしょう?」

    なにが?
    つか、誰?
  • 39 林檎姫 id:4jYqZkO0

    2011-11-25(金) 23:38:12 [削除依頼]

    「では、『彼岸花さん』はどうでしょう。…病人へのお見舞いに彼岸花というのはあまりよろしくないのですがね・・・」

    声の持ち主は俺のベットの横に置かれた花瓶のことを言っているようだ。確かに彼岸花が紅色の花を咲かせている。
    持ってきたのは一体だれだ?非常識なやつだな…。

    って、あれ?

    そこまで考えて俺は気がついた。

    ─記憶がない

    最低限のことは分かっているというのに、学校のこと、家族のこと、日常生活のことなどの記憶がない。まるで、ど忘れでもしたような気分。
    いやいやいやいや…、思い出せ俺。思い出すんだ!

    「記憶喪失だそうですよ。私も一緒です」
  • 40 林檎姫 id:4jYqZkO0

    2011-11-25(金) 23:38:44 [削除依頼]

    少女は平然とそう言った。冷静に、あくまで冷静・・・って、はい?

    え、記憶喪失って、ちょっとどういうこと?
    俺が驚いていることなど気にも留めず、カーテンに映っている影がゆっくりと動く。それと同時に声も聞こえてきた。

    「えっと、確かあなたの本名が『木村 祐樹』で、私は─」

    その時、影が近づくと同時に、白い手がカーテンを掴んだと思うと、バッとカーテンが開いた。目の前をショートカットの黒髪が揺れる。
    俺の目の前で、悪戯っぽく少女が笑っていた。

    「野原 鈴です。よろしくね」


    そしてまた、俺たちは
    すべてを忘れ同じことを繰り返した。
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