only idler pirate3コメント

1 ``理文” id:DH9EkQm.

2011-11-13(日) 10:38:09 [削除依頼]
序章

 静かな港町。波は穏やかで、防波堤もその役割を果たさずただ聳え立っているような港。
 その港に寄り添うように建設されている町は、静かな港とは正反対に、活気が満ちていた。
 その賑やかさの源は、今、この港に駐留している海賊、ファードラン海賊団の所為だろう。
 彼らは街の居酒屋で、酒や余興に明け暮れていて、町の静けさなど気にもしない。
 そもそも町が、海賊を認識した上で受け入れているという状況そのものが異常なのだが……。
 そんな町に滞在していた旅人が、何を思ってか、居酒屋に、海賊のたむろしている時間帯に訪れた。
 薄青色の髪と、暗い瞳が特徴的な青年で、魔道の研究職なのか、藍色のマントを羽織っている。
 さらに、彼の後を突いてくるように、二人の少女の姿もあった。
 一人は、長めの茶髪を二つの三つ編みにしてお下げにした少女、もう一人は漆黒の腰まで届く髪を一つにまとめている少女。二人とも、顔が一緒で、髪の色と括り方でないと見分けがつかないが、雰囲気が正反対だ。
 青年は魔道書を、三つ編みの少女は弓と矢筒を、ポニーテールの少女は刀をそれぞれ持っている。
 彼らはその居酒屋に海賊が知っているのか居ないのか、特におびえた様子もなく、居酒屋の中へと入っていった。
  • 2 ``理文” id:DH9EkQm.

    2011-11-13(日) 11:24:56 [削除依頼]
    一章

     波の穏やかな海。空よりも深い蒼い海は、どこか神聖さを思わせるほど透き通って見える。底が見えるわけでもなく、だが、それでいてガラス球を見ているような錯覚。
     そんな海の上に、一隻の船が浮かんでいた。
     頑丈な木で出来た大き目の船で、その帆にはトランプの、大きなスペードのエースの模様が描かれている。この辺りの海を騒がせている海賊団、ファードラン海賊団のものだ。
     その船の見張り台に、二人の人物が居た。
     一人は筋肉質で、髪を短く刈った22歳辺りの男、もう一人は肩まで届く髪を一つにまとめた18歳ぐらいの少年。
     筋肉質の男は帯剣しており、双眼鏡を片手に裸眼で海を眺めている。少年は、鞘に仕舞った刀を見張り台の手すりに立てかけ、自分も手すりに背をもたれて目を瞑っている。
     男も少年も、どこかしら警戒している雰囲気があった。だが、それでいて見張りなんてどうでも良いというような雰囲気もある。
     男が海から視線を外し、そもそもさ、と少年に声を掛けた。
    「見張り台、狭いんだから、二人も見張りをつけるなよって話だよな」
     そんな男のぼやきに、少年は気付いているのかいないのか、何の反応も示さない。
     男はそんな少年の様子に、一つ溜息を付くと、聞いてるのか、と少し強めの口調で聞いてきた。
     それに対し、やっと少年は閉じていた目を開く。
    「聞いてるよ……」
     どこか面倒くさそうに言うと、また目を閉じる。
     そんな少年の様子に、男はまた溜息を付く。
     何時もの光景、何時もの会話。少年はそれに対し、何の疑念も抱かない。男も、それを分かっていて、同じ会話を繰り替えす。
     男の名は、トルポ。勿論海賊団の一員で、元々船大工としてこの船に乗り込んでいた。が、時間があるときはいつもこの見張り台でほうけたように海を眺めていたので、昼の見張り番として役割を付けられた。
     そして、同じく見張り台の上にいる少年の名はネルファ。ファードラン海賊団の頭、ファードランの懐刀と呼ばれている少年で、いつも見張り台で眠っているため、常時見張り番に添えられるようになった。
     二人とも、自らの意思で見張り番になったわけではないので、それに対するやる気が全く感じられない。が、報告を怠れば頭であるファードランから何を言われるかわかったものではない。そのため、警戒をしたうえで、かつリラックスする技術を見につけ、二人とも見張り台にいるのであった。
     彼ら二人のほかにも、朝、夜を担当する二人の見張り番が居るのだが、彼らは船の中でゆっくりと休んでいるのだろう。
     しばらくの沈黙。
     ふと、トルポが口を開いた。
    「あ、そういえば。お前、聞いたか? 例の"客人"の話……」
     客人……。ネルファはその言葉を聞き、ふと、頭の中でずっと気になっていた話を思い出す。
     確か、どこかの流れ者の魔導師が、こともあろうかファードラン海賊団の頭と賭けをして大勝ちし、今、この船に同乗しているという話だ。
     ネルファが聞いた話では、魔導師は金がないが、海を渡りたかった様子で、最後の砦として、賭け事好きなファードラン海賊団の頭と賭けをしたということだった。
     かけられたのは、勿論同乗権だが、魔導師は、自らの命綱であろう魔道書を賭けたらしい。
    「うん、聞いたさ。ほんと、どうでも良い。向こうの島についたら降りるんだろ? なら、俺達に関係はない」
     ネルファは、言葉の通り、本当にどうでも良さそうだった。
     トルポの知っているネルファ、いつもこんな感じだ。何にも興味を示さず、ただただ怠惰にその日を過ごしているだけの少年。一つだけ、やっていることといえば、海賊団の四天王の一人、ミネルバを師匠においての訓練を怠ってないことぐらいだ。
     そんな風に船を守るために鍛えるなら、見張りも代わって欲しい、と、トルポはいつも思っている。が、それを彼に伝えたところで、彼が引き受けるとも思えない。やはり、彼は何にも興味を示さず、何もせずに過ごすのが好きらしい。
     そんな彼が、どうして鍛錬に身を投じるのか、と言えば、それについてはトルポも理解できていた。
     だからこそ、ネルファとは、同じ見張り番であるということ以上に、友人であるのだ。
    「あ、そ。興味ないなら良いよ」
     そう言って、トルポはそれ以降、口を開かなかった。
  • 3 夕焼け空 id:Q7pYLZb1

    2011-11-13(日) 17:16:03 [削除依頼]
    海賊ものですか!
    面白そうですね。
    描写が上手なので、綺麗な風景が思い浮かびました。
    更新待ってます。
コメントを投稿する
名前必須

投稿内容必須

残り文字

投稿前の確認事項
  • 掲示板ガイドを守っていますか?
  • 個人特定できるような内容ではありませんか?
  • 他人を不快にさせる内容ではありませんか?
最近作られた掲示板
管理栄養士 ダーツ 工芸 洋裁 ボウリング部 ゴルフ部 ウクレレ 部活あるある いじめの悩み相談 サバイバルゲーム

閲覧履歴

  • 最近見たスレッドはありません

キャスフィへのご意見・ご感想

貴重なご意見
ありがとうございました!

今後ともキャスフィを
よろしくお願い申し上げます。

※こちらから削除依頼は受け付けておりません。ご了承ください。もし依頼された場合、こちらからの削除対応はいたしかねます。
※また大変恐縮ではございますが、個々のご意見にお返事できないことを予めご了承ください。