焔鳳の戦人 9コメント

1 Ace-Arkwright id:fpiLlqC.

2011-11-13(日) 10:28:57 [削除依頼]

第一部 逆十字の徽章
 
 
 
 
 
  • 2 Ace-Arkwright id:fpiLlqC.

    2011-11-13(日) 10:30:52 [削除依頼]
    一度、さげます。
    更新したらあげます。
    頑張って等、声援のみのコメントはいりません。
    少し進んだ後に感想を書いていただければ嬉しいです。
  • 3 Ace-Arkwright id:MDH3QAA1

    2011-11-20(日) 18:34:26 [削除依頼]
    第1玉【ある高校生と祖母の遺した首飾り】

    「遥陽(はるひさ)くん、少し手伝ってくれないかしら」

     ある日本家屋の縁側に、ひとりの少年がいた。
     この家に住む家族のひとりだった。
     遥陽は春のうららかな日差しをいっぱいに浴びて、心地よい微睡みを満喫していた。
     桜も花開き始め、猫は欠伸をしていた。なんとも平和な風景である。
     夢と現を行き来する意識の中で耳を掠めた呼び声に、遥陽は顔をあげた。
     そして、気付く。この声は義母の美里のものだ。
     遥陽は姿見を見ながら素早く身なりを整え、祖母の部屋へと向かう。
     祖母は一週間程前に彼の世へと旅立っており、美里は遺品を整理しているのだ。
     遥陽が襖を開けると、美里はひとつの桐の箱と格闘しているところだった。
     どうやら箱の蓋が開かないようだ。

    「何ですか、美里さん」
    「ああ、遥陽くん。これを開けて貰えないかしら」

     差し出された箱を受け取り、遥陽は首を傾げる。

    「開けていいようなものなのですか」

     桐の箱に入っているなんて、きっと高価なものだろう。そして、大切なもの。
     考えも無しに開けていいものかと、いつもなら考えないような疑問が胸を横切った。
     
     
  • 4 Ace-Arkwright id:MDH3QAA1

    2011-11-20(日) 18:52:48 [削除依頼]
    「いいわよ。だってそれはきっと、遥陽くんのものだもの」

     しれっと言った美里に、遥陽は唖然とした。

    「それは、どういうことですか」
    「お義母さんがね、亡くなる前に言っていたのよ。物置の中に桐の箱があるから、私が死んだら遥陽に渡してくださいって」
    「そんな話は……」

     全く身に覚えのない話である。
     しかし、美里がそんな嘘をつく人ではないと分かっていたので、未消化ながらも遥陽は頷いた。
     美里と遥陽は血が繋がっていないが、それなりに長い時間を共に暮らしていた。
     十年に満たないがそれに程近い年月があれぱ、人を把握するには十分だろう。
     美里は真面目で優しく、悪いことを好まない。そういう人だと遥陽は捉えていた。

    「とりあえず開けてみたらどう?」
    「……そうですね」

     屈託のない笑みと共に放たれた言葉に、遥陽は蓋に触れた。
     少し力を入れれば、蓋はあっけなさを感じるくらいに簡単に外れた。
     女の人の握力とはそんなに弱いものだっただろうかと不思議に思いながら、中を見る。
     一番上にかぶせられていた薄く、柔らかい布をずらせば、そこにあったのは。

    「首飾り……?」

     そう。
     首飾り、だった。
     
     
  • 5 Ace-Arkwright id:MDH3QAA1

    2011-11-20(日) 20:43:06 [削除依頼]
    ***

     しゃら、と高い音をたてて銀色の鎖が手のひらから落ちていく。
     すべてが落ちきる前に、遥陽はそれを掴んで、宙にぶら下げた。
     輪になった鎖には、飾りは何も付いていない。
     ただの鎖だけのネックレスだ。

    「一体ねえ……これは何なのやら」

     ネックレスなど、付けていれば高校の校則にひっかかってしまう。
     それにチャラい男だと思われるのも嫌だった。
     遥陽は今、再び縁側にいた。鎖が日の光を反射し、目を細める。
     同封されていた祖母の手紙には、重要なことは何一つとして書かれていなかった。

    『遥陽へ。
     これをいつも、肌身離さずに持ち歩きなさい。
     きっと、いつかあなたを助けるでしょうから。
                      幸より』

     遺された言葉はたったそれだけ。
     遥陽はため息をついた。
     こんな鎖が、何から助けてくれるというのだろう。
     開運のお守りか。はたまた、魔除けか。
     もし予想が正解なら、そういった類を信じていない遙陽には、価値がない。
     しかしな、と遙陽は思う。
     祖母は遙陽の嗜好をよく理解していたように思うのだ。
     両親が共働きで、家の中で、誰よりも近くにいた人だった。
  • 6 Ace-Arkwright id:MDH3QAA1

    2011-11-20(日) 21:02:58 [削除依頼]
     派手さを好まず、素朴なものを好み。騒がしいの好まず、静けさを好み。
     おおよそ、現代の高校生らしからぬものを好んでいる自覚はあった。
     同年代の友とふざけあうのは、決して嫌ではない。むしろ好きな方だ。
     しかし、遙陽はそれよりもずっと、縁側で過ごすひとりの時間が好きだった。
     春には鳥が歌い、夏には蝉が鳴く。
     秋には楓が紅葉し、冬にははらはらと雪が舞う。
     窓を開け、風を感じながら。
     あるいは炬燵を引っ張ってきて、温まりながら。
     本を片手に、時にはただ何もせずに庭を見つめて。
     そういうとき、祖母が傍らに居ることもよくあることだった。
     交わす言葉は無かったが、苦痛ではなかった。
     むしろ、会話なしでも暖まる心が、心地よかった。

    「ばあちゃん……わかんないよ」

     遥陽は祖母によく懐いていた。
     しかし祖母が死んだとき、泣きはしなかった。
     高校生になったという理由もある。
     それもあるが、やはり遥陽が祖母の死期が近づいていることを、
    薄々ながらも感づいていたことが大きいだろう。
     そして祖母が眠るようにして、逝ったこと。大往生だ。
     最期に幸せそうに笑いながら逝ったのだ。
  • 7 Ace-Arkwright id:MDH3QAA1

    2011-11-20(日) 21:07:40 [削除依頼]
     
     ちなみに私の名前は
     エース・アークライト。
     箱舟に導くもの。
     以前は別名で活動していましたが、
     最近は忙しくてあまり来れないので、
     水面下で活動しています。


     
  • 8 Ace-Arkwright id:MDH3QAA1

    2011-11-20(日) 23:17:20 [削除依頼]
     遺された者が。私が死ぬときは笑っていてね、と言われた者が。そうして、言われて、覚悟をして。どうして泣いていられよう。
     祖母は天寿を全うしたのだ。不幸な終わり方ではなかった。さすがに、いくらお願いされたといえど、笑えはしなかったが。

     大切なひとを亡くしたという哀しみは大きい。もう会うことが出来ないと思うと、心に穴が空いたようだった。
     生きているかぎり別れは必ず訪れる。だからこそ、誰かと共に過ごす時間は尊いのだ。遥陽はそんなあたりまえのことを、改めて思い知っていた。

     それから、遥陽は日が沈むまで縁側で時間を潰していた。なんでもないようなことを考え、何も考えずに空を見上げたり。時折、夢の世界へ誘われたりもしながら、陽は傾いていった。
     空が紫に染まった頃、遥陽は突然現実に引き戻されたように顔をあげた。遥陽は体温で温くなった鎖を箱の中に戻そうとして、ふと違和感を感じた。桐の箱が、中の空洞に比べて底が厚いのだ。いわゆる、お菓子の箱などによく見られる“厚底”状態だ。よくよくみてみると、何やらひっかけて底が開けるようなくぼみもある。

    「何か入ってるのか……」

     遥陽は爪をひっかけて、底を引っ張った。
     
  • 9 Ace-Arkwright id:7PCEt0c.

    2011-11-23(水) 19:36:02 [削除依頼]
     意外とすんなり、それは開いた。

    「石……と……札?」

     そこにはやわらかな綿に包まれて、石の飾りと御札のような紙が入っていた。石はカボションカットの施された虎目石に、銀色の鉱物で、蔦のような装飾がされている。御札にはおおよそ漢字とは思えない、それとはかけ離れた、記号的且つ複雑な文字で何かが書かれていた。
     遥陽は虎目石を手に取り、銀色の装飾部分に小さな穴があるのを見つけた。そしてはっとしたように、鎖をそこに近づけた。やっと気づいたかと言わんばかりに、穴と鎖の大きさは丁度よすぎる程ぴったりだった。
     穴に鎖を通せば、鎖はネックレスからペンダントへと様変わりした。

     姉にあげれば喜びそうだ、と遥陽は思った。遥陽には姉がいた。それも年が近い、年子の姉弟だった。父と、実の母が離婚してからは一度だって会えはしていないが。姉の遥花は宝石など、自然物である綺麗なものを好んでいた。遥陽はそれによく付き合わされていたので、宝石に関する知識が豊富なのだ。

     懐かしい思い出に、遥陽は目を細めた。
     もう、遥花とは四年も会っていない。
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