蛇と苺.3コメント

1 yuki id:ncB.GuT0

2011-11-12(土) 15:27:06 [削除依頼]


蛇遣いの少年と、

壊れた記憶の少女と、

蛇に睨まれた蛙のお話し。


――蛇と苺.
  • 2 yuki id:ncB.GuT0

    2011-11-12(土) 15:45:59 [削除依頼]

    (主人は何考えてんのかな)
    (食べるに決まってるでしょ、馬鹿ね)
    (にしては扱いが丁寧じゃん)

    ひたひたと吸いつくような足取りで、洞窟の中を少年――ウラルは奥に進んだ。
    ウラルの血のように赤黒い瞳は暗闇の中でも確認できる。
    そして、暗闇にとける漆黒の髪と漆黒の鱗に覆われた左腕。
    その腕に抱きあげられた細く華奢な人影がひとつ。
    一定の間隔で洞窟の中に水滴が漏れだし、足元の水たまりには波紋が広がった。
    ウラルが立ち止まると、足元には数十匹の蛇が這い寄ってくる。
    シャーシャーと甘えるような声を出す子供の蛇から、少し遅れて力なく寄ってくる年老いた蛇。様々だ。
    ウラルはだいぶ前に拾った粗末な厚い毛布の上に少女を寝かせた。
    愛しんでいるわけでも、懐かしんでるわけでもなく、ウラルは一度だけ少女の頬を撫でた。

    (主人?)
    (食べるんじゃないの?)

    子供の蛇はウラルの行動を怪訝そうに見つめて尋ねる。
    他の蛇たちも困惑しているようだった。

    「食うなよ」

    低い声が洞窟に響いた。

    「蛙なら表で跳んでる。適当に食っておけ」

    その声は先ほどの低い声とは違い、いくらか穏やかだった。
    その声を合図に蛇たちは群れをなして洞窟の外へと這っていく。
    子供たちは昨夜の食事だった鹿の白骨に這いあがったり巻きついたりして遊び出す。

    雨水がかすかな音と共に水溜りに零れると同時に、
    ウラルはもう一度少女の頬を無表情に撫でた。
  • 3 yuki id:ncB.GuT0

    2011-11-12(土) 16:01:12 [削除依頼]

    それから2日が経過した。
    その間ウラルは一切飲み食いせずに少女に付き添っていた。
    蛇たちの間は時が経つにつれ困惑の色が濃くなっていく。

    少女はとうとう2日目も目を覚まさなかった。
    3日目の早朝、洞窟にも朝陽が差し込み、濡れた空間をキラキラと輝かせた。
    冷たく白い少女の指先がかすかに動く。
    ウラルはその様子に気づいていないのか、特に気にした様子もなかった。
    やがてふたつの目が戸惑いがちに開き藍色がのぞいた。
    まだ意識がはっきりしていないのか少女はしばらく目を開けたまま虚ろに動かずにいた。

    ウラルが少女の手を鱗のない右手で触れる。

    「エル……」
    少女の名前だろうか。
    少女の視線がウラルに向けられる。
    刹那、大きく見開く藍色の瞳。

    「ウ、ラル?」

    ウラルは黙って頷いた。
    少女は弾かれたように上半身を起こし、両腕をウラルの首に巻く。

    「ウラル……ウラル?」

    ウラルの肩に顔を埋め、力を強めていく細い腕。
    ウラルはやはり表情のない顔で、だけどその頬には細い涙が伝っていた。
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