きっとどこかのクリスマス26コメント

1 遙 id:vqz1ZQB/

2011-11-12(土) 14:26:55 [削除依頼]
届けよう。ささやかな幸せと、君だけのプレゼント ――  とある国の最北端に位置する街。年中粉雪が舞うその街の外れに、古くも趣のある教会があった。少女は少しばかり重たい扉を押し、教会独特の木の香りを堪能する。彼女はこの匂いが大好きだ。  少女は足を進め、中央に存在するキリスト像の前でゆっくりと跪き、指を組む。    ――どうか、お姉さんが幸せでいられますように。    そして。少女は二つ目の願いを小さく口にする。 「いつか私にも、心から大事に思えるような人が出来ますよう」「うわあああああ!?」    突然の悲鳴に、少女のささやかな願いは打ち消された。心臓が飛び出そうなほど驚き、目を丸くする彼女。  ドン、と何かが落ちる音が彼女の鼓膜を強引に震わせる。その衝撃に耐えられず目をきつく閉じた彼女が、次に目を開いたとき見たものは――……、 「お、おう! ……メリークリスマス」    金色の髪が美しい、一人の少年――サンタクロースだった。 >>2 ご挨拶
  • 7 遙 id:T1pp23F0

    2011-11-17(木) 18:29:50 [削除依頼]
     両親が早くに亡くなってしまったアリスは、幼い頃から姉のヴェロニカと二人暮らしである。九つほど離れたヴェロニカは常にアリスを気にかけ、まるで彼女にとって母親も同然な存在であった。そんな姉が結婚する――それはアリスにとって寂しくないといえば嘘になる。しかし、今まで散々苦労をかけてきたヴェロニカがやっと幸せになれると思うと、それ以上に素直に嬉しかったのであった。
     針葉樹が昨夜の雪で白く染まる森。彼女が目指す教会は、その森の中に、ひっそりと息を潜めていた。屋根の赤いペンキが禿げかけた、こぢんまりとした教会だった。
     アリスは手に提げている麻のかごから鍵を取り出す。太陽の光が銅の鍵に反射し、彼女は少しだけ目を細めた。鍵穴に差し入れると、錆びた音を出しながらもカチャン、と鍵は回った。そしてアリスは力いっぱいに扉を押す。少女一人で行う作業にしては力のいるものだった。年季の入った音が森中に響く中、彼女は何とか押し切り、教会の中へと足を踏み入れる。
  • 8 遥子 id:lnec8Sw/

    2011-11-17(木) 18:36:27 [削除依頼]
    きゃああああっ!!!!
    題名ロマンティックだなーと思ったら遙さんでした!!!
    いろんなジャンルがかけてうらやましい
    はじまりからわくわく*
    応援しています!
  • 9 遙 id:jHnmLob/

    2011-11-18(金) 18:02:54 [削除依頼]
    >>8 わあい遥子さんだ/// 訪問ありがとうございます! 久しぶり(?)の直球恋愛小説なので心配ですが← ご期待に添えるよう頑張ります。コメントありがとうございました!
  • 10 遙 id:jHnmLob/

    2011-11-18(金) 18:04:51 [削除依頼]
     ふう、と小さく息を漏らし、アリスは教会独特の匂いを堪能した。幼い頃から「秘密の場所」と称し一人で遊びに来ていた彼女は、この教会は第二の自宅であった。心が落ち着き、安らぐ。どんな辛い事があっても、ここに来れば些細な事だと思えてしまうほどだった。
     そんな彼女にとって大好きな場所で、大好きな姉が結婚式を挙げるとなると、アリスの気合の入りようは尋常ではなかった。かごに入れてきた様々なリボンを教会の至る所へ飾りつけ、少しでも華やかにしようと奔走する。彼女の満足がいく仕上がりとなったのは、太陽が傾きかけた頃だった。

    「おっと――お姉さんにしかられちゃうな」
  • 11 遙 id:mssk5Ow/

    2011-11-19(土) 11:44:16 [削除依頼]
     まるでお花畑のような教会を見回しながら、アリスはやっと時間が経っていたことに気が付いたのであった。奥に佇むマリア像を、夕日が明るく照らしている。彼女は持ってきたかごを手にし、出口、ではなく中央に堂々と存在感を放つキリスト像へ向かった。
     カタン、と誰もいない静かな教会に、かごを置く音が響く。アリスは像の前に跪き、指を丁寧に組んだ。心の中で、願いを念じながら。
     
     ――お姉さんが、ずっと幸せで、ずっと笑顔でいられますように。
     
     そして。今度は少女の唇が微かに動いた。

    「いつか、私にも。お姉さんみたいに、大事に思えるような人が現れますよう――」
     
     その時だった。

    「え、ちょっと、うわあああああ!?」
  • 12 遙 id:mssk5Ow/

    2011-11-19(土) 12:41:08 [削除依頼]
     ドテン! と古い教会の床を突き抜けてしまうほどの騒音が彼女の鼓膜に刺さった。見知らぬ悲鳴と大きな音にひゃっ、と身を縮めたアリス。けれど、恐る恐る周囲を見回しても、声の発信源は見当たらない。聞き間違いかもしれないな、そう知らぬ振りをしようと心に決め、出口に向け足を踏み出した。
    「え?」アリスは突然足を止めた。床とは全く違うふにゃっとしたものが、彼女の足の裏から伝わってきたからだ。
     私、何か嫌な夢でも見ているのかな。目を擦った彼女が目にしたのは――、

    「お……おう、メリークリスマス!」
     
     真っ赤な帽子に真っ赤な服。ところどころに白い毛皮がアクセントとしてつけられた――サンタクロースの恰好をし、腹にアリスの靴の足跡をつけた、青い目の少年が床に寝転がっていた。
     彼女は悲鳴を上げた。先ほどの彼のものだと思われるものの、数倍大きく。
  • 13 遙 id:qa4T4iy0

    2011-11-20(日) 09:37:10 [削除依頼]


    「いやあ、美味いな! さすがは晴れの日の食事だな」
     
     ちょっと何でアンタがここにいるのよ、とアリスは人目を憚らず眉間に皴を寄せた。
     太陽がぐるりと世界を回り、そしてこの街の真上に上った頃。華やかに飾り付けられた教会の中、質素な結婚式が行われていた。普段よりも少しだけオシャレをし、待ちに待った姉の結婚式ということで、アリスの気分は最高だと思われたのだが、

    「もうちょっと上品に食べられないわけ? ――せめてナイフは使いなさいよ」
     
     彼女の隣で食べ物を豪快に食べる少年のせいで、アリスの表情は最悪だった。少年は彼女の忠告に耳を貸さず、物を口に入れ噛み砕く事にばかり集中している。そんな彼の態度が気に食わない彼女は、ぎぎぎ、と小さく歯軋りをした。
     何故このような状況になったのか。時間は少しさかのぼる。
  • 14 青空模様 id:ZD6FlVf0

    2011-11-20(日) 13:27:18 [削除依頼]
    すごくロマンティックで素敵あお話ですね(*´∀`*)
    読んでて何だか心がホンワカします♪

    これからも頑張ってください!
  • 15 遙 id:EncG04i1

    2011-11-21(月) 17:03:16 [削除依頼]
    >>14 青ちゃんだ! 訪問ありがとうございます。 今回はほんわか系(?)を目指しているので、そう言って頂けて嬉しいです// ご期待に添えるよう全力で頑張ります。コメントどうもありがとうございました!
  • 16 ゆめ id:SnTG5cR/

    2011-11-21(月) 18:27:22 [削除依頼]
     どうもです!
     私、覚えてますか???
     なんだか、おもしろくなってきてますねぇ><
     更新たのしみぃぃぃぃぃ
  • 17 遙 id:umpvp5X/

    2011-11-22(火) 17:53:03 [削除依頼]
    >>16 はい、覚えてますよ! 大事な読者さまですから← 亀更新ですみません; 頑張ります(`・ω・´)
  • 18 遙 id:umpvp5X/

    2011-11-22(火) 18:36:22 [削除依頼]

     そんなに叫ばなくてもいいじゃねーか、と少年サンタは困った顔をして頭を掻いた。真っ赤な帽子から、綺麗な金髪がはみ出ている。アリスの心臓は未だに早鐘のごとく振動していた。

    「ち、ちょっと……何なのよ! てかアンタ誰よ! 何でここにいるのよ!?」
     
     息も絶え絶えに、アリスは必死に言葉を紡ぐ。マシンガンのようなスピードで質問された正面の少年は、少し答えに戸惑いながらも口にした。

    「俺は、ジョザン。サンタクロースだ」
    「はあ?」
     
     アリスは条件反射に聞き返し、顔をしかめる。「ふざけてないで。見かけない顔だから、ここの街の人じゃないだろうけど」
     だーかーら。つられて少年――ジョザンも大いに顔をしかめた。

    「俺はサンタクロース! この恰好見れば分かるだろバーカ」
    「初対面の人に向かって馬鹿とか! アンタの脳みそ腐ってるんじゃないの!?」
  • 19 遙 id:4r80oon0

    2011-11-24(木) 17:55:35 [削除依頼]
     それなりの暴言で返し、アリスははっと我に返る。窓から覗いていた夕日は沈み、外は既に暗くなってきていた。いい加減、そろそろ帰宅しないと姉が心配するのは目に見えている。少女はふう! と大げさなため息をついた。

    「私、晩御飯の支度しなきゃいけないから帰るわ。邪魔してくれてありがとね、偽者サンタクロースさん!」
     
     彼女は踵を返し、出口へさっそうと足を進めた。しかし、またもアリスの足は止まる。ぐーきゅるるる。数メートル先のアリスの耳にもしっかり届くような、空腹を訴える臓器の声。それはもちろんアリスのものではなく、背後で顔を赤らめてる少年のものだった。

    「……アンタ、お腹すいてるの?」
     
     へへ、とジョザンは口元を歪める。アリスはしばらく腕組みし――そして決断した。

    「いいわ! あまり物で良ければ、私の家で食べさせてあげる。その代わり、ちゃんと自己紹介してよね!」
     
     ジョザンは、まるで捨てられていた子犬が拾われた瞬間のように目を輝かせた。
  • 20 遙 id:jvNmdHx0

    2011-11-27(日) 21:16:56 [削除依頼]
     辺りは既に暗く、ちらちらと雪が舞っていた。二人がかりでドアを開け、外と中の気温の違いにアリスは体を震わせる。しかし、後ろの彼は表情を変えない。ジョザンの真っ赤な服を横目ちらりと伺う。もう少し厚着してくればなあ、とアリスは内心ため息をついた。
    「こっち」アリスは暗闇の中、必要最低限の言葉で道を説明した。口から白い息が洩れる。
     数分ほど経っただろうか。暗い森の中、温かい光が差し込んでいるところを二人は見つけた。あそこよ、とアリスは指差す。彼らの足は自然と早くなった。
     古い金属音のする扉を開けると、そこはまるでアリスにとって天国のような暖かさだった。寒さで冷え切った皮膚が溶け、癒される。

    「お姉さん、ただいま。遅くなってごめんなさい」
     
     上着を脱ぎながら、彼女は部屋の中心にあるソファーで寛ぐ女性――姉であるヴェロニカに軽く頭を下げた。「ああ、おかえり」アリスとそっくりな、しかし短めの亜麻色の髪を揺らし、彼女はすっと立ち上がる。「どうして遅くなったんだい?」
  • 21 遙 id:Otpk/2e.

    2011-11-28(月) 17:44:23 [削除依頼]
     アリスは少し気まずそうに俯いた。えっと、その。上手く言葉が出てこない。そんな彼女に助け舟を出したのは、意外にも背後に佇む赤い衣の少年だった。

    「どうも。お邪魔します」
     
     軽く頭を下げ、まるで積年の友人のように挨拶をするジョザン。そんな彼の動作にアリスは驚き、ちょっと何してんのよ、と小声で諭す。しかし彼は動じない。

    「えっと……そちらの子は、アリスの友達かな」
     
     常にマイペースで落ち着いているヴェロニカも、今回ばかりはペースが乱れたようだった。顔色は変わらないものの、口調がどことなくたどたどしい。アリスは何度か口をぱくぱくと動かしていたが、とうとう諦めたように肩を落とした。

    「この子は友達じゃないの、姉さん」
     
     じゃあ誰だい、ヴェロニカはまたソファーに腰を下ろした。

    「教会で偶然会ったんだけど」「俺はサンタだ!」
  • 22 遙 id:Otpk/2e.

    2011-11-28(月) 17:59:53 [削除依頼]
     背後で突然大声を出され、彼女は驚きビクンと体を震わせた。しかし自分の必死のフォローを蹴っ飛ばした彼を放っておけるほど、アリスは気が長くは無い。ピキ、と何かの感情が割れるような音がした。

    「あんた、ご飯あげたら身元教えるって言ったでしょうが! 誰にも『サンタです』なんて言ってタダ飯食えるほど、この世の中甘くない――」
    「おお、サンタさんだったのか」
     
     アリスが一人激昂する中、ヴェロニカは全て辻褄が合いましたという表情でぽんと手を打った。「それなら歓迎せねばならないね。夕飯は悪いが残りしかないけれど、心ゆくまで我が家で休んでいってくれ」
  • 23 紅音 id:CceRRaK.

    2011-11-30(水) 20:10:56 [削除依頼]
    気づけばかなり進んでました・・・
    どうもお久しぶりになります 紅音です!
    進んできましたね!! そしてクリスマスまであと一ヶ月弱
    これからジョザンとアリスがどのような話を紡いでいくのか楽しみです

    頑張って下さい!!
  • 24 遙 id:vaKkH05.

    2011-12-01(木) 13:36:50 [削除依頼]
    >>23 こちらこそお久しぶりです! そうなんですよもう一ヶ月も無くてorz← ご期待に添えるように頑張ります、コメントどうもありがとうございました!
  • 25 遙 id:vaKkH05.

    2011-12-01(木) 14:42:52 [削除依頼]
     ちょっとお姉さんまで! アリスは更に慌てふためいている間、ジョザンは部屋に上がり夕飯の残りを勝手に拝借していた。

    「いやあ、お姉さんは話が分かるなあ。いただきまーすっ」
     
     ちらりとアリスの方を伺い、堂々と嫌味を口にしたジョザンは、姉と談笑しながらもの凄い勢いで夕飯のシチューとパンを平らげる。どうして私がこんな思いしなくちゃいけないのよ、と煮えくり返るような怒りを心の中に抱えながらも、怒りより空腹が勝る結果となった。

    「わ、私の分も残しなさいよー!」
  • 26 遙 id:vaKkH05.

    2011-12-01(木) 15:02:53 [削除依頼]

     アリス、と背後から声がかかり、少女は振り向く。そこには普段の数倍美しい、自身の姉が立っていた。「サンタさんとは仲良くやっているかい」

    「やってる訳ないでしょ! もう。せっかくの結婚式だっていうのに、マナーも全然なってないし……」
     
     この位が丁度いいんじゃないかなあ、とヴェロニカは笑みを零す。いつもは面倒だからと化粧をしない彼女だったが、今日はほんの少しだけ化粧をしているようだった。薄いピンクの口紅が、太陽に反射してキラリと光る。
     昨夜やってきたジョザンとヴェロニカはその後意気投合し、何と翌日の結婚式にまで招待したのであった。アリスは夜中まで反対したのだが、結局「だってこれは私の結婚式だろう」と姉に纏められてしまったのである。
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