自称自動機械少女と、礼拝堂23コメント

1 美雨 id:9Jqllm81

2011-11-12(土) 12:14:59 [削除依頼]
『下校時刻となりました。校内に残っている生徒は速やかに下校して下さい』

下校時間の放送が鳴ると、部活動等で残っていた生徒達は急いで正門や裏門から帰って行く。

「……くす」

ただ、一部の生徒以外は――。
  • 4 美雨 id:9Jqllm81

    2011-11-12(土) 12:46:26 [削除依頼]
    午前8時過ぎ。
    1年F組教室。

    「おはよう、神崎君」

    このクラスの学級委員である真白夜空は微笑む。
    彼女は定期テスト学年3位を守っており、その上部活動のテニス部でも、大会で優勝している文武両道の優等生だった。

    「ああ、おはよう……」

    それとは対照的にただの帰宅部の神崎三咲は面倒臭そうに欠伸をしながら挨拶を返す。

    「知ってるかしら?また吸血鬼事件が起きたそうよ」

    「へえ」

    「12人目の被害者はA組の日向さん、だったかしら。まあ、その人だそうよ」

    「だから?」

    「だからって?」

    全く理解出来ていない夜空は首を傾げる。

    「だから、それを俺に言う事で何かあるのか、と」

    「あるわよ。あなた、吸血鬼事件の犯人でしょう?」

    「は?」

    「神崎君でしか有り得ないわね。絶対にそうよ」

    「証拠は?」

    「神崎三咲にはルームメイトがいない為、犯行時、何をしていたか証明する人間がいない、アリバイがないから、ですか?」

    気付かない内に夜空の背後には長い黒髪の無表情の女子生徒が立っていた。
  • 5 美雨 id:9Jqllm81

    2011-11-12(土) 12:55:05 [削除依頼]
    彼女は何の感情も篭っていない虚無の目を夜空と神崎に向けていた。
    相変わらずの無表情に夜空は少し引く。

    「か、茅島さん、いきなり現れるからびっくりしたわよ」

    「そうですか。それはわたしの影が薄いと言う意味で言っているのでしょうか。別に如何だって良いのですが」

    機械音声の様な口調で茅島藍名は淡々と話す。
    唖然としている夜空と神崎を無視して、神崎の隣の空いた席に彼女は座る。

    「おはようございます。神崎三咲」

    「あ、ああ。何かよく分からねぇけど、おはよう。それと、そのフルネーム呼び、止めてくれ」

    「分かりました。神崎三咲様、でよろしいでしょうか?」

    「変わってねぇし」

    神崎は呆れた様に溜め息を吐く。
    藍名と同じクラスになって1ヶ月。
    クラスメイト達は全く藍名に馴染めなかった。
  • 6 美雨 id:9Jqllm81

    2011-11-12(土) 13:03:38 [削除依頼]
    茅島藍名が1年F組に馴染めなかった理由は自己紹介であの様な事を言ってしまったからだと言える。
    入学式の次の日のホームルームの授業。
    担任の教師は1年間仲良く楽しく過ごす為に自己紹介をしようと言い出した。
    ブーイングが起きたが、教師に逆らえる事もなく、そのまま生徒達は出席番号順で挨拶して行った。
    普通の生徒の自己紹介と言えば、

    「真白夜空です。東中出身で、テニス部に入っていました。よろしくお願いします」

    こんな感じのはずだった。
    だが、問題の藍名の自己紹介は、

    「茅島藍名です。中学では帰宅部でした」

    そこまでは良かったのだ。
    ただし、

    「わたしは自動機械人形です。1年間、よろしくお願いします」

    その要らない一言で、教室はざわついた。
    言った通り、確かに無表情に棒読みに近い口調の為、人形に見えなくもなかった。
    しかし、明らかにウケ狙いではない、真面目な挨拶にクラスメイト達は戸惑った。
    他のクラスメイト達と同じく呆然としていた神崎はその時思った。
    第一印象は大事だと。
  • 7 美雨 id:9Jqllm81

    2011-11-12(土) 13:17:11 [削除依頼]
    この高校では度々吸血鬼事件と呼ばれる事件が多発していた。
    犯行は深夜に行なわれ、狙われる生徒は主に、日向杏子の様に夜中出掛けている人間が多い。
    襲われた生徒の特徴は貧血と、首筋の咬痕。
    大変吸血鬼に似ていると言う事で、何処からか吸血鬼事件だと呼ばれる様になった。
    流石に死.人は未だ出ていない為、それほど騒ぎにはなっていない。

    「ほら、神崎君、茅島さん、お弁当食べるわよ」

    昼休み。
    夜空は神崎の前の空いた席の椅子を彼の席の方に向けて座る。

    「真白夜空、あなたの席は一番前の隅っこなのですが、如何してこの一番後ろの隅っこの此処に来るのですか?」

    「良いじゃない。誰かとお弁当を食べようと思うでしょう?」

    「よく理解し難いです。何せ、わたしは自動機械人形ですから」

    胸を張って、茅島は言った。

    「はいはい、そうですね」

    神崎と夜空はスルーする。
  • 8 美雨 id:9Jqllm81

    2011-11-12(土) 13:21:29 [削除依頼]


    挨拶

    結構、書き直したり、挫折を繰り返している美雨です。
    あまり最後まで書き切れる自信はありませんが、頑張りますのでよろしくお願いします。
  • 9 美雨 id:9Jqllm81

    2011-11-12(土) 13:24:13 [削除依頼]
    登場人物

    神崎三咲

    茅島藍名

    真白夜空

    日向杏子

    一応、episode1ではこの4人が中心です。
  • 10 美雨 id:9Jqllm81

    2011-11-12(土) 13:31:54 [削除依頼]
    ふと、夜空は気付いた。
    さっきまでメロンパンを食べていたはずの藍名がクリームパンに切り換えている事に。
    そして、逆にクリームパンを食べていたはずの神崎がメロンパンを食べていた。
    確実に交換をしている。

    「ちょ、ちょっと、あなた達、まさか食べかけの物を交換したの?」

    「はい。そうです。味に飽きたので」

    「何かダメだったのか?」

    返って来た返事は意外な物だった。
    夜空にとって、人の食べかけ、飲みかけを自分が食べる飲む事は有り得ない事だった。

    「う、あ、嫌、何でもないわ」

    何とか平常心を保とうと努力しつつ、夜空は食べ終えた弁当箱を片付ける。
    ……コイツ等、本当にクラスメイトだけの関係何だろうか。
    如何しても、友達――それ以上の関係だとしか考えられない。
    ヤバい。
    気になって来た。
    凄い聞きたい。

    「あ、あなた達って、友達なの?」

    思い切って、夜空はそう聞いていた。
  • 11 美雨 id:9Jqllm81

    2011-11-12(土) 13:47:21 [削除依頼]
    「クラスメイトだな」

    「クラスメイトです」

    声を揃えて2人は返答する。
    それに夜空は何処か安心していた。

    ガタッ

    藍名は椅子から立ち上がる。
    若干、よろけたが、何とか立て直す。

    「茅島さん、大丈夫?」

    「はい。多少の立ち眩みです。では」

    軽く一礼して、藍名は教室から出て行った。
    行き先は聞かなくても分かる。
    出て行く彼女の右手には本があった。
    恐らく、図書室だろう。
    夜空は出て行った藍名から、神崎に視線を移す。

    「……何?人の顔、ジロジロ見て。新手の嫌がらせか?」

    彼女の視線に気付いた神崎は嫌そうな顔をした。

    「ち、違うわよ。暇になったから、あなたと話して時間を潰そうとしていただけよ」

    「お前、友達、いないわけ?普通、昼休みって、友達同士で仲良くキャーキャー言う物何じゃねぇのか?」

    「あ、あなただって、友達いないじゃない」

    「俺はいらねぇから、作らなかっただけだ。それに高校とか、行きたくなかったしな」

    神崎は大きく溜め息を吐く。

    「じゃあ、何で受験したのよ」

    「親が煩いから、仕方なく。本当はもっと良い高校に行けるとか、中学の教師に言われたけど、そんな良い高校行った所で何にもねぇし」

    「あなた、そんなに頭が良かったの?」

    この学校はテストの結果を張り出したりしない為、他の生徒の成績は分からない。

    「普通じゃねぇの」

    「中間ぐらい?」

    夜空の問いに神崎は答えなかった。
  • 12 美雨 id:VbQ/cEu1

    2011-11-14(月) 15:38:24 [削除依頼]
    「はあ」

    5時間目授業中。
    1年A組教室。
    物理の授業で、白衣を着た理科担当の教師が黒板を白いチョークで埋めていく。
    それを一番後ろの隅の席で、日向杏子はボーとその様を見て大きく溜め息を吐いた。
    別に人目を気にしない。
    誰も、杏子を見ている生徒はいないからだ。
    ……相変わらずだな、私。
    吸血鬼事件の12人目の被害者なのに、私に話し掛けて来るクラスメイトは全くいなかった。
    何がいけなかったんだろう。
    授業を聞かず、杏子は1人、入学式からの自分の態度を振り返る。
    普通にいたはず何だけど。

    「そう言えばさ、知ってる?礼拝堂の噂」

    杏子の斜め前の席の女子生徒が隣の友人に話し掛けていた。
    礼拝堂の単語が入っていた為、杏子は無意識に耳を傾けた。

    「放課後の礼拝堂で告白したら、絶対にその恋は実るんだって」

    なんだ。
    そんな有りがちな噂か。
    杏子はまた溜め息を吐く。

    「えー、でも、礼拝堂にはシスターがいるじゃん」

    「だから、シスターがいない所で、告白するんだってば」

    それは凄く難しい事何じゃ……
    思わず、その2人に言おうと思ったが、ギリギリの所で、杏子は止めた。
  • 13 美雨 id:VbQ/cEu1

    2011-11-14(月) 16:13:39 [削除依頼]
    放課後。
    当初、吹奏楽部に入ろうと思っていたが、諦めて帰宅部になった杏子は図書室にいた。
    帰宅部になった代わりに図書委員に入ったのだ。
    主に図書委員の役割は昼休み、放課後の本の貸し出しと返却だ。
    って言っても、誰も来ないしな。
    杏子の他に来た生徒は誰もいない。
    彼女は習慣になって来た溜め息をまた吐こうとした時だった。

    ガラガラッ

    図書室の引き戸が引かれて、開いた。

    「んーと、開いてる、よな?図書室」

    入って来たのは3年生だと思われる男子生徒だった。
    あまりに急な展開に杏子は着いて行けず、ぱちくりと呆然と瞬きを繰り返していた。

    「もしもーし、フリーズしちゃってるけど、大丈夫か?」

    「え、あ、はい。大丈夫です。本の返却ですか?」

    「ああ。昼休みに行こうと思ったんだけどな。生徒会の仕事でバタバタしてて」

    生徒会?
    役員の人、だろうか。
    杏子は首を傾げる。

    「それにしても、1人で当番って、暇だよな。嫌だったら、サボれば良かったのに」

    「い、いえ。サボれるわけにも、行きませんし、部活に入ってないので」

    「そう。そういや、名前は?1年だよな?」

    「1年A組の、日向杏子です」

    「俺は鏡翔太。3年C組だ。ちなみに生徒会長何だけど、気付いてた?」

    「えっ」

    「その様子だと、知らなかったんだ。何かショックだ」

    「す、すみません」

    「別に良いって」

    ピンポンパンポーンッ

    『如何でも良い生徒会長の鏡君、至.急、生徒会室まで来て下さい』

    機械を通すと、人間の声は多少変わるが、この放送をしている生徒会役員の女子生徒の声は機械音声に近い声色だった。

    「ど、如何でも良いって……」

    「お呼び出しか。じゃ、俺、行くわ。本、返して置いて」

    渡された本を杏子が受け取ると、鏡は軽く手を振って、図書室から出て行った。
    何か、凄い人と喋れた気がする。
    また1人になった図書室で、杏子は本を持ったまま、暫くフリーズした。
  • 14 美雨 id:VbQ/cEu1

    2011-11-14(月) 16:17:13 [削除依頼]
    追加登場人物。

    鏡翔太

    この人は、はっきり言って、サブキャラ的存在です;
    杏子とは正反対の性格。
  • 15 美雨 id:VbQ/cEu1

    2011-11-14(月) 16:33:00 [削除依頼]
    杏子がフリーズしている頃、神崎と藍名は寮まで帰っていた。

    「何で着いて来るんだよ。お前、女子寮はこっちだろ?」

    「あ、そうですね。では、此処でお別れです」

    「何か嫌だな、その言い方。俺、死.ぬみたいじゃん」

    「そうですか」

    微かに首を傾げた藍名を見て、神崎は溜め息を吐く。
    出席番号が自分の後で、隣の席だったから、クラスメイトなりに話していたが、流石にこの自称自動機械人形女に慣れる気配は全くなかった。
    朝、あの無表情機械音声で話し掛けられたら、何度その状況に遭遇しても、驚いてしまう。
    別にコイツと仲良くしたいとは思わないし、如何でも良い事だが、多分、茅島は……
    神崎は改めて藍名を見る。

    「どうかしましたか?」

    友達、出来た事とか、ないだろうな。

    「何か失礼な事を考えませんでしたか?」

    「い、嫌、全く。腹、減ったなって」

    神崎は咄嗟に思い付いた事を適当に言った。
    疑う事なく、藍名はそれを信じた。

    「そうですか。では、これをあげます」

    藍名は制服のスカートのポケットから、何かを取り出し、腹が減ったと言うクラスメイトに手渡した。

    「って、キャンディーかよ」

    手のひらの赤い飴を見て、神崎は溜め息を吐いた。

    「まあ、貰っとくけど。何味なんだ?これ」

    「血」

    彼女の返事に神崎は持っていた物を落とした。

    「冗談ですが」

    「な、何だよ。冗談かよ。お前の冗談は冗談に見えねぇよ」

    神崎は安堵して、落ちた飴を拾う。

    「では、また明日です」

    礼儀正しく一礼して、藍名は女子寮の方へ行った。
  • 16 美雨 id:nusbrhz/

    2011-11-15(火) 16:14:21 [削除依頼]
    その日の深夜。
    礼拝堂に1人の少女がいた。
    彼女は椅子ではなく、長机に座り、大きく足を組んでいた。

    ギィィィィィィィッ

    不気味な音がしてドアが開いた。
    月の逆光で入って来た人間が分からなかったが、少女には直ぐに分かった。

    「くす、初めまして、かなぁ」

    少女はぎこちなく首を傾げる。
    生憎、黒いパーカーのフードを被っているせいで、顔は口元辺りしか見えない。

    「わたしを呼び出したのはあなたですか?」

    「うん。そうだよ?茅島藍名さん」

    未だに制服姿の藍名は礼拝堂のドアを閉める。

    「ところで、あなたは誰なのでしょうか?寮のドアの隙間にメモを挟んでありましたが、そこには誰からのメモか書かれていませんでしたので」

    「……内緒、で」

    「ならば、質問を変えます。あなたはどの様な理由でわたしを呼び出したのでしょうか?」

    「茅島サンさぁ、“僕”と組まない?」

    フードから出ている口が綺麗に微笑んでいるのが見えた。
  • 17 美雨 id:nusbrhz/

    2011-11-15(火) 16:29:20 [削除依頼]
    episode2 不適合の、
    午前9時。
    とっくに授業が始まっていて、廊下には誰もいないはずだが、1人、歩いている茶髪の修道服の女がいた。

    「あ、おはようございますのです。遅刻はダメなのですよ。神崎君」

    階段を上がって来た神崎と修道服を着た女はばったりと出くわした。
    神崎はバツの悪そうな顔をして、彼女を見る。

    「如何して遅刻したんですか?」

    「うるせぇよ。それにその白々しい敬語、鬱陶しいから、自粛しろ」

    「先生に向かって、その態度はよろしくないのですよ。それだから、職員室の先生達の評判が悪いのです」

    「あーあ、それはすみませんでした。じゃ」

    行こうとした神崎の左腕をシスターは掴んだ。

    「三咲君っ」

    「何だよ」

    「おじさんとおばさん、三咲君の事、心配してたよ?寮暮らしだし、その、色々と」

    「嘘吐くなよ。アイツ等は本当にそんな事思ってねぇよ。社交辞令だろ?大体、そんな事、“先生”には関係ねぇし」

    「お、幼馴染でしょ?私達」

    「此処では只の教師と生徒だからな。絶対に三咲君とか人前で呼ぶなよ」

    「何で、そんな……」

    「じゃ」

    神崎はそのまま教室へと向かった。
  • 18 美雨 id:nusbrhz/

    2011-11-15(火) 16:31:52 [削除依頼]
    追加登場人物。

    柊黒百合

    三咲の幼馴染で、この学校の教職員です。
  • 19 美雨 id:nusbrhz/

    2011-11-15(火) 16:42:37 [削除依頼]
    バッサリと言われてしまったシスター――柊黒百合は俯きながら廊下を歩いていた。
    ……三咲君が冷たい。
    廊下の中心に立ち止まって、黒百合は大きく溜め息を吐いた。

    「あ、柊先生」

    「はい?」

    振り返ると、鏡がいた。

    「あれ、授業中ではなかったんですか?」

    「嫌、もう、チャイム鳴りましたよ?」

    「あ、そ、そうなんだ。で、何の用ですか?」

    若干、タメ口になりながらも、黒百合は聞いた。

    「その、昨日の夜、礼拝堂が開いてたの、俺、見たんですけど」

    「え?」

    「勿論、柊先生が帰った後です。夜中の2時ぐらいでしたから」

    ちゃんと鍵を掛けて帰ったはずだった。
    それに今日の朝、見た時はちゃんと鍵が掛かっていた。

    「誰かが入ってたと思うんですよね。あっ、思い出した」

    白々しいとも言える演技口調だったが、黒百合は疑う事なく真剣に聞いていた。

    「あれ、1年の茅島藍名とか言う奴だったと思います」

    「茅島さん、ですか」

    「ちゃんと茅島に聞いた方が良いですよ。もしかすると、アイツが吸血鬼事件の犯人かも知れませんしね。じゃ」

    言うだけ言って鏡は黒百合の正反対の方向へ歩いて行った。

    「茅島、藍名」

    黒百合は呟いて見る。
    確か、三咲君と同じクラスの子だった様な気がする。
    今日の放課後、聞いて見ようかな。

    キーンコーンカーンコーンッ

    チャイムが鳴り、黒百合は礼拝堂に向かった。
  • 20 美雨 id:1RYgCW31

    2011-11-17(木) 19:37:01 [削除依頼]
    何気なく、空いた授業中、黒百合は職員室で生徒名簿を見ていた。
    見ている項目欄は1年F組。
    出席番号が丁度真ん中より上に茅島藍名の名前はあった。
    その藍名の上にある神崎三咲の4文字を見て、思わず黒百合はまた溜め息を吐いてしまう。
    絶対に三咲君から嫌われてるんだろうな……
    生徒名簿表を机の上に置いて、黒百合は椅子に体育座りする。

    「柊センセ」

    顔を上げると、F組担任の教師がぎこちない笑みを浮かべて立っていた。

    「でさ、何やってんの?」

    「う、あ、何でもないのですよっ」

    慌てて、黒百合は椅子から立ち上がる。

    「柊センセって、何歳だっけ?」

    「非公開なのですよ」

    「まあ、あたしよりかは上よね」

    黒百合はふと、この教師の年齢を思い返す。
    確か二十……

    「何か失礼な事、思ってない?」

    「おお、思ってないのですよ。それより、綾瀬先生」

    咄嗟に話題を変えようと試みたが、実際、話す様な事が思い付かない。

    「何?柊センセ」

    「え、えーとですね。ひ、暇ですか?」

    「そりゃあ、暇だから、センセに話し掛けたんだけど」

    「そ、そうですか。なら、その、わ、私のっ」

    「ん?」

    「相談、聞いてくれませんか?」
  • 21 美雨 id:1RYgCW31

    2011-11-17(木) 19:38:55 [削除依頼]
    結構重要な訂正 >20より、「まあ、あたしよりかは上よね」 本当は下です。 凄い間違いをしてしまいました;;;
  • 22 美雨 id:1RYgCW31

    2011-11-17(木) 19:50:43 [削除依頼]
    「ふんふん、じゃあ、神崎って、柊センセの幼馴染なんだ。それで、最近、神崎がセンセに対する態度が冷たいと?」

    「そ、そうなのですよ。私、何もしてないのに」

    「まあ、思春期だしね。色々、あるんじゃないの?それ以前に神崎の授業態度、悪いし」

    「そうなのですか?」

    「寝てる事が大半ね。それで、何故かテストの成績が良いって……何か気に食わない憎たらしい生徒よ。全く」

    綾瀬は大きく溜め息を吐く。
    そんなに酷かったとは。
    保護者ではないが、黒百合はショックだった。

    「それと同じく、茅島もそうね。なーんか、クラスに馴染んでいないって言うか」

    「あ、茅島さん、ですか」

    「でも、神崎と茅島は妙に仲良く話しているのよね。付き合っていたりして」

    「そっ、それ、本当ですかっ?」

    思わず、黒百合は再び椅子から立ち上がっていた。
    カタンカタンと勢い良く立ち上がった為、椅子はバランスを崩し、床に転がる。

    「何、ムキになってるんだか。何よ。センセ、神崎が好きとか?ってか、何歳差?」

    「べ、別にそう言う好きではないのです。み、三咲君は私の弟みたいな存在で」

    「なるほど。弟ね。確かに弟に彼女が出来たってのは気になる事かも知れないけど」

    キーンコーンカーンコーンッ

    授業終了のチャイムが鳴った。

    「悪いけど、あたし、次はA組の授業あるから、行くね」

    「あ、はい」

    「まあ、後に神崎も思春期が終わるって。じゃ」

    綾瀬は職員室から出て行く。
    ……それ以前に三咲君の思春期って、ずっとな気がするんだけど。
    バタンと、黒百合は如何する事もなく、机に突っ伏す。
  • 23 美雨 id:1RYgCW31

    2011-11-17(木) 19:59:42 [削除依頼]
    昼休み。
    1年F組教室。
    神崎は机に突っ伏して寝ていた。

    「コイツ、何でこんなに寝るのかしらね」

    それを見下ろす2人の影があった。

    「茅島さん、何でと思う?」

    「知りません。睡眠不足なのでは?」

    「ま、まあ、そうでしょうけど。何で寝てないのよ。夜に」

    「それは分かりかねます。本人に聞くのが速いと思います」

    そう言って、藍名は躊躇なく、神崎の無防備な頭を持っていた教科書で叩いた。
    鋭い音がして、神崎は鈍い動きで顔を上げる。

    「ん……誰だよ。何か物凄く痛かった気がするんだが」

    「気のせいなのでは?」

    何時もの無表情で言う藍名を見て夜空は思う。
    コイツ、かなり性格悪い、と。

    「そう言えば、あれから、結構経つわよね」

    「何が?ってか、お前が俺を打ん殴ったのか?」

    「違うわよ。じゃなくて、吸血鬼事件から」

    「そうですね。2週間ほどでしょうか」

    「もうこれで気が済んだのかしらね?犯人は」

    夜空は神崎を一瞥する。

    「な、何だよ。未だに俺を疑ってんのか?」

    「犯人は」

    話し出した藍名を2人は見た。

    「わたしは思います。あれは本当に吸血鬼がやったのではないかと」

    「は?」

    「いえ、忘れて下さい」

    「意味、分からないわよ。茅島さん」

    茅島は微かに、ほんの一瞬だけ、苦笑した。
    だが、2人は全く気付かない。
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