セクシュアルライヴ3コメント

1 momi id:5HLOcnG/

2011-11-10(木) 02:58:17 [削除依頼]


・ラブレター


ラブレターを書く絵実ちゃんの横で、私はラブレターというタイトルの本を読んでいた。
できすぎだと思うかもしれないけれど、別にこれは仕組んだり事前に何かあったわけじゃない。
私のかばんにはたまたまこの前古本屋で見つけて買った、岩井俊二のラブレターという映画の原作本が入っており、絵実ちゃんが何やらこそこそとしだしたので暇を持て余していた私はたまたまそのことを思い出し、本でも読むかという結論に至ってラブレターを読み始めたのだった。
それに絵実ちゃんは、私がそれをラブレターだと知っていることを知らない。
ちらちらとこちらを意識しながら、こそこそとそれにペンを滑らせる絵実ちゃんの秘密にしているそれが誰かに宛てた恋文だということを彼女は私に気づかれていないと思っているし、そもそも私としてはそのことを誰かに言いふらす気もなければ、わざわざ絵実ちゃんに伝えようとも思わないのでできすぎたこの構図は、ただ本当にできすぎただけだということを分かって欲しい。

分かってもらったところで、何か晴れ晴れとした気持ちが待っているわけでもなんでもないのだけれど、ひとつ言いたいのは私がこのラブレターという本を読んでいるのにはなんの意味もないということなのだ。
たとえ絵実ちゃんが私に内緒で、先生にラブレターを出し続けていたとしてもそれはまったくの誤解だ。
私は純粋にこの本が読みたかっただけなのだ。
ラブレター。私がページをめくるたび、その微かな紙の音に絵実ちゃんは両肩をびくっと緊張させた。
  • 2 momi id:c9qBNLv.

    2011-11-11(金) 00:29:15 [削除依頼]


    「絵実ちゃーん」
    上履きに履き替えた私は、絵実ちゃんの後姿を見つけて近づきながらそう呼びかけた。
    すると絵実ちゃんは背負った指定の青カバンをびくっと揺らして、おはようと不自然な笑顔を見せた。
    「おはよう、今日は早いね」
    絵実ちゃんは最近遅刻が多いので、朝に出くわすのは珍しかった。
    毎年ある健康診断で、いつも心臓の検査でひっかかっているのを見て、心臓がちょっと悪いのではないかと私は思っている。
    「一緒に教室行こう」
    そう言って絵実ちゃんの腕を掴むと、それはするりと私から離れた。
    「ごめん。職員室に寄らなきゃいけないから」
    私は気にしないでと笑って、その場を後にした。
    朝から職員室にどんな用事があるのだろう、そんな風に追求はせず、一連の不審な仕草につっこみを入れることもなかった。
    もちろん、絵実ちゃんがなぜ職員用の靴箱の前にいたのかにも私は触れることなく、一度も振り返らずに教室へ向かった。
  • 3 momi id:ehA7h4A/

    2011-11-20(日) 23:20:45 [削除依頼]



    絵実ちゃんがおかしな行動をとっていることに気づいたのは、ちょうど夏休みが終わり、新学期が始まった頃だった。
    心臓が悪いとはいえ、彼女が保健室に通う頻度は異常だった。
    授業中、絵実ちゃんの席が空いていると必ずといっていいほど保健室で休んでいて、クラスのみんなも初めは心配したり、絵実ちゃんのいない席に違和感を感じていたのだけれど、そのうちあっさりとみんなはそのことに慣れた。
    唯一まだ、そのことに多少の違和感を覚える私は、彼女とこのクラスの誰よりも仲が良いからという理由だけのような気もしなくはない。
    しかしそれだけでは私も彼女を疑いようがないし、体が弱いのにそこを攻めるのは友人として間違っている。
    そして別に、私は友人の彼女を攻めたいとも思わない。
    けれども、突然始まった彼女の異常な保健室通いの意外な真相を、私は目撃してしまうのであった。
    特に目撃したいと願ったわけでもないのに、その瞬間は仕組まれたように訪れる。

    絵実ちゃんに比べれば私は至って丈夫な身体を持っているが、一般の子供と比べると少し血の足らないひ弱な身体だった。
    そのせいで過度な運動の後、貧血になって先生に保健室へと連れて行かれることがしばしばあった。
    その日も、体育のバスケットボールの授業中に血が足りなくなった私は頭が回らなくなってしまい、その場にへたり込んだらしく保健室のベッドで休んでいた。
    少しの間眠ってしまったのだろう、目を覚ますと視界に広がる薄汚れた白い天井をすぐに保健室のものだと判断することができなかった。
    徐々に脳が稼動しだし、体操着を着ていることに気づくと一気にここが保健室だという現実が、私の元へと帰ってきた。
    おもむろに上半身を起こすと、少しだけめまいがしたけれど一度深呼吸してベッドから降りた。
    上履きを潰したまま、囲まれたカーテンから出るとそこには誰もいなかった。
    いつもコーヒーを飲みながら書類を読んでいる保健室の本田先生もいないし、治療を受ける生徒も誰もいないようだった。
    なので私は、とりあえず部屋の中心にあるソファに座った。
    やはりまだ血が足りないのか、脳がぐわんと揺れて痛かった。
    茶色のレザーのソファが踏み潰された上履きのかかととこすれて、キュッと鳴った小さな音がなぜだか私の鼓膜を大きく揺さぶり、それにびっくりして無意識に周りを見渡すとベッドのカーテン越しに人の気配を感じた。
    血の巡りが加速する音が聞こえた。
    そういえば今日、絵実ちゃんは体育の授業に参加していなかった。
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